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名古屋市の議会改革~議員報酬と議員定数~

June 28, 2010

民主党名古屋市議団の議会改革調査検討会座長に就任

2010年5月末、民主党名古屋市会議員団から議会改革調査検討会委員への就任依頼が筆者にありました。同会の趣旨と目的に賛同し承諾しました。他の委員は、愛知県社会保険労務士会会長鬼頭統治氏、連合愛知名古屋地域協議会事務局長服部証氏、名古屋市区政協力委員議長協議会議長鬼頭正男氏、名古屋市地域女性団体連絡協議会会長加藤玲子氏、名古屋市子ども会連合会会長野瀬武敬氏、名古屋市立小中学校PTA協議会会長熊田光男氏、NPO法人医療と保健と福祉の市民ネットワーク東海理事長伊藤光保氏です。

2010年6月2日に第1回の会合が名古屋市役所内の第4委員室で開催されました。まず、民主党名古屋市会議員団うかい春美幹事長が、テレビカメラを含む報道機関への公開と一般傍聴の許可を求め、委員の承諾し完全公開の会合となりました。その後、うかい氏から、これまで名古屋市の議会改革への理解と実績を踏まえて、筆者を座長に推薦する提案があり、全委員に承諾をいただきました。

座長就任にあたっての所感

座長就任にあたっての所感をお話させていただきました。概要は下記のとおりです。

名古屋市会との関係は、本年2月末に開催された議会基本条例制定研究会に招かれ、東京財団地方議会の改革プロジェクトで調査研究・提言した内容について講演させていただいたことが始まりです。その後、3月に実施したパブリックヒアリングでコーディネーターを務めさせていただき、市民の皆さまの議会・議員への叱咤激励を議員の皆さまの横で受け止めさせていただきました。また、5月には、公明党名古屋市会議員団からも議員報酬についての勉強会に招かれ、お話をさせていただきました。このような経緯で本日ここに委員として参加しております。

2月末から本日までの3か月強の短い期間で名古屋市会は大きく成長したと認識しています。当初は、全国の多くの自治体の議会と同様に市民に向き合った活動を組織として行ってこなかった。そのような考えも多くの議員にはなかった。しかし、党派の政治的な主義主張を横に置き、議会として市民の前に登場しました。自治の本質、議会の役割を理解し、実践を始めました。多くの議員は誇りと自信を持ちました。しかし、ここで驕ってはいけません。まだ市民からの信頼が回復したとは言い難い状況です。これからは、市民との関係をより太くすること、関係のチャンネルを複数もつことが期待されます。

この期間に成長したのは、議会・議員だけではありません。名古屋市民も自治の本質に気付きました。自治とは市民が責任を担うことを実体験として学びました。市民は議会批判を繰り返しているだけでは、市・市民の日常生活は改善されない。市長に要望や意見しても良くならないことを理解しました。市民自らが考え、行動することが自治なのだと気付きました。名古屋市会は、この良識と品格のある名古屋市民の期待に応えなければなりません。議会の現状は、これまでの市民との関係における不作為を反省している段階ではありません。改善案、改善策を具体的に作成し、それを実行することが求められています。

名古屋市会の動向は、市長のマスコミの露出の多さではなく、自治をだれが担うのかという本質的、根源的な問題意識で全国からの注目が集まっています。日本の自治が試されている現場がここ名古屋にあるます。この大きな問題意識を持って、議員自らの地位や処遇のためでなく、また議会のための改革ではなく、市民自治のための改革をお手伝いしたいと思い、本日、発足したこの委員会の委員の役をお引き受けいたしました。

議員報酬等と議員定数に関する答申

6月2日、8日、15日と議員報酬についての議論を行い、6月18日に 「議員報酬等に関する答申」 を諸隈終身民主党名古屋市議団団長に手渡しました。6月15日と21日、議員定数についての議論を行い、 「議員定数に関する答申」 とこれまでの議論全体を総括した 「論点整理」 を6月25日に提出いたしました。

<文責:赤川貴大>

    • 元東京財団研究員・政策プロデューサー
    • 赤川 貴大
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