東京財団研究員
大沼瑞穂
中国のGDPが日本を抜いて、中国が経済大国第2位の座を奪ったとのニュースが最初に流れたのは、昨年の夏。2010年の第2四半期に、中国のGDPが日本を抜いたのである。そしてさらに、今月、中国国家統計局は、2010年のGDPが前年比10.3%と政府予想の8%を大幅に上回り、その額は39兆7983億元であったことを発表した。日本のGDP統計は来月に発表されるものの、中国が日本を抜き、世界第2位の経済大国の座につくことは確実だ。
経済不況にあえぐ日本を尻目に、金融危機後も、中国は大規模な財政出動によって、一瞬にして、景気を取り戻した。日本の二の足は踏むまいと中国指導部は、不動産バブルを懸念し、インフレ抑制に懸命だ。
世界経済が失速する中で、中国だけが独り勝ちしているようにさえ思えるが、中国経済は、いまだに消費が拡大せず、投資に偏っている。さらに、農村と都市の格差、官僚の腐敗や汚職など多くの社会問題を抱え、食品の価格高騰は、各地での小規模だが暴動の引き金となっており、民主化への不満も渦巻いている。
今後は、経済成長とともに、医療制度や公共サービスの充実といった社会基盤整備や一人っ子政策による一気に訪れるだろう少子高齢化問題への対策が重要になってくる。中国のいま、そして今後の経済を具体的な政策をひも解くとこで、冷静かつ客観的に分析していかければならない。
第四回日中政策勉強会では、第12次5カ年計画から見る中国経済をジェトロ海外調査部中国北アジア課課長・真家陽一氏からご講演いただき、その後、中国経済の課題など積極的な意見交換を行った。
勉強会の議事録は、こちら→→ <第4回日中政策勉強会>