東京財団政策研究所 Review No.6

公益財団法人東京財団政策研究所のリーフレットです。非営利・独立の民間シンクタンクとして、外交・安全保障、経済・社会保障、環境・社会分野の政策提言・普及活動と、国内外で実施する各種人材育成プログラムを行っています。


>> P.5

05もに、鉱山採掘廃棄物に関するガイダンスを発行し、優良事例に倣った管理の促進に取り組むとしている。さらに、廃棄物や副産物を活用する革新的な生産プロセスを促進することが重要であるとして、廃棄物に関する法令改正提案において、ある産業で発生した廃棄物や副産物が、別の産業での投入物(産業資源)となる「産業共生」のプロセスなどを促進するとしている。消費における行動計画消費については、消費者が何を選択するかという「選択行動」が、CEの形成に大きな影響を及ぼすという視点から行動計画が示されている。消費者の選択行動は、製品情報へのアクセス、価格、規制の枠組みで左右されるが、特に価格が消費者の意思決定に大きな影響を与える要因の一つであることから、価格に製品の環境コストを反映することが、CE構築の手段になることを示唆している。また、もう一つの重要な手段として公共部門のグリーン調達があげられる。EUの政府調達はGDPの20%にも及ぶことから、まずは政府によるグリーン調達化という消費行動を示すことで、EU全体の消費行動を変えていくことが示されている。そして、こうした視点のもと、以下の行動計画が示されている。・エコデザインの取り組みにおける耐久性と修理・スペアパーツの入手可能性情報や耐久性情報を具体的に検討する・廃棄物法制の改正指令案において、再利用活動を促進する新しい規則の提案・「環境に配慮した製品である」と宣言(表示)されたものでも、その根拠が十分でなかったり、法的要求事項に合致していないものなど「偽のグリーン宣言」への対処に取り組む・消費者の買い替えを促すため、使用期限を限定した商品を販売するなどの「計画的陳腐化」に関連する問題へ対処する・欧州委員会(EC)が、政府調達におけるグリーン調達の実例を示し、グリーン公共調達(GPP)の実施を拡大するその他、製品のフットプリントやエコラベルによる情報提供、課税などの環境コストを製品価格に反映させる経済的手法によるCEの喚起、製品やインフラEUの将来像や進むべき方向を示した「コミュニケーション」という政策文書にあたるもので、廃棄物法制の改正指令案を除き拘束力のあるものではないが、製品の、①生産、②消費、③廃棄物管理、④廃棄物から資源へ(再資源化)、というライフサイクル全般における取り組みのポイントが示されている。サーキュラーエコノミーパッケージ(CEP)の生産における行動計画生産における行動計画は、製品デザインと生産プロセスの2つの視点から示されている。まず、製品デザインでは、より耐久性があり、修理やアップグレード、または再製造が容易なものを良い製品デザインと位置づけている。そして、リサイクル率を高めるため、予めリサイクルがしやすい設計としておくことが重要としている。例えば、テレビのフラットスクリーンには金、銀、パラジウムなどの経済的価値の高い貴金属が含まれているが、これらを効率よく回収するためには手解体が最も効率的で、90%の回収率を達成できるとされている。一方、手解体が難しく経済的に見合わない製品デザインとなっている場合、粉砕によるリサイクルを行うが、これはリサイクル率を著しく落とすことから、デザイン段階から手解体しやすいものとしておくことが必要である。こうした観点をEUのエコデザイン指令に反映させ、その第一歩として、コンピューターのディスプレイやテレビのフラットスクリーンから取り組みを開始している。EUはまた、廃棄物法制の改正指令案によって、より簡単にリサイクルできる製品を設計するために、経済的インセンティブを与えることを念頭においている。つまり、拡大生産者責任制度の下で生産者が支払うコストを、分別、収集、選別など、その製品が寿命を全うした後に必要となるリサイクルやリユースに必要な廃止費用(endoflifecost)に基づいて差別化することによって、より良い製品設計を奨励することを提案しているのだ。生産プロセスについては、生産に投入される資源を効率的に使うことで、コスト低減を図っていくことが重要とされている。EU加盟国が産業施設の許可要件を発行する際に考慮しなければならない「利用可能な最善の技術参照文書」(BestAvailableTechniquesReferenceDocument:BREF)では、廃棄物管理や資源効率に関する参考とすべき優良事例を追加するとと必要資源量の縮小化と資源価値を持続させる、資源循環型経済へ。


<< | < | > | >>