「文明と環境プロジェクト」では、4月14日、15日の2日間にわたってシンポジウムを開催しました。今回は「アニミズムによる地域資源のワイズユースと国際戦略」を課題として、新たな文明戦略・環境戦略の根幹となるローカルな叡智の重要性を軸に、以下の5つのプレゼンテーションと活発な討論が行われました。また、これらの議論を踏まえ、今後の本プロジェクトの研究活動展開についても具体的な検討を行いました。
- 挨拶 加藤秀樹(東京財団会長)
(東京財団および本プロジェクトについて)
- 谷口正次(国連大学ゼロエミッション・フォーラム 産業界ネットワーク代表理事)
「アニミズムとアジア太平洋の地域再生」
環境資源とりわけ鉱物資源をめぐる国際的争奪戦の激化により、アジア太平洋の環境破壊が深刻化しています。本プレゼンテーションは、その危機のなかでの日本政府の鉱物資源管理の実態を明らかにし、未来の資源管理のあり方に向けた提言を行いました。
- 谷口吉光(秋田県立大学教授)
「八郎太郎伝説と秋田の地域再生」
秋田県の八郎潟の干拓にともなって八郎太郎の竜神伝説は姿をけし、祭りもなくなり、水は汚染され人々のコミュニティーも崩壊していきました。本プレゼンテーションでは、現在行われている、竜神伝説を核とした地域環境保全と人々のコミュニティー復活の事例を紹介し、地域再生のひとつの方策を提示しました。
- 安田憲喜(東京財団主任研究員/国際日本文化研究センター教授)
「環太平洋の生命文明圏」
かつて環太平洋地域には「生命文明圏」と呼ぶことのできる、森と水の循環系にもとづく文明圏が存在しました。本プレゼンテーションでは同地域の人々に共通してみられるアニミズムの世界観を概観し、新しい文明社会構築のためにアニミズムが持つ重要性を提示しました。( 講演録はこちら )
- ラジェンドラ・トマール(インド ジャワルラル・ネルー大学教授)
「ヒンドゥー教と神道がむすぶ国際戦略」
日本とインドには、アニミズムなどにみられる共通の心の基盤があります。本プレゼンテーションでは、ヒンドゥー教と神道の世界の共通点と相違点を明らかにし、共通点を両国友好のための国際戦略に活かすことを提言しました。
- 李均洋(中国 北京首都師範大学教授)
「龍は日・中友好の架け橋となれるか」
日本人と中国人が共有できる概念のひとつに「龍」があります。本プレゼンテーションでは、日中友好のカギとして「龍」に着目し、その概念を通じて両国友好の道を探りました。
本プロジェクトは、最終的には日本発の新たな文明モデルを提示することを目標としています。その提言へ至る過程での議論や調査活動についても積極的に発信し、本プロジェクト独自の視点や基本理念をわかりやすく周知していきます。
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