東京財団政策研究所ウェビナー(Webinar)の第4弾は、世界が注目する米中覇権争いとアメリカ大統領選をテーマに扱う。
米中対立が激化する中、トランプ大統領、バイデン候補の対中政策が注目される。8月末以降、今後の世界情勢を考える上で重要な政治日程が相次ぐことを踏まえ、激化する米中覇権争いといよいよ大詰めを迎えるアメリカ大統領選挙を軸に、外交分野において今後着目すべき点や、日本の取るべき方向性等について議論を行う。
本ウェビナーでは、東京財団政策研究所で「2020年アメリカ大統領選挙と日米経済関係プロジェクト」のプロジェクトリーダーを務める久保文明 東京財団政策研究所 上席研究員とともに、プロジェクトメンバーである佐橋亮 東京大学東洋文化研究所准教授、外交ジャーナリストの高畑昭男氏、西住祐亮 中央大学法学部非常勤講師、村上政俊 同志社大学法科大学院嘱託講師らが、ポストコロナの世界秩序の行方を米中対立とアメリカ大統領選挙を軸に読み解いていく。
[2020 年 8月27日収録]
東京財団政策研究所ウェビナー「米中覇権争いとアメリカ大統領選挙:ポストコロナの世界秩序の行方」
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CHAPTER 0:「米中覇権争いとアメリカ大統領選挙:ポストコロナの世界秩序の行方」[5:04]
久保文明 東京財団政策研究所上席研究員(進行・コメンテーター)
CHAPTER 1:「先鋭化する米中対立と香港、ウイグル、台湾」[17:37]
村上政俊 同志社大学法科大学院嘱託講師(スピーカー)
CHAPTER 2:「米中対立 ― 大きな転機」[16:47]
佐橋亮 東京大学東洋文化研究所准教授(スピーカー)
CHAPTER 3:「外交をめぐる民主党内の対立 ― 民主党党大会の時点を念頭に―」[19:34]
西住祐亮 中央大学法学部非常勤講師(スピーカー)
CHAPTER 4:「米大統領選と米中『新冷戦』の展開」[23:26]
高畑昭男 外交ジャーナリスト(スピーカー)
CHAPTER 5:「ディスカッション:米中覇権争いとアメリカ大統領選挙」[33:04]
久保文明 (モデレーター)
佐橋亮 高畑昭男 西住祐亮 村上政俊 (パネリスト)
動画配信
「米中覇権争いとアメリカ大統領選挙:ポストコロナの世界秩序の行方」[5:04]
現在、トランプ政権の下でアメリカの外交に大きな変化が起きている。とりわけ日本にも重要な影響を及ぼす、アメリカの対中国戦略は1960年以来で最も厳しい様相を呈している。2020年11月にはアメリカ大統領選を控え、米中覇権争いをはじめとしたポストコロナの世界秩序の行方は世界が注目する事項である。トランプ大統領は再選されるのか?もしも、バイデン政権になった場合どのような変化が起きるのか?本ウェビナーの背景と趣旨を久保文明 東京財団政策研究所 上席研究員が解説する。
「先鋭化する米中対立と香港、ウイグル、台湾」[17:37]
中国が国際社会の懸念を顧みず強行した香港国家安全維持法の制定を契機に、人権問題に敏感なアメリカ議会の反中感情は高まり米中対立関係をより厳しいものとしている。他にもアメリカはウイグル人の人権侵害を理由とした制裁の規定や、台湾防衛へ本腰を入れる姿勢を示し、南シナ海でも活発な動きを続ける中国の習近平政権との緊張関係をより一層際立たせている。こうして先鋭化する米中対立について、村上政俊 同志社大学法科大学院嘱託講師が、香港、ウイグル、台湾、南シナ海のそれぞれに対するアメリカ側の措置と、その措置に対する中国側の反応について、掘り下げて解説する。
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「米中対立 ― 大きな転機」[16:47]
米中対立は今、大きな転機に差し掛かっている。これまで、2年以上に渡り、貿易戦争や安全保障問題、アメリカによる技術規制などの対立が続いてきた。しかし、2020年になってから起きている米中間の衝突は、これまでに類を見ないほどに激いものになっている。何故、米中関係はこれほどまでに悪化しているのか?佐橋亮 東京大学東洋文化研究所准教授が、米中関係の歴史的展開からアメリカの中国に対する関わり方の転換点を紐解き、米中関係の政治的利用や世界情勢の変化による米中対立の更なる加速について解説する。
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「外交をめぐる民主党内の対立 ―民主党党大会の時点を念頭に―」[19:34]
アメリカ国内では外交のスタンスにはおいてどのような対立図式が存在するのか?これまで「主流派」と言われてきた路線は、表面上は民主党と共和党の意見対立が存在するものの、「軍事」「経済」「価値」の全ての領域でアメリカがリーダーシップを執るという点については価値観を共有するものであった。本動画では今日台頭してきた異質とも言える「アメリカ第一の路線」「プログレッシブ外交路線」の概要を紐解きながら、特に民主党内の意見対立に光を当てる。直近の民主党党大会を念頭に、西住祐亮 中央大学法学部非常勤講師が、民主党内における「外交をめぐる穏健派と左派の対立」「バイデン候補による党内結束の模索と限界」などの論点を掘り下げ、議会における左派の伸長など今後の注目点を明らかにする。
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「米大統領選と米中『新冷戦』の展開」[23:26]
トランプ政権の外交はどんな経過を辿って、現在の「新冷戦」と呼ばれるような米中の本格的な対立の道に踏み込むことになったのか?アメリカが新冷戦に勝つために「対中包囲網」を築くことが出来るのか?といった問題や、今回のアメリカ大統領選における、民主党と共和党の対中姿勢についての考察などを交えて、アメリカ大統領選と米中「新冷戦」の展開について外交ジャーナリストの高畑昭男氏が解説する。
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「ディスカッション:米中覇権争いとアメリカ大統領選挙」[33:04]
久保上席研究員による進行のもと、下記のような多様な問いに対し、プロジェクトメンバーがそれぞれの専門的知見に基づき議論する。
- これからの対中政策はどう変化していくのか?トランプ政権/バイデン政権による政策の違いはあるのだろうか?
- アメリカから中国に対する人権批判などは、実際の制裁はあるのか?
- バイデン政権が考えている『同盟重視』はどのくらいの姿勢が予想されるか?
- 中国の目線ではトランプ/バイデン政権を其々どう見ているか?
- バイデン支持に回った議員たちの動向は外交論争にどう影響を与えるか?
- 日本はこの大統領選をどう見て、何をすべきか?
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<東京財団政策研究所ウェビナー(Webinar)の開催にあたって>
東京財団政策研究所では従来から、総計100回以上に及ぶ東京財団政策研究所フォーラム、各種公開研究会などの開催を通じて、カンファレンス・セミナー形式での政策研究成果の発信、参加者との相互交流などに努めてまいりました。この度、新型コロナウィルス感染症の世界的な拡がりを受けて多人数での集いが制約される中、東京財団政策研究所は新たにウェビナー(Webinar)を開催していくことといたしました。ウェビナーとはウェブ(Web)とセミナー(Seminar)を組み合わせた造語で、数年前から米国を中心に拡がってきた試みです。
私たちは、このウェビナーを当座しのぎのものとは考えていません。従来型のカンファレンスやセミナーの制約された代用品にするつもりもありません。即時性、双方向性などウェブならではの特長を生かし、時代の変化に合わせた新しい形の政策論議、知的交流の場として、今後、発展させていきたいと考えています。当初は不慣れゆえの試行錯誤もあるかと思いますが、そこはご寛容いただきつつ、末永くお付き合いいただきますようお願い申し上げます。