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03その違いは一目瞭然である。マレーシアとインドネシアをはじめとする東南アジア諸国の開発モデルは、まさに政府主導の開発独裁だった。それに対して、中国経済のキャッチアップは、経済の自由化によるところが大きい。中国政府は国有企業を優遇してきたが、国有企業の効率が悪く、民営企業との競争に敗れ窮地に追い込まれた。実は、中国の経済成長をけん引してきたのは、政府と共産党によって優遇された国有企業ではなく、民営企業なのである。むろん、国民生活にかかわる電力などのインフラとライフラインは、依然として国有企業が独占的に支配しているが、国内総生産への寄与度や雇用創出の貢献度をみると、国内の民営企業や外資系企業は、国有企業よりもはるかに重要な役割を果たしている。これまでの中国経済の軌跡を踏まえると、中国政府と共産党はこのまま経済の自由化路線を続けていけば、中国経済をさらに持続的に成長させていけるのではないかと思われる。それにもかかわらず、習近平政権が誕生してから、中国政府は自由化から統制強化へと大きく方向を転換してしまった。この方向転換をどのように理解すればいいのだろうか。拙稿は習近平政権が描く国家像から、この問題の紐解きを試みることにする。●注…「法制」(rulebylaw)と「法治」(ruleoflaw)の最大の違いは、「法治」には共産党も含めて、法によって統治される。それに対して「法制」は共産党が法律をもって人民を統治するが、共産党は法を凌駕する立場におかれる。すなわち「法制」によって共産党の法治体制はさらに強化されると思われる。