11月12日開催の第4回現代病理研究会は、ゲストに石毛直道氏(国立民俗学博物館名誉教授)を迎え、「文明と食」をテーマに議論を行いました。
はじめに、プログラム・オフィサーの安井より、食に関する現代病理について仮説に基づいて様々な角度からデータを提示しました。
次に、石毛教授より文明と食に関するご意見をいただきました。文明は普遍的なものであるのに対し、文化は各民族に由来する固有の価値観であり、テクノロジーの発達やグローバル化によって、文化が失われるという危機感が高まっているが、それは食に限定するのではなく、祭りや年中行事の保存と一緒に保存・活性化していくことを考えなければ難しいということです。
また、現代の食には「家庭の食」と「社会の食」があり、家庭における台所は食品産業、家庭における食卓は外食産業が担っていると考えられるが、「社会の食」を否定することは文明に逆行することになるから、世間で言われる諸問題も一概に病理と捉えるのは短絡的ではないか、という指摘もありました。
そして、日本における食の歴史を遡り、世界の他の国々と比較することによって、現代の食に対する見方も変わってくることがわかり、今後もさらに研究を進める必要性が確認されました。
さらに、議論は尽きないながらも、究極的に病理と考えられるのは、食の産業化による画一化傾向に集約されるのではないかという意見でまとまりました。
議事録および要旨は改めて後日掲載致します。(文責:安井美沙子)
(左手前から右回りで、安田喜憲氏、米本昌平氏、石毛直道氏、松井孝典氏、加藤秀樹)
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