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【生命倫理サロン】番外編「人のふるまいを実験材料にしてよいか~行動科学の倫理を考える夕べ」

January 21, 2013

⇒ 番外編 「人のふるまいを実験材料にしてよいか~行動科学の倫理を考える夕べ」

⇒ 開催日時 :2013年1月18日(金)18:00-21:00

⇒ 開催場所 :日本財団ビル3F 東京財団内会議室

⇒ 概要説明(ねらい)

人体実験といえば、患者に新しい薬や手術法を試す医学の臨床研究が引き合いに出されるのが普通です。しかし、人の行動とその際の心理を実験対象にする行動科学の分野でも、対象者に相当のリスクを与え、思わぬ倫理問題を引き起こすこともあります。

今回は、そうした行動実験の実話に基づいた劇映画を観て、生命倫理の議論では取り上げられることが少ない、集団の中での人のふるまいを実験対象にする行動科学研究の倫理について、語り合う機会を設けたいと思います。

どうぞふるってご参加ください。

⇒ モデレーター紹介
ぬで島次郎(東京財団研究員)


⇒ モデレーターからのコメント
いじめやリンチなど不快な場面の多い映画で、参加者のみなさんには申し訳なかったと冷や汗ものでした。それでも遅くまで熱心に議論していただきました。ありがとうございました。
行動科学の研究は、被験者に精神的・心身的なリスクや害を与えることがあるので、それが許される条件や危険防止対策やトラウマを残さないアフターケアの備えなどは不可欠なはずです。その極端な例をフィクションにして突き詰めて見せてくれた映画でした。
いわゆる倫理委員会が目を配るのは、フィジカルなーその意味でわかりやすいーリスクや害を伴う医学研究がほとんどで、研究が精神や人格にもたらすー見えにくくわかりにくいーリスクは倫理問題として取りあげられることがなさすぎる気がします。
この数年で、医学研究では厳しいチェックが当たり前になりつつありますが、その外で、チェックの甘い、またはまったく及んでいない『人体実験』が行われているかもしれない。そのことに注意を喚起したかったのが、今回の主宰者の思いでした。流行の脳科学なども、行動科学と医学の狭間にあって、どこまでチェックが行き届いているのか、気になります。
今後生命倫理サロンでは、様々な領域に目を配りつつ、人の体と心を対象にする実験研究が許される条件について、掘り下げて考えていきたいと思います。


⇒ 参加者のコメント
・科学より芸術寄りの世界に身を置く初参加の者ですが、たいへん良い経験でした。
門外漢ながら、科学の中での従来の分野境界は曖昧になりつつあるように感じています。もしかすると科学という概念すら他分野との境界を明確にできない面がありはしないでしょうか。そうした中で「倫理」をどう捉えるか。何が許容できずどう規制するのかを、より広く議論すべきなのかもしれないですね。意見交換の中で出たテレビ番組「どっきりカメラ」の話題にそのようなことを考えさせられました。規制を厳しくすることは知識や文化の矮小化を招くので難しい問題ですね。(50代男性)

・「人体実験」といいますが、体だけでなく、「ひと」を対象とするのなら、必ずこころのことを考えなければならないと思いました。でも、指針を作るのも審査をするのも中止や継続を判断するのも全て「ひと」です。ひとは状況によっていかようにも変わることを考えると、指針や審査を作って安心するのではなく、自分で自分を守るためにもっと考える力をつけなければと思いました。(40代女性)

・衝撃的な題材の映画で面白かったです。終わった後も皆さんの色々な御意見・情報が沢山聞けて良かったと思います。こうして話をする機会は貴重ですね。(50代男性)

・映画について、行動科学のヒトでの実験というテーマを考えるには、刺激があり適したものであった。ただし全編2時間を観る必要はなく、1/3~1/2程度にまとめたものでも目的は達したのでは?映画としての質はあまり高くなかったので。でも、正月の特別の催しとして考えれば全編でも可。議論については、参加者にはなじみのうすいテーマにもかかわらず、リラックスした雰囲気で活発に議論できたと評価される。(50代男性)

・今回の映画を鑑賞させていただき、一番に感じたことは、人の精神状態を調べる実験計画そのものに問題があるのではないかということである。映画では、被験者を探す際にでも、参加を望む人々はお金や好奇心のため、あるいは何も考えずに参加したとしている。だが、気軽に研究に参加したことにより精神障害をきたすこともある。(中略)規則作成においても、個々人の条件(アレルギー等)を調べあげた上で被験者を研究者が慎重に選ぶべきだと思った。(女性)

    • 元東京財団研究員
    • 橳島 次郎
    • 橳島 次郎

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