2017年7月20日に、書籍『人口減少時代の土地問題―「所有者不明化」と相続、空き家、制度のゆくえ』(中公新書)が刊行されました。人口減少社会を迎えるなか、大きく注目されるようになってきた「所有者不明化」を中心とした土地問題を、正面から扱った初めての書籍です。東京財団が2009年より行った「国土資源保全」研究プロジェクトの成果を土台としています。
▼ 書籍の詳細情報
- 『人口減少時代の土地問題―「所有者不明化」と相続、空き家、制度のゆくえ』
- 吉原祥子 著
- 単行本: 208ページ
- 出版社: 中央公論新社 (2017/7/20)
- 言語: 日本語
- ISBN: 978-4-12-102446-6
- 刊行日: 2017/7/20
本書の内容について
日本の私有地の約20%で、所有者がわからない――。持ち主の居所や生死が判明しない土地の「所有者不明化」。この問題が農村から都市に広がっている。空き家、耕作放棄地問題の本質であり、人口増前提だった日本の土地制度の矛盾の露呈だ。過疎化、面倒な手続き、地価の下落による相続放棄、国・自治体の受け取り拒否などで急増している。本書はその実情から、相続・登記など問題の根源、行政の解決断念の実態までを描く。
目次
はしがき
第1章 「誰の土地かわからない」――なぜいま土地問題なのか
- 空き家問題の根源――森林・農村から都市へ
- なぜ管理を、権利を放置するのか
- 法の死角――あいまいな管轄、面倒な手続き
- 下落する土地の価値――少子・高齢化、相続の増加
第2章 日本全土への拡大――全国888自治体の調査は何を語るか
- 死亡者課税による”回避”――災害とは無関係の現実
- 相続未登記、相続放棄の増加――土地に対する意識の変化
- 行政の解決断念――費用対効果が見込めない
第3章 なぜ「所有者不明化」が起きるのか
- 地籍調査、不動産登記制度の限界
- 強い所有権と「土地神話」の呪縛――人口増時代の”遺物”
- 先進諸外国から遅れた現実――仏、独、韓国、台湾との比較
第4章 解決の糸口はあるのか――人口減少時代の土地のあり方
- 相続時の拡大を防げるか――難しい法改正と義務化
- 土地の希望者を探せるか――管理・権利の放置対策
- 「過少利用」の見直しを――新しい土地継承のあり方
あとがき
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