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長野県松本市議会報告会調査レポート

February 24, 2010

概要

2010年2月10日午後7時から開催された長野県松本市市議会の第1回議会報告会に参加しました。会場は松本市総合社会福祉センターの4階でした。登壇議員は17名でした。参加者は約100名、その中には議員バッチを付けた方も複数いました。マスコミのカメラもあり、やや緊張感が会場全体にありました。

まず、司会の議員から報告会の次第が説明され、続いて議長から開会あいさつがありました。議会運営委員長から議会報告として、市議会の仕組み・活動について説明があり、引き続きその件についての質疑応答が行われました。配布資料は、パワーポイントのスライド2枚を1ページに印刷した冊子でした。各スライドは、必要に応じて写真や図表があり、また要点を簡潔に纏められており、読みやすいものでした。

続いて、議会運営副委員長から「身近な市議会を目指して」と題して議会基本条例に関連して議会活動の報告がありました。

参加した市民からの質問は、配布した資料に沿ったものが多かったです。主な質問は、以下のとおりです。

・委員会/議員提出議案の件数についての所見
・「会派」と「党派」の違い:「無所属」と「諸派」の違い
・傍聴者数についての所見
・議会子ども控室の利用方法ならびに状況
・議会基本条例に自由討議を明記した理由や背景
・議会基本条例に反問権を明記した理由や背景
・常任委員会と議会運営委員会並びに4つの特別委員会の重複議員数、選出方法、会派構成

(撮影:金子勝寿)

雑感

会の進行も運営もおおむねスムーズに行われた印象を受けました。配布した説明資料の完成度は高かったです。しかし、事実を明記しただけにとどまり、問題点や方向性が打ち出せていなかったのが、意見交換で表明された市民の厳しい発言の背景にあるのではないでしょうか。議会報告会に形式的美を求めず、市民との忌憚のない意見交換の場ととらえれば、より活発な議論ができたのではないでしょうか。市民もそれを望んでいるようです。議員がどのような問題意識で議会運営にあたっているのかを知りたいようでした。

議会報告が開会から1時間を超えていました。議員は自身の発言を極力抑え、聞き役に徹する気持ちで議会報告会に臨むのが賢明ではないでしょうか。時間配分が次回の課題のひとつと認識しました。また、市民からの質問に明確、明瞭に返答することができる議員と準備不足の議員が見受けられました。想定問答集は不要ですが、記述している文言や単語については、熟知することが望ましいです。「会派」と「党派」の違いについての説明に苦慮することなどは、議員が当然と考えていることが、多くの市民にとっては不思議であり理解に苦しむこともあり、これまでの議会が議員だけの内向きの理論で行動していたかの証左でもあります。

松本市議会に限らず多くの自治体議会で見受けられる事例ですが、議案の審議状況や情報公開の状況を説明していますが、単に数字を羅列するだけでなく、ある程度の数値目標を設定することなどを議会で議論することはないのでしょうか。たとえば、議員提出議案を現状の2倍を目指す、請願・陳情の審査件数を3倍に増やすことは検討できないのでしょうか。議会ホームページのアクセス件数やケーブルテレビの視聴率の向上など民間企業で一般的に数値目標化されている項目から着手することを提案します。議案や請願・陳情、議会質疑の内容、ホームページの内容の充実は当然ですが、質を求めるために量を得ることも必要ではないでしょうか。

東京財団の 政策提言「市民参加と情報公開の仕組みをつくれ 地方議会改革のための議会基本条例『東京財団モデル』」 で取り上げましたが、議長の任期は4年とするべきです。松本市議会の配布資料には、“議長・副議長の任期は2年(申し合わせ)、5月の臨時会で選挙”と明記してあり、議長のリーダーシップが求められる時代に対応する危機感が充分なのか不安になりました。

<文責:赤川貴大>

    • 元東京財団研究員・政策プロデューサー
    • 赤川 貴大
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