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07し遂げることができたのは、アメリカの協力があったからだといわれている。たとえば、2001年に中国は念願の世界貿易機関(WTO)加盟を果たした。それはアメリカの容認がなければ実現しなかったはずである。むろん、中国の指導部は表面的には対米貿易戦争には負けないと強がる一方、本音では政治経済など、さまざまな側面において対米依存していることが分かっているはずであり、だからこそ中国政府の公式見解をみると、アメリカとの分断は起きないと明言している。これまでの40年間の歩みを振り返れば、経済規模が小さかった1980年代から90年代においては、中国政府や中国企業が少々国際ルールに違反しても、アメリカはそれほど厳しく追及することはなかった。また毎年、アメリカの議会は対中貿易について最恵国待遇のステータスを付与するかどうかについて審議するが、それを付与しない年はなかった。2001年に中国がWTOに加盟したとき、アメリカを中心とする先進国は、中国にルールの遵守を念入りに求めた。それに対して、中国はルールの遵守を約束しながら、途上国のステータスを逆手に取り、は、SNSサービスを提供するネット企業であり、ここには国有企業が参入していない。しかし、経済統制を強化する政治的必要性があるにせよ、経済成長をけん引する主役の民営企業を厳しく統制することは、経済の活力を減退させることになる。習近平政権にとって、経済成長が減速していけば、統治体制の弱体化につながる。共産党政権にとっては、経済成長こそ求心力を強化する原動力である。この議論の結果として、共産党指導体制と市場メカニズムは相いれない対立関係になる。中国と国際社会の「文明の衝突」米中貿易戦争が勃発してから、ペンス米副大統領やポンペオ米国務長官などは中国との貿易戦争を「文明の衝突」と言い換えているが、アメリカの保守系の論客のほとんどは貿易戦争の意義は米中のdecoupling(分断)を象徴するものと指摘する。しかし、米中の分断は経済面だけでなく、政治や社会など多方面において生じていると観察される。これまでの40年間、中国経済が奇跡的な高成長を成