H22年度 第3回 新しい地域再生政策研究会報告 | 研究プログラム | 東京財団政策研究所

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H22年度 第3回 新しい地域再生政策研究会報告

August 23, 2010

研究会概要

○日 時:2010年7月22日(木)18:45-21:20
○場所:東京財団A会議室
○出席者:
岩佐 吉郎  (名桜大学教授)
梅川 智也  ((財)日本交通公社調査部長)
小関 隆志  (明治大学経営学部准教授)
吉永 憲   ((株)共同通信情報企画本部次長)
関係省庁政策担当者
(東京財団)
井上健二(東京財団政策研究部研究員兼政策プロデューサー)

議事次第

1.開会
○第2回研究会での議論等のレビュー
2.ゲストスピーカー報告
○演 題:『新しい公共を資金面から支える仕組みを考える
~CDFIを参考事例に~』
報告者:小関隆志氏(明治大学経営学部准教授)
3.報告を踏まえた質疑、意見交換
4.閉会

意見交換等の概要

前回研究会の議論等のレビューを行った後、ゲストスピーカーの小関隆志氏(明治大学経営学部准教授)より、「新しい公共を資金面から支える仕組み」をテーマに、日本のNPO融資の現状と課題の説明の後、アメリカのCDFIの概要、導入の背景と実態や日本への導入の可能性等についてご報告を頂き、これら報告をもとに意見交換を行った。以下は主な内容である。

【ゲストスピーカー報告要旨】

○関係省庁の方で投資減税の政策を「新しい公共」の中に取り込む、具体的には、投資減税として、NPOやコミュニティビジネス等に投資をした場合に、それに対して減税をするような施策の検討を行っているようですが、このような資金に対する経済的なインセンティブを与えれば、すぐにお金がどんどん集まって地域経済が活性化するのかというと、そんなに簡単な問題ではない、というのが、これまでNPOや金融機関等を訪問して実感すること。
○事業のニーズがないところにお金だけ与えても誰も使わない、開店休業状態になるのではと懸念。資金面から支えると同時に、事業のニーズも掘り起こすことをしないと、せっかく資金面の仕組みを作っても生きない。資金面の仕組みと事業のニーズを掘り起こし、活性化する取組とを両輪でやっていく必要がある。

〔日本におけるNPO融資の現状〕

○日本におけるNPO融資の現状だが、労働金庫、信用金庫、地方銀行などの主に地域に根ざしている金融機関はNPOに対する融資制度をいくつか用意している。NPO法人を対象に無担保で500万円まで融資可能な労働金庫の事業サポートローン、信用金庫のNPOローン、地方銀行では山梨中銀、三重銀行等がNPO法人やコミュニティビジネスを対象とした融資制度を用意している。
○だいたいが300万~500万円程度で、無担保。ただし、その借主の団体の代表者、理事長が個人として連帯保証する形になっている。
○このほか、いくつかの自治体で自治体独自の融資制度がある。杉並区、日光市や流山市がNPO法人や市民活動を対象として少額の融資を2000年頃に始めている。公的介護保険サービスが2000年4月に始まり、その際に多くのNPO法人が介護保険を始めたわけだが、介護保険のヘルパーの人件費が国から振り込まれるのが2カ月後になるので、その人件費2か月分を何とか用意しなければいけないが、内部留保のない小さな団体にとってはこれを負担することができないので、その分のつなぎ資金を自治体が出すために始まったのが制度の創設の理由。
○自治体が官民共同や市民参加の様々な事業をNPO等に委託したり、指定管理者制度が2003年に始まったことで、事業委託が進むに従い、NPO法人も事業委託を受けることが増えたが、事業委託の多くの場合は精算払いで、事業がすべて終わって、年度が明けてからそのお金が入ってくるためNPO法人の運転資金が足りなくなるという問題が発生し、その結果、つなぎ資金を貸すという自治体が増えた。また、地域活性化のためにコミュニティビジネスを支援するという融資事業を横浜や長野が始めている。
○だいたい2000年から2005、6年ぐらいにかけて、いくつかの信用金庫、労働金庫、あるいは自治体がNPOへの融資制度を相次いでつくったわけだが、中には他が作ったからうちもという感じで類似制度がつくられるという一種のブームのような状況にあったが、いまはそのブームが治まり、新しく融資制度を作る金融機関はほとんどない。自治体の中には融資の制度を一度作ったが休止状態のものや止めたものも少なからずある。また、信用金庫の中には、一応、融資制度を作ったものの融資実績がゼロというのもある。ブームでNPO法人への融資制度を作ってはみたものの、それが活用されていない、借りるNPOがない、ということが問題になっている。融資制度はできたものの、閑古鳥が鳴いているというのが全体の状況。
○相談は来るが、とても貸せる対象ではない、補助金と勘違いしている、事業計画書が書けない、返済計画が作れない、会計のことがさっぱりわかっていないといった団体が多いのも実態。NPO法人の人に話を聞くと、お金を借りたくない、借りたとしても返せなかったらどうするんだという不安、消極的な姿勢が多い。
○NPOバンクの課題は、市民から出資金を集めるのが難しいということと、それから規模が非常に小さいということ。出資金を集めるのが難しいというのは、元本を保証できないということ。一般の人たちの感覚からすると元本が保証されないというのは非常に怖い。しかもNPOバンクは金融商品取引法の制約によって配当が出せない。元本は保証されず、配当もないので、出資金を集めるのに非常に苦労している。

〔CDFIの現状〕

○CDFIとはCommunity Development Finance Institutionの略で、コミュニティ開発金融機関のこと。コミュニティ開発とはアメリカ、イギリスで使われている言葉の感覚からすると、貧しい地域、低所得者が集まって住むような地域を主な対象にした地域活性化、貧しい人たちの経済的な自立や所得の向上などを目的としている取組を指す。
○米国の場合、低所得者や特定の人種の人が都市の中心部のある地区に集まって住んでいて、ZIPコードを見るとわかるようで、こうした地域に住んでいる人に金融機関はお金を貸さないということが実態としてある。そういう貧困地域、低所得地域を何とか活性化しようということが目的になっていて、こうした地域にお金を流す非営利の金融機関がCDFI。
○CDFIのターゲットは、黒人を中心としたマイノリティ。CDFIは大きく4種類ある。1つはコミュニティ開発銀行。これは預金を得て、それを貸すという普通の銀行。その他、クレジットユニオン、ローンファンドやベンチャーキャピタルファンドがある。貧しい地域に対して優先的にお金を貸すのが目的。
○その背景としては、低所得地域とか低所得者には、銀行をはじめとして金融機関が金融サービス(融資、口座開設、送金など)を提供しないといった様々な金融の社会的排除という背景があり、それを何とかしようということで、銀行に代わるCDFIというものが発達してきた。
○現在、CDFIはアメリカ全体で1235機関あると推計。うち連邦政府からお墨付きを得た認定CDFIが800余。認定されると補助金がもらえるメリットあり。ただ、実際に補助金をもらっているのは49機関しかない。国からの認定をもらうと、社会的な信用が高まり、銀行から資金調達しやすくなるというメリットあり。
○CDFIの中にローンファンドというのがあるが、これは日本の場合でいうNPOバンクと似たような形式を持っている。銀行、政府、個人などからお金を借り、そのお金をプールして、NPO、社会的企業や貧しい個人に融資し、そこから利益を得るという形をとっている。なぜ銀行や個人がローンファンドにお金を貸すのかというと、地域再投資法(CRA)の格付けを高めるため。その他、投資減税のメリットもある。個人からすると、投資減税もあるが、社会問題に自分も何か貢献したいという気持ちもあり、その受け皿としてCDFIが機能してきた。
○地域再投資法、Community Reinvestment Act of 1977は、いまから30年以上前に作られた法律で、銀行が立地しているコミュニティ、地域に、得られた利益を再投資しなさい、銀行の支店のあるまわりの貧困地域に積極的に融資、投資あるいは貧困地域への支店の開設などを義務づける法律。図式としては、連邦政府の監督官庁が、銀行がコミュニティに対する融資や投資の状況を監督して、格付けをする。この格付は、優秀、合格、改善が必要、著しく不履行と分類され、合格以上の格付けにならないと、銀行としては支店の開設や他の銀行と合併、買収を政府から認可されないというペナルティを負うことになる。
○格付けの実態をみると、優秀が16%、合格が79.9%、改善が必要が3.7%、著しく不履行が0.4%。要するに不合格が4%しかない。銀行の監視、告発をする市民団体のウッドストック研究所は、この基準が甘すぎる、政府の監督が甘すぎると指摘。したがって、この数字だけから多くの銀行が積極的に貧困地域にお金を貸しているということでは必ずしもない。
○現在、連邦議会でこのCRAの法律をもっと厳しくするCRA近代化法案が議会で審議中。オバマ政権の求心力が低下、その支持率も下がっているため、その近代化法案が議会を通る可能性はかなり悲観的。
○CRAは、一言でいうと、銀行に対するムチだが、ただ政府が銀行を監督、監視して、ダメな銀行はペナルティだというだけではなくて、もう1つは市民の側にも役割を求めているという点が特徴。格付けの結果を情報公開しており、情報を得た市民、市民団体が、銀行に対して適切に対応するように個別に交渉し、市民団体からの抗議で銀行が動かざるを得ないということのほうが実際には強い。それを考えると、日本版CRAを提唱している人もいるが、政府だけが何かペナルティを科すことの限界がある。
○地域再投資法CRAのムチに対してアメも用意されており、それが銀行補助金制度BEAと投資減税制度。要するにアメとムチの両方があって、初めて銀行が腰を上げるということになっている。
○原則としては銀行がコミュニティの貧困地域や貧困層個人に対して直接お金を貸すのが原則だが、1件あたりの金額は小さい、貧困層にお金を貸すだけのノウハウも持っていない、貸し倒れのリスクが非常に大きいため、銀行はやりたくない。そこで、その間に立つCDFIというのが非常に重要なプレイヤーとなっている。銀行は貧困地域に直接お金を貸す代わりに、CDFIという中間に立つ存在にお金を投資や融資することで、その貧困地域にお金を貸すのと同等のことをした、地域再投資法の義務を果たしたと見なされる。94年に法律改正され、これによってCDFIに銀行から多額のお金が流れ込むということになった。
○その一方で、CDFIにはCDFIプログラムというのがあり、CDFI自体に対して補助金あるいは融資の原資を貸出をやっていおり、連邦政府などから多額の補助金等が入っている。そうしないとCDFIとしても食べていけないのが実態。
○地域再投資法などの一連の政策は黒人などのマイノリティの人たちが金融サービスを受けられないということがもともと問題の背景。市場の失敗と言うが、市場に任せてだけいては貧困層にはいつまでもお金が行かない、犯罪の増加につながっているとか、都市問題がいつまでも解決しないと。これは放っておいてはいけないということで、CDFIが出てきた。アメリカ固有の社会問題、歴史的な背景に根ざして発達してきた。
○イギリスの場合も似たような状況が背景にあって、アメリカから制度を輸入した。補助金ではなく、投融資によって貧困問題を解決しようというクリントン政権の「第三の道」の政策が特徴としてここに反映されている。
○主な投資先としては、アフォーダブル住宅。主に低中所得層の人たちに対して適切な金額の住宅を提供するというもの。そういうものをNPOが造って、主に低所得層に提供するというもの。その他、保育園、チャータースクールや高齢者福祉施設など。あるいは政府からの委託事業や補助事業といったものが中心。施設の建設、設備の購入や運営のための人件費にお金が主に流れている。とくに投資減税の場合は、土地や建物といった不動産のお金に流れている。

〔CDFIへの日本の導入の可能性〕

○アメリカの経験からというと、ムチの部分と投資減税などのアメの部分、仲介団体のようなCDFIが受け皿として機能するという3点セットでうまく回っている。
○日本の場合、地銀、労金、信金・信組などでカバーされていて、社会的排除をされている、銀行で口座を作れない人、お金を借りられない人は誰かということになる。
○日本ではアメリカのアフォーダブル住宅、保育園や福祉施設に相当するビジネスとして成り立つ事業の実態はどうかということ。NPOの融資制度はあまり機能していないのが現状。それを考えると、お金を貸す制度を作っても、それだけではなかなか動かない。
○投資減税の制度を作ればお金が集まってくるかというと必ずしもそうではない。ムチの部分や受け皿がないと無理だろう。
○日本における事業の可能性としては、事業として回って、採算が取れて、返済できるというビジネスモデルのもの、たとえば、菜の花でバイオ燃料を作る場合に、そのままでは市場競争力はないので、ドイツでやっている買取制度のような制度の導入やバイオ燃料に対する国の補助を設けるといったことができればで、何らかの市場を創り出すことは可能。あるいは、総合的なプロジェクト、公共事業をする中で、そこに投融資を組み込むというもので、低所得者向けの住宅整備をNPOと建設会社の共同事業として発注することなどができれば、そこに銀行がお金を貸し、地域経済の活性化や雇用が生まれる可能性がある。あるいは、保育園で雇用を生み出す際に、つなぎ資金を貸すといった可能性もある。
○都市銀も含めて、すべての銀行に対してコミュニティ投資を義務づけない限り、地域金融機関だけに義務付けするのでは負担が重すぎる。その上で、直接、都市銀行等がNPOに融資をしてもいいが、ノウハウがあまりないので、受け皿としてCDFI的なもの、NPOバンクやコミュニティファンドを受け皿として用意することが望まれる。現在、銀行や郵貯にお金を預けている預金者に対して、何らかの優遇策を与えることによって公益性認定委員会や国が認定した地域金融機関に預け替えをする、出資をする促し方というのも可能性としてある。
○日本版CDFIに対する私見としては、社会的な目的のための投資減税としては初めてのもの。減税という具体的なアメを用意したという点では前進。資金需要がなければ、投資減税の制度を作り、資金が集まっても使い途がなくて困ることになる。過疎集落、限界集落、水源地、森林の保全といったところを投資対象に考えている人もいるが、これがどうやってビジネスとして成り立って、お金の循環につながるのかということをよく考えてみる必要がある。
○事業のニーズを意図的に創り出すことも考える必要あり。たとえば、RPS法があるが、自然エネルギーの電力の買い取り枠を増やし、電力会社が風力発電の電気をより多く買うようにさせる、あるいは、長野県ではお年寄りの居場所である宅老所というのがあるが、その開設費用の4分の3を長野県が補助しており、これがNPOが宅老所を開くエンジンになっている。このような制度を作ることで資金ニーズを高めれば、投資減税も生きてくるのではないか。
○投資減税だけではなくて、銀行を叩くムチや補助金など総合的な政策として設計したほうがよい。
○お金が集まっても、それをうまく運用して、なるべく貸し倒れが少なくし、お金が生きるように運用するノウハウ、専門性がないと意味がない。そういう力量を高めていくということが重要。

【意見交換ポイント】

○金融機関の側にも、NPOやコミュニティビジネスに対する無理解がある。NPOは何をやっているかよくわからない、門前払いというところもまだある。労働金庫は13の労働金庫すべてでNPOへの融資制度を作っているが、信用金庫は270ぐらいある中、融資制度を作っているのがその10分の1ぐらい。制度は持っていないが、プロパー融資としてNPOにお金を貸すところもあるようだが、統計上は不明。
○信金、信組は、もともと相互扶助の考え方で成り立っている金融機関。地域の中でそのコミュニティが元気にやっていける、その地場の既存の産業をどう守り、育てているか、どうやってつないで事業をやっていってくのかといったことを、金融面から支え、地域の雇用を支えていく。地域で事業を続けることをサポートすること自体が、相互扶助的な考え方に基づく地域金融の大事な役割。これ自体が非常に公益性のある活動。信金等は、貸すノウハウ、目利き機能を充実させることが重要。資金を貸すと同時に、貸し手の企業を育てていく役割も担っているのではないか。
○NPOは企業ではないので、信用保証協会の保証が受けられないということが問題。そこが普通の企業とは違うマイナス面。金融機関も保証さえ付けば融資しやすい。
○メディアの対応にも問題あり。危ない金融機関というような雑誌の記事が出ることがあるが、逆に、「大切にしたい金融機関」といったランキングを作ってはどうか。アメリカの金融機関のディスクロージャーの中では、地域貢献活動、ボランティア等を積極的にアピールする銀行もある。信金、信組は地域貢献活動やボランティアを一生懸命やっているので、そういうところをもっと評価するようなことがあってもよい。
○「新しい公共」の担い手はNPOだけではなく、社会的企業で株式会社やコミュニティビジネスをやっているような事業体、有限会社、中間団体などいろいろな団体があっていい。いまの「新しい公共」はNPOに偏りすぎている。もう少し広い概念で捉えていいはず。
○中山間地域のことを考えたときに、日本にはもう1つJAバンクという金融機関がある。JAバンクも農協の組合員だけでは成り立たなくなることは目に見えていて、準組合員を増やして、自分たちのサービスの担い手を、いかに底辺を広げるかということをやっている。中山間におけるそういう準組合員を増やすということと、JAバンクの資金とが結びつくということは十分あり得る。巨大な投資機関である農林中金を核に地方に点在しているJAバンクが、意外に「新しい公共」を支える、中山間では核になる可能性がある。
○アメリカの場合は既にある程度確立したマーケットができていて、保育所を造るためにどうすればいいのかということがほとんどマニュアル化されている。日本の場合はこれからそういうのを作っていく段階。まだ、こうすればビジネスとしてできますよということがパッケージ化して、売り出せる状況にはないので、それをまずは見いだすことが大事。
○ビジネスのモデルとして、こうすればちゃんとお金が回って、その地域の中でちゃんと循環するよということがわかる成功例を実地で示すことで、じゃあ、やってみようかという自信がつくし、他のところでも、新たなアイデアが生まれてくる。おそらく普通の市場に任せておいてもあまりビジネスとして成り立たないという分野がほとんど。何らかの形で自治体が補助を出す、あるいは何か義務づけをする、制度化するという、自治体あるいは国の役割が求められる。
○アメリカの場合も、まったくの市場原理だけでコミュニティビジネスが成り立っているわけではない。そこには国あるいは市からの補助金や買い取りの義務がある、委託事業といった分野でと大部分成り立っている。CDFIの原資の出所も州や連邦政府というのが多い。お金を回す上で公的な存在というのが必要。
○NPOをどう評価するか。NPO鑑定士のようなみ国家資格が必要ではないか。
○アメリカのCDFIの場合に限っていうと、あまりリスクはない。CDFIの貸し倒れ率は0.5%~0.7%というレベル。一般企業よりもかなり低い。CDFI側でもいかに貸し倒れをなくするか、延滞率を低くするかに血まなこになっている。
○兵庫県の篠山市の古民家再生プロジェクトはファンド形式で市民からお金を集めて、ここの古民家を再生しましょうというプロジェクト。NPOたんばぐみという団体が実施。出資者がファンドにお金を出資、そのお金をもとに町家や民家を買い取り、修繕して、それを売却し、お金にするというもの。
○直接投資の問題は、出資者自身がその将来性、安全性等を判断して、もしダメになったら、出資金はゼロになるという了解をもらう必要があるということ。ファンドを運用する人の力量がかなり問われるので、日本ではこうした事例は少ない。
○別の見方をすれば、CDFIは、疲弊した、貧困層が多くて、社会的に排除されたエリアにお金を流し込むときに、公共投資という形で直接することは可能だが、公共が直接実施するよりも、地域での雇用を生んだり、お金を落としたりするめに、CDFI、NPOなどをかませるといった迂遠なプロセスを経させ、地域にお金を流しこんで、人の雇用の場も作り、活性化をしていこうという取組としてみることも可能ではないか。


文責:井上

〔参考:研究会配布資料〕
■ゲストスピーカー報告資料:『新しい公共を資金面から支える仕組みを考える~CDFIを参考事例に~』(PDF:298KB)

    • 元東京財団研究員
    • 井上 健二
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