⇒ 第1回テーマ 「改正臓器移植法施行後の課題」
⇒ 開催日時 :2010年9月7日(火)15:00-17:00
⇒ 開催場所 :日本財団ビル3F 東京財団内会議室
⇒ 概要説明(ねらい)
7月に改正臓器移植法が施行されてから1ヶ月足らずで脳死による臓器移植が7例(9月7日現在)出ています。これを「想定通りの順調な滑り出し」、あるいは、「違和感あり」とみるのでしょうか。そもそも脳死移植を受け入れるとはどういうことなのでしょう。移植先進国の例をみながら、改正移植法の今後の課題について議論します。
⇒ 議論の展開
・脳死件数を増やすことが医療の目的なのか
・再生医療への期待
・家族の負担、提供者への健康被害、人権をどう考えるのか
・臓器移植の今後の課題
⇒ スピーカー紹介 ぬで島次郎研究員
⇒ スピーカーからのコメント
ホットな時事問題について、現場で取材する人、紙面で論評する人、科学コミュニケーションに携わる人、この問題にいままで関心をあまり持たなかった人など、多様な立場の人々の間で、率直に意見交換ができる場を持つことができました。周りの人がどういう考えを持っているか、知ることができたのがよかったという感想をいただきました。意外にそういう分かち合いの場がなかったのですね。サロンの意義と重要性をあらためて認識できた第1回でした。
⇒ 参加者のコメント
・脳死をどう捉えるか。自分が脳死状態になった場合の臓器提供の判断として、全てを家族に委ねるのは、相当の負担を課してしまうのではないかと感じられる。制度として、家族承諾による臓器提供の方法がある以上、家族とのコミュニケーションは重要だと思うが、それをどこまで広げるかについても悩む。その悩みも含めて、臓器提供という話題を避けることなく、話をすることができる時間や場を持つことが必要だと思う。(30代男性)
・施行後の家族承諾による臓器移植の増加に違和感を感じていました。今回参加して、「予想通り」と考える方もいること、また、日本で多い生体間移植については、提供者への健康被害や人権、補償が曖昧であることを知りました。自分や家族が脳死状態になったとき、限られた時間内で、後悔しないような決断ができるのか、とても不安を覚えます。脳死に限らず、祖父母や両親、そして自分がどんな老い方、死に方をしたいのか、考えることは自然なことなのかもしれない、と思い始めました。(20代女性)
・臓器移植を自らの問題として捉えることができ、早速ドナーカードに提供拒否の意思表示をし、受容も拒否することを家族に伝えました。私は、命は限りあるものだから、素直に寿命を受け入れたいと考えており、他人の死により生き続けたいという願望はありません。しかし、まだ小さい姪が臓器移植により助かるという状況になったとしたら、移植に頼りたいという欲が出てくると思います。自分、家族と対象が異なれば、考え方も変わってくるので、自分の倫理観が定まらず混乱しています。(40代女性)