東京財団政策研究所 Review No.04

公益財団法人東京財団政策研究所のリーフレットです。非営利・独立の民間シンクタンクとして、外交・安全保障、経済・社会保障、環境・社会分野の政策提言・普及活動と、国内外で実施する各種人材育成プログラムを行っています。


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11でトランプ大統領は中国を仮想の敵に仕立てるかどうかである。経済成長の維持には政策決定のプロセスとメカニズムの改善が必要最後に、今後の国際情勢を占ううえで重要なポイントは、中国が今後のグローバル戦略としてもっぱら国際影響力を強化しようとするかどうかだ。中国の政策決定のプロセスを点検した結果、ポリシーメイカーたちが市場と対話するアナウンスメントが欠如している。すなわち、市場がポリシーメイカーから受け取るメッセージは、著しく不足している。一方、ポリシーメイカーたちは市場から情報をみ取るよりも、指導者に迎合することを優先しがちである。だからこそ政策面の過ちを繰り返す羽目になる。中国経済が1人当たりGDP1000ドル未満の時代はともかく、今は9000ドルを超えている。経済成長を持続していくならば、中国政府は政策決定のプロセスとメカニズムを改善する必要がある。近平政権にとって、不運なのは米国との貿易戦争が日増しに激化していることである。中国は外国による制裁に屈する国ではない。むろん、米国の制裁関税は中国経済にダメージを与えるが、耐えられないほどの痛みではない。トランプ政権は、短ければ2020年の冬に退陣する可能性がある。中国にとって最悪なシナリオでも、2024年の冬には必ず退陣する。中国政府にとって最悪な場合でも、あと5年余りを耐えれば、痛みが解消されると期待されている。日本人の考え方からすれば、5年余りはもとより、あと1年間でも我慢することができない。だからこそかつての日米貿易摩擦のとき、日本は折れて米国に妥協したのだった。痛みを耐える意味は、誰かを犠牲にするということである。日米貿易摩擦のとき、日本は自動車産業を犠牲にしたくなかった。米中貿易戦争は中国にとり輸出製造業の一部が痛みを被るほか、ファーウェイなどのハイテク企業が制裁されている。輸出製造企業について、中国政府は減税措置などを講じて保護するとしている。ファーウェイなどのハイテク企業を中国政府は何としても保護しなければならない。だからこそ徹底抗戦の姿勢を示している。それに対して、貿易戦争が長期化していった場合、トランプ大統領は次期大統領選で農家の票とウォール街の票を失う可能性がある。トランプ大統領にとりこれからの大統領選はどこまで有権者を説得できるかにかかっている。3年前の大統領選でトランプは、米国を再び偉大な国家にすると叫んで、ヒラリー・クリントン候補に勝利した。今度の大統領選市場がポリシーメイカーから受け取るメッセージが著しく不足。●中国は法治国家ではないが、人治国家でもない。共産党の党治国家である●中国の政策の目標は一貫して経済成長の促進にあるが、制度改革が遅れている●制度改革の遅れは逆に経済成長の妨げになっている●中国政府の政策決定には、シンクタンクは重要な役割を果たしている●中国には民間のシンクタンクは皆無に近い。ほとんどは政府系シンクタンクである●政府系シンクタンクは政府に対して「策略」を提言する役割を果たしている●中国政府の政策執行はアナウンスメント効果がなく、行政から国有企業へと伝達される●市場経済の制度が構築されなければ、有効な政策執行は難しい政策的インプリケーション


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