~生命に関する科学研究はどこまで自由か~
今国会での採決をめざす臓器移植改正法案では、脳死の定義が議論の中心となっています。人の死を法はどのように定義すべきなのでしょうか。また、「死」とともに人の「始期」が議論の対象となっている受精卵を使ったES細胞研究はどこまで許されるのでしょうか―。
ぬで島次郎 研究員が主導する 「生命倫理の土台づくり研究」 では、生命倫理上「すべきでないこと」と学問の自由の枠内で「できること」の間に横たわる数々の論点を整理し、国会での「生命研究の規範に関する臨時調査会」の設置などを含む基本政策大綱案を 政策提言「生命科学研究の自由と倫理」 としてまとめました。
【提言の骨子】
<日本の生命倫理政策の問題点>
1.クローンなどの先端的事例に対応が極限され、対象範囲が狭い
2.倫理指針の名の下に、法でできない規制を行政指導で行っている
3.有用性偏重の研究振興が、生命科学固有の価値を歪め倫理を置き去りにしかねない
<取り組むべき課題>
日本の憲法は「学問の自由」を保障しており、生命に関わる研究に対しても法規制がためらわれ、民意に基づかない行政指導に頼るという矛盾が生じている。生命科学研究の自由の保障の内実を、現代の問題に合わせ明確にし、国会でのルール作りを目指す
<生命研究基本政策大綱の提案 ~アクションプラン~>
1.国の振興政策において、生命科学研究を技術開発から分ける
2.科学研究に対する国民の権利を明らかにする(国際人権規約の国内法化)
3.国会に「生命研究の規範に関する臨時調査会」を設置する
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