第2回研究会概要
日時:2009年5月26日(火)14:00-17:00
場所:東京財団E会議室
出席者:
木下敏之 東京財団上席研究員
福嶋浩彦 東京財団上席研究員
中尾修 東京財団研究員
伊藤伸 構想日本政策担当ディレクター
赤川貴大 東京財団政策研究部プログラム・オフィサー
議論・意見交換の内容
2009年4月現在、48の市町村の議会で「議会基本条例」が制定されている。この動きは基本的に議会改革の基本姿勢と具体的な取り組みとして歓迎する同時に評価する。だが、制定だけに満足することなく、条文の一つひとつを比較していくこと、そして実際の運用を検証することは、「自治の力」がどれだけ推進されて、継続されるかを確認する上で重要と考える。基準となるべき指標としては、いくつか考えられるが、日本初の議会基本条例である栗山町議会基本条例をモデルとして今後の調査・研究を行うこととした。幸い、議会事務局長として制定に尽力した中尾修氏を研究員がメンバーとして参加しているだけでなく、栗山町議会事務局の現職職員も 「東京財団週末学校」 に参加しており、運用現場の実情についても意見をいただけるなど体制が整っている。
「栗山町モデル」の重要な着眼点は、議会と市民の関係である。特に「住民参加と情報公開」を最重要視している。制定に至るまでは、試行錯誤の繰り返しであり、それまでの議会活動の苦楽の産物である。住民の理解、信頼がなければ健全な議会活動は成し得ないとの実体験から誕生した「議会基本条例」である。
議員の心理や行動パターンの議論を行った。理想は重要であるが、議会を構成する議員は実在する人間であり、その現実を軽視しては、議会基本条例も理念条例と化すこともあり得る。
議長や議会事務局長など中心人物の役割は重要であることはもちろんであるが、その後任の能力や強力なリーダーに頼らず運営できる仕組みが求められるとの意見があった。
栗山町議会が条例制定3年を記念して作成した「議会基本条例の展開」に掲載されている「議会基本条例比較」(作成:福士明)を参考に、分析項目を決定した。また、実態調査のヒアリング項目についても「議会と市民の関係」に着眼し、(1)議会報告会・一般会議の具体的な方式(住民参加の状況・議員の参加状況)、(2)参考人・公聴会の実施状況、(3)議員の自由討議の方法と実態、(4)議会事務局の体制について、今後ヒアリングを行うこと
とした。
現在、議会基本条例を制定した48市町村の議会にアンケート調査を実施している。同時にヒアリング調査も進めており、全貌が見えるまでには若干の時間を要するが、興味深い結果が期待できる。
年末を目途に「議会基本条例“東京財団”モデル」として、いくつかの必須項目を提案する。また、「行革派」の手法を用いて、地方議員の活動実態調査を実施する予定である。
なお、第一回研究会は、4月24日14:00~16:00プロジェクトの運営方針や最近の地方分権改革の動き、議会改革の重要性等について、自由討議を行った。
(文責)赤川貴大