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第5回 現代病理研究会

November 13, 2008

2008年11月7日開催の第5回研究会は、ゲストにヤマザキ動物看護短期大学准教授の新島典子氏を迎え、「文明とペット」をテーマに議論を行った。本プロジェクトでは、現代社会においてペットの存在価値や意味が昔と比較して変化してきているのではないかと仮定している。今回の研究会では、ペットと人間の関係性の変化からどのような現代社会の特徴が浮き彫りになるか、新島氏の発表に基づき議論を行った。

新島氏によると、ペットの飼育頭数については、動物業界団体による飼育頭数の推計や民間企業の調査など複数あるが、調査時期・対象・規模等、調査条件の違いから、単純比較は難しい。厚労省やペットフード工業会の調査によれば、犬・猫の飼育頭数は微増減はあるものの、長期的には増加傾向にある。同工業会の推計によれば2007年10月現在、約1,250万頭の犬、約1,020万頭の猫が家庭で飼育されている。ペット産業市場は1兆円規模といわれ、ペットフードの多様化・高級化や、医療需要の高まりが見られる。獣医療の高度化に伴い、動物看護師という新たな職域へのニーズも増している。屋内飼育されるペットも増加傾向にあり、首都圏では2007年に新築された分譲マンションの86.2%がペット飼育可能になっている。番犬やネズミ捕りなど使役動物として期待された犬や猫は、昨今ではペットとして愛玩されるニーズが高まっていると考えられる。1998年から2005年にかけてはペット霊園が倍増し、2005年には全国で700か所を超えるに至った。それに伴い、少なくとも24都道府県の70市区町村がペット霊園を規制する条例や要綱を設けた。また、ペットの増加に伴い、ペットに対する虐待、遺棄・廃棄の問題も大きな課題となっているという。こうした論点を中心に、詳細なデータや事例の紹介を頂いた。

続く全体議論では、新島氏の発表を受けて、現代のペット事情から見る人間の側の変化や、諸外国におけるペットの社会的位置づけの違いといった視点から、文明論的議論を試みた。今後さらにデータを収集し、時代変遷や諸外国との比較などから分析することで、現代社会を考えるひとつの問題提起に繋げていく。


(文責:政策研究部 吉原祥子)

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