本年度から始まった「エネルギーと日本の外交研究」プロジェクトの第一回研究会を去る6月3日、東京財団会議室にて行いました。
今回は「石油・天然ガスの現況と課題」を主題に、経済産業省 資源エネルギー庁 資源燃料部 石油・天然ガス課 課長補佐の佐々木雅人氏をお招きし、お話を伺いました。
まず、我が国のエネルギー供給の約6割は石油・天然ガスが占めており、依然として、エネルギー政策上、非常に重要な位置を占めています。
以下の表は、2006年度の我が国の原油輸入先です。やはり中東地域にその90%近くを依存していることが分かります。世界の石油埋蔵量の61.5%が中東地域に集中している事を考えると、原油に関しては、我が国にとって、今後とも、中東地域が最も重要な輸入先であることに大きな変化はないと考えられます。
また次の表は、2006年度の我が国の液化天然ガス(LNG)輸入先です。これを見ると、原油と比較して、LNGに関しては、その輸入先がアジア太平洋地域にも分散していることが分かります。ただ、エネ庁佐々木氏によれば、我が国のLNG輸入量の18%を占めるインドネシアが今後、天然ガスの輸出を大幅に減らす予定で、それをロシア(サハリン)、オーストラリアの新規プロジェクトからのLNG輸入で埋め合わせていく計画になっています。
2年前、ロシア政府が日本の三菱商事や三井物産が出資するサハリン2プロジェクトに関して、環境問題でクレームを付けたことで、プロジェクト自体が大幅に遅れる懸念が浮上しました。この出来事の政治的背景は兎も角、この問題がこじれにこじれていたら、まさに我が国のエネルギー安全保障にかかわる問題だったのです。
エネ庁佐々木氏のお話を一通り伺った後は、研究会出席者の平田竹男東京財団研究員(元エネ庁石油・天然ガス課課長)、畔蒜泰助東京財団研究員、平沼光東京財団プログラムオフィサーを交えて、質疑応答が行われました。
次回は、原子力を主題に研究会を開催する予定です。