インタビューシリーズ「障害者の自立を考える」概要
・高山亨太さん:都立中央ろう学校スクールカウンセラー <前> <後> (2013/1/29) 〔インタビュー後記〕
・垣内俊哉さん:株式会社ミライロ 代表取締役社長 <前> <後> (2012/10/16) 〔インタビュー後記〕
1.趣旨
健常者と異なり、障害者には相応の支援・配慮が必要なのは間違いありません。同時に、大多数の健常者が知らず知らずのうちに形成した社会的バリアの前に、数多くの障害者が社会参加や自立の機会を失われて本来の能力を発揮できず、社会から排除されているのが実情です。その典型が高等教育の分野であり、高等教育機関の在籍者に占める障害者の割合は0.3%(2011年度現在)に過ぎません。東京財団では2012年8月、 「障害者の高等教育に関する政策提言」 を取りまとめ、障害者の社会参加機会を拡大する上で、教育と雇用の結節点である高等教育機関に、障害者が進学しやすい政策・制度を提言しました。しかし、高等教育の2~4年間だけで障害者の自立が進むわけではありません。そこで東京財団では、大学に進学し、その後、社会人として活躍している障害者の方々に、誕生から就学・就職までの生い立ちをお伺いする中で、日々の喜びや苦労、思いを浮き彫りにすると同時に、「障害がある人々にとって何が社会参加の妨げとなっているのか?」「どうすれば社会参加が進むのか?」といった点を探り当てるインタビューを実施することにしました。
そして、その内容を広く公開することによって、健常者が陥りがちな「障害者=一方的に支援を受ける社会的弱者」という先入観を取り払い「障害者という市民が社会参加機会を高めるには何が必要なのか?」を考えていただく契機としたいと考えています。社会全体が、障害者である前に普通の市民であることを十分理解しなければ、障害者の社会参加機会に必要な如何なる政策も制度も長続きしないからです。
もちろん、障害の種類や度合い、ニーズは人それぞれなので、そのニーズも個々で異なる以上、個別事例を以て制度論の全てに敷衍することはできません。だからといって、社会の前線で活躍する障害者を増やし、社会の担い手を増やしていこうとする観点は欠かしてはならないと考えます。同時に、障害を持つ人にとっても、参加機会の成功事例を知ることは有益ではないでしょうか。
今回のインタビュー企画が社会の全構成員にとって、障害者問題に向き合う契機になって欲しいと考えています。
2.インタビュー候補者
障害がありながら健常者と同じように大学を卒業し、社会で働いている障害者
3.主なインタビュー項目
「聞き書き」(聞き手が話し手に様々に質問し、その対話を書き起こした後、話し手の言葉で文章をまとめる手法)を用いて、高等教育の2~4年間だけでなく、生い立ちから現在までの生涯で印象に残った出来事、楽しかったこと、悲しかったことなどを振り返って頂きます。障害者の自立を考える上では、その前段階としての義務教育や高校、雇用、生活を支援する福祉、移動を保障するバリアフリー化、所得を保障する年金など様々な制度が絡んでおり、制度を横断する考え方が求められるためです。同時に、制度から抜け落ちる部分に対する配慮も求められるため、個々人で異なる障害者のニーズも明らかにしていきたいと考えています。
生い立ち、家族との関係
小中高校段階
・就学や進学時に特別支援学校を選ぶかどうかの判断
大学段階
・進学先の情報収集や学力向上対策
・試験面での配慮
・在籍中に配慮が必要と思った出来事
社会人段階
・就職活動に際して配慮が必要と思った出来事
・勤務先で配慮が必要と思った出来事
障害者の社会参加機会を確保・拡大する上で必要と思うこと
4.その他
関連プロジェクト: 障害者の高等教育政策
インタビュアー : 三原岳 (東京財団研究員・政策プロデューサー)
石井靖乃(日本財団国際協力グループ長兼公益ボランティア支援グループ長)