高齢化・過疎化の中、各地で耕作・施業・操業の対象としない農地・山林・海域が増え、いわば「国土の空洞化」といえる現象が進んでいます。その一方で、国土資源のグローバルな獲得競争の動きは依然として続き、「国土と市場活動と租税」の関係も複雑化してきています。
しかし、我が国の土地法制は基本的に明治期のままで、昨今の変化に十分対応できているとは言い難い状況です。目的不明の土地買収が山林等で増えていく中、所有者の不明化が広がりつつあります。土地は家計資産の約56%を占め、土地担保は金融制度の柱でありながら、地籍の不備、登記の任意性、売買届出の不徹底などにより、行政は所有実態を掴みきれていません。
各地で土地問題は慢性化していますが、平時は問題が表面化しにくいため課題を実感しづらい状況です。また、この問題は複数の省庁や財産権の問題に及び、統計データや情報も不十分であることから、解決が先送りされ続けています。
しかし、数々の土地問題がそのまま自然に消えていくことはありません。東京財団 「国土資源保全」プロジェクト では、時代の変化を見据え、縮小社会における国土保全のための合理的な仕組みを構築するため、政策提言をまとめました。
政策提言「空洞化・不明化が進む国土にふさわしい強靭化対策を~失われる国土II」(PDF:960KB)はこちら(B5版)
【政策提言1】「重要国土」の保全
(1)重要国土(第I、II種)の保全
(2)地域重要国土の保全
【政策提言2】国土基盤情報の強靭化
(1)不動産登記制度等、土地関連法の見直し
(2)国土基盤情報の明確化
(3)土地情報の積極的な公開
【政策提言3】土地保全のための連携強化・活用促進
(1)自治体ネットワークの創設
(2)所有者不明地の公有化等、適正な権利移動の促進