第4回「税と社会保障の一体化の研究-タックスカード(納税者番号制度)-」研究会 | 研究プログラム | 東京財団政策研究所

東京財団政策研究所

詳細検索

東京財団政策研究所

第4回「税と社会保障の一体化の研究-タックスカード(納税者番号制度)-」研究会

July 31, 2008

日時:平成20年7月31日(木曜日)12時から14時
場所:東京財団会議室A(日本財団ビル3階)
第4回会合の議事要旨は以下の通り。

冒頭に新潟大学の鈴木正朝教授から,番号制度に関わる法的側面について 資料 に基づいて報告が行われ,その後報告に対する質疑応答。

1、 番号制度に関わる法的側面について

・ 日本ではプライバシーの議論が非常に散漫になっている。英米法は個別的に不法行為を類型化する法制をとるのに対して,本来は日本では民法709条の一般的不法行為条項を用いて柔軟に対応できるはず。アメリカ法の概念を直輸入したことで,木に竹を接ぐかたちで混乱した傾向もある
・ 行政の効率性という観点から個別に様々な番号を導入するという議論を行うだけでは,将来的に名寄せが容易になりすぎる危険性もある。効率性を犠牲にしても保証されるべき自由について明確にしたうえで,電子化する情報の限界を画し,それを管理する体制を築くことが必要。そのためには情報の管理の在り方について,手続き的な部分を含めた基本法が必要ではないか。例えば監査などと組み合わせて,個人にとって不利益となる情報が世代をまたがないようにする努力は必要。
・ 現行の個人情報保護法制は,必ずしもプライバシーの問題に対応するものではない。そもそも特定個人の識別情報である個人情報とプライバシー情報の定義は異なるし,行政と民間で適用される法律が異なる(例えば同じ「大学」や「病院」でも国立/私立によって適用される法律が異なる)という問題を持つ。さらに,行政機関がもつ情報は情報公開の対象となる行政文書としての性質と個人情報という性質を持つものであり,現行法制ではどのように個人情報を扱うのかについての整理が十分でない。

2、 質疑応答

・ 個人情報保護法制をもとにプライバシーの問題に対応することは可能か?
→現在は行政裁量を広く取って,悩んだら行政が権限行使するメカニズムで対応している
→昔の個別業法とは異なり,個人情報保護法制であれば全ての業種に対応する必要がある,そのため企業側にどのような負荷をかけることになるかについて事業者規制をする部署と連携を図る必要がある
→個人情報保護法の利用目的規制(16条1項)のような部分が難しい問題になってくるかもしれない

・ 納番とプライバシーの問題をどう考えればよいか?
→すぐにプライバシーの問題は起きないだろう,そこには飛躍がある
→年金・住基等で,後出しで法定利用目的の拡大が可能とする議論が進む傾向がある。しかし一方である二つを結合するとすぐに違憲なのか,という問題はある
→昔は結合しないという思想,しかし現在は結合しないのはナンセンスだと

・ 個々の分散しているコードでは本当に名寄せは難しいのか?
→氏名や住所がきっちり書いているという前提であればある程度リーチできる
→コード化するしないにかかわらず,デジタル化されている時点である程度チェック可能だと考えられる
→コードにしたとたんプライバシー侵害,というのは厳しいのではないか。しかし,名寄せの範囲が広がると管理社会だといいたくなる側面も

注目コンテンツ

0%

INQUIRIES

お問合せ

取材のお申込みやお問合せは
こちらのフォームより送信してください。

お問合せフォーム