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岸田文雄内閣のもとで2022年12月に「全世代型社会保障構築会議 報告書」が公表された。今日最も緊急を要する取組として、子育て・若者世代への支援の急速かつ強力な整備を上げ、大胆な少子化対策などを訴えている。
具体的内容としては、少子化対策にとどまらず、働き方に中立的な社会保障制度の構築、給付と負担のバランスを確保しつつすべての世代で安心できる全世代型社会保障の構築、マイナンバー制度のもとで保有されるデータを含めたデータの連携、活用の推進などのデジタル技術の活用なども含まれている。
一方、これらの施策を実現していくうえでカギを握る財源については6月に予定される『骨太の方針』で当面の道筋を示すこととなっている。
「税・社会保障一体改革のグランドデザイン 全世代型社会保障改革とその検証プログラム」は、2022年度のテーマとして「全世代型の社会保障の構築に向けての提案」を取り上げ、デジタルの活用、税制・社会保障・年金・教育など様々な観点から以下の具体的な政策提言を取りまとめた。本書が、全世代型社会保障の構築に向けて、関係者の議論を深め、政策立案を進めるきっかけとなれば幸いである。
目次
- 要 旨
- 第1章 マイナンバーを活用したデジタル・セーフティネット―ガバメント・データ・ハブの構築とその課題
(東京財団政策研究所研究主幹 森信茂樹) - 第2章 税制のデジタル化と生涯累進所得税の提言
(東京財団政策研究所研究主幹/一橋大学経済学研究科教授 佐藤主光) - 第3章 「こども予算倍増」をいかに議論していくべきか
(日本総合研究所主席研究員 西沢和彦) - 第4章 老後の所得保障のための公私年金の役割―日本、アメリカの比較
(一橋大学名誉教授 田近栄治) - 第5章 かかりつけ医機能の定着に向けた一部定額払い化の試論
(東京財団政策研究所研究主幹/慶應義塾大学経済学部教授 土居丈朗) - 第6章 膨張する社会保障費と新たな財源の可能性
(法政大学経済学部教授 小黒一正)
提言全文
全世代型の社会保障の構築に向けての提案(PDF:3.38MB)