東京財団政策研究所 Review No.02

公益財団法人東京財団政策研究所のリーフレットです。非営利・独立の民間シンクタンクとして、外交・安全保障、経済・社会保障、環境・社会分野の政策提言・普及活動と、国内外で実施する各種人材育成プログラムを行っています。


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04の事実こそ中国人が世界のリーダーになろうとする精神的支柱になっている。それでも、中国人、とりわけ政府共産党にとってアメリカは怖い存在である。中国のグローバル戦略の中心は、アジア戦略である。少なくとも今の中国の指導者たちは、アメリカを超越して世界を支配していこうとする野望を持っていないはずだ。中国がアメリカと対立するのは、アジアでの覇権を巡る争いである。だからこそ、太平洋を西太平洋と東太平洋に二分するというG2の議論が提唱された。実際に中国の対外拡張戦略は、アメリカとの対立を避けながら、アジアでの支配権を手に入れるためである。その最大の邪魔者は、いうまでもなく日本である。日本の外交と安全保障は、日米同盟によって定義されている。結局のところ、中国はアジアのリーダーになろうと思っても、アメリカに認めてもらう必要がある。日中の間で対立を避けられないのは、東シナ海の領有権を巡る認識の相異である。軍事の専門家いわく、東シナ海から南シナ海まで点在する島々は、中国海軍の海洋進出を妨げるシーレーン(第1列島線と第2列島線)を効率よく構成している。中国にとって太平洋に出るための通り道を確保するには、何としても、東シナ海の領有権を手に入れなければならない。海上油田の開発は、二の次のはずだ。中国のもう一つの海洋戦略は、南シナ海(俗にいう9段線の内側)の領有権を確保して、主要な島を軍事施設化していくことである。このような中国の海洋戦略は、諸外国からは中国的ヘゲモニー(支配)とみられているが、中国からすれば実力(経済力)相応の措置である。歴史は常に偶然性が重なるものである。中国がWTOに加入した2001年にアメリカは9.11のテロ攻中国からみた米国のアジアリバランス戦略1中国の政治体制は社会主義の専制政治であるため、アメリカ人には違和感が強い。それでもワシントンでは、左派親中派の論客が「中国は経済発展が遅れると、ますます独裁国家になる。逆に経済発展すれば、徐々に民主化していく」とする命題を議会に吹き込んできた。この考え方は中国で「和平演変」と呼ばれている。すなわち、旧ソ連と東欧のようなショック療法による革命ではなく、経済発展を図りながら、社会の変革、民主化を図っていく方法だ。2001年、中国の将来の民主化を期待しながら、アメリカは中国の世界貿易機関(WTO)加盟に青信号を点灯させた。2001年まで中国経済はWTO加盟に向けたウォーミングアップのプロセスだったが、2001年以降は完全に離陸した。一般的に経済力は国力の基礎である。2001〜10年までの10年間、中国の実質GDP伸び率は、年平均10.49%に達した(図1参照)。中国のドル建てGDPは2010年に日本を追い抜いて世界二位になった。こ覇権争いはどこに向かっているのか習近平国家主席トランプ大統領両者の戦略を読み解く7つの視点中国の狙いは世界支配ではなく、アジアの主導権。図1●中国の実質GDP伸び率の推移1978年1980年1982年1984年1986年1988年1990年1992年1994年1996年1998年2000年2002年2004年2006年2008年2010年2012年2014年2016年2018年016%1412108642出典:中国国家統計局ChinaWatch1


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