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第11回「税と社会保障の一体化の研究-タックスカード(納税者番号制度)-」研究会議事録

September 12, 2008

2008年9月12日
第11回給付つき税額控除 研究会
東京財団3階A会議室


みずほ情報総研の藤森克彦氏から,「単身世帯の増加と求められる社会保障制度改革」と題する報告が行われ,現代日本において特に中高年の男性を中心として単身世帯の増加が顕在化し,企業と家族によるセーフティネットの維持が難しくなると考えられる中で,社会保障政策がどのようにあるべきかについて議論が行われた。

1,みずほ情報総研(株)藤森克彦氏「単身世帯の増加と求められる社会保障制度改革」

単身世帯は1985年ころから増え始め,現在も高齢層を中心に伸びており,2005年には層世帯数の3割程度,1400万世帯程度に達している。単身世帯が増加した理由として,高齢層においては高齢化などの人口要因によるが,男性50代以下,女性40代以下で非人口要因による伸びが大きいと考えられる。そして,今後はさらに単身世帯が増加していくことが予想される。

単身世帯の増加はさまざまなかたちで社会に影響をもたらすことが考えられる。まず,単身世帯において非正規雇用のかたちで就業する人が多く,企業や地域社会などを通じたセーフティネットが提供されない可能性が高いことが挙げられる。また,高齢者の単身世帯においては,介護が必要になった場合でも家族による介護を期待することは難しく,事業者が主に介護を担うことが予想されるため,事業者による介護サービスの提供体制を整備する必要がある。日本の社会保障制度は,公的な社会保障給付に加えて家族や企業による補完を前提とするところがあるが,単身世帯の増加はこのような社会保障制度の限界を浮かび上がらせると考えられる。

2,質疑応答

・単身世帯と一口で言っても非常に多様なのではないか
→例えば以前は未婚で親と同居していたような女性が,就業することで親と別居する選択肢が増えたという面もある。
→単身ではない2人以上世帯でも必ずしも夫婦であるとはいえない

・貧困と単身には関係があるのか
→選んで単身になった人と強いられて単身の人がいるのではないか
→単身であることが問題ではないし,結婚すれば(させれば)いいという問題ではない
→貧困や非正規雇用の問題と単身世帯を抑制するという政策は違うのではないか,必ずしも否定的に捉えるべきものでもないだろう
→日本が単身者にとって住みやすい社会であるということも考えられる

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