概要
2010年4月18日、全国若手市議会議員の会関西ブロック(関西若手市議の会)との共催でフォーラム「変わろう議員 変えよう議会!! ~地方議会改革を成功させる秘訣~『議会基本条例』をつくり、どう活用するか」を開催しました。
関西地区の市議会議員を中心に新聞告知を見て参加された一般市民も含め約100名が、市内中心部から離れた大阪ワールドトレードセンタービルディング(WTC)に駆けつけていただいた。
まず、関西若手市議の会を代表して会長の中本みちこ吹田市議会議員から開会に当たっての挨拶がありました。
その後、「若者が改革に取り組むときの心構え ―事業仕分けの経験から―」と題して、伊藤伸(内閣府行政刷新会議事務局参事官・構想日本政策担当ディレクター)から基調講演を頂きました。事業仕分けのマスコミでの取り上げられ方と仕分け作業の現場での議論の差異について所感を述べられました。また、民間出身者が管理職の任期付き公務員としての官僚の反応についても具体的な実例を挙げ説明いただきました。公開の場で議論することの意義や現場でのヒアリングの重要性など地方議会や議員にとっても参考となる話でした。レジュメは こちら です。
引き続き、中尾修研究員から「地方分権下における議会改革とそのサポート体制-栗山町議会の取り組みから考える-」と題した講演がありました。配布資料は こちら です。
その後、パネルディスカッション「議会基本条例 ―戦う議会へのあゆみ―」を行い、三浦由紀(大分県大分市議会議員)、目黒章三郎(福島県会津若松市議会議員)、矢野正憲(大阪府熊取町議会議員)に登壇いただきました。それぞれの議会での改革の背景や経緯を説明していただきました。また、中尾研究員からは、他の自治体議会の基本条例と3市町議会の基本条例の比較や特色ある議会基本条例の条文が紹介されました。
さらに、議会改革を進める上での若手議員の役割について、それぞれのパネリストからお考えを披露していただきました。中尾研究員からは、議会改革に取り組むときの手順、プロセスを市民参加や時期、基本条例の草案づくり、学識経験者との関与、先進自治体への視察、議会事務局との関係などの視点からお考えをお話いただきました。
雑感
それぞれの自治体で様々な背景で議会基本条例は制定されてきた。大きくわけて3つある。ひとつは合併により共通の議会運営の仕組みを統一する必要に迫られたパターン、二つ目は市民と直接向き合い強力な政治力を発揮しようとする首長の登場で議会の存在意義自体が問われたケース、最後は他の自治体が制定していると流行に乗ろうと試みたパターンだ。
いずれのパターンでも、結果として、地方議会の改革に目覚めて行動を起こしたとしたならば、それを歓迎し評価したい。また、他の自治体の追随を期待したい。だが、制定過程に市民参加がない、または少ない議会基本条例は、制定後の運営に息詰まることは確かである。議会報告会の開催を条例で定めており、その実施期限が迫っていながら具体的な日時や方法について合意に至らないのは、議会基本条例の本来の目的に対しての理解ができていないためだ。
その原因は市民との関係についての共通認識を形成する時間を避けたことにある。市民の参加を初期段階から行うのは勇気と覚悟がいる。だが、その最初の一歩を踏み出すと多くの市民は議会の見方になる。表面的な批判も叱咤激励の意図での発言が中心となる。議会改革、特に議会基本条例の制定にあたっては、地方議会議員だけでなく、議会事務局職員や行政部門の職員、そして何よりも市民を交えての議論が不可欠だ。
<文責:赤川貴大>