先端生命科学・医学の進化は、私たちの想定していなかったことを可能にしています。
改正臓器移植法が7月17日に全面施行されますが、この臓器移植法だけを見ても、そもそも「臓器」の限定的な定義や「死」の定義、人とモノの境界はどこにあるのか、議論が十分に尽くされているのか疑問です。
日本ではこれまで、先端生命科学・医学の何をどこまで認めるかについて、場当たり的な対応をしてきた結果、ごく一部の医療や研究(脳死移植、クローン関連研究、ES細胞研究)には厳しすぎる規制がかけられている一方で、野放しの分野も依然多く(生体移植、生殖補助など)、いびつな状況です。
この現状を正す必要がありますが、人の生命と身体を巡る自由と権利および学問研究の自由と権利の二つの面で、立法に消極的な姿勢が顕著です。
東京財団 「生命倫理の土台づくりプロジェクト」 は、その二つの面での論点を整理し、それに基づく社会の枠組みを発信することによって、日本における生命倫理政策の論議をリードすることを目的とし、2年半におよび研究してきましたが、今般、そのとりまとめを行いました。
【概要】
1.生命倫理政策の形成には根本からの議論が必要!
生命倫理政策を考える上では、日本人の生命観、身体観といった哲学的土 台を通じて、様々な立場の人が参加して議論する社会的土台を形成し、一 方、科学を有用性から切り離し自由を確保する科学的土台から医学への展 開を規律する医学的土台の形成が必要。これらが相互に影響しながら最終 的に法的土台が形成される。
2.「生命倫理サロン」の立ち上げを!
生命倫理政策の政策形成に必要不可欠な社会的土台の形成として、「生命倫理サロン」を立ち上げる。生命倫理について議論できる、情報を入手できる、そのようなオープンな「場」をつくることで、日本の生命倫理政策の進化を目指す。
◆最終報告書【PDF 548KB】は こちら
お問い合わせ:
東京財団 政策研究 冨田
tomita(a)tkfd.or.jp ※(a)を半角の@にかえて送信してください
TEL:03-6229-5502
0%