日本の資源・エネルギー外交の優先課題 II
ここ数年、化石燃料価格の高騰や地球温暖化問題への関心の高まりを背景にして、風力・太陽光などの再生可能エネルギーと次世代自動車やリチウムイオン電池といった省エネ高効率機器の普及、そして原子力発電の推進といった環境・エネルギーの先端技術に世界的な注目が集まっています。
日本でも2010年3月12日に政府が閣議決定した地球温暖化対策基本法案において、温室効果ガス削減や脱化石燃料の具体策として、再生可能エネルギーの導入、省エネ高効率機器の普及、そして原子力の推進という環境エネルギーの先端技術を利用した施策が盛り込まれるなど、日本の優れた環境エネルギー技術への期待が高まっています。
しかし、日本の技術を維持、発展させ実際のエネルギー政策に生かして行くには個々の技術の向上だけではなく乗り越えなくてはならない様々な外交上の課題があります。
東京財団では資源エネルギーを巡る国際情勢を踏まえ、日本の技術を維持、発展させ実際のエネルギー政策に生かしていくために日本がとりくむべき戦略について議論してきました。その成果を、単なる方向性の提示ではなく、今すぐ取り組むべき具体的な施策として、政策提言「日本の資源・エネルギー外交の優先課題 II ~環境・エネルギー技術をツールとした東アジア戦略への2つの提言~」をここに発表します。
<提言のポイント>
◆日本の資源エネルギー政策に影響を与える2つの国際潮流
(1)東アジアの重要性の向上
・1997年のアジア通貨危機 ⇒ ASEAN+3(日中韓)を軸とした東アジア地域の経済統合の流れ
・リーマンショック後の世界経済危機 ⇒ 中国を始め、東アジア経済の重要性の更なる向上
・ASEAN諸国のエネルギー消費の伸び ⇒ 世界のエネルギー市場における東南アジア諸国の重要性
(2)環境・エネルギー分野の先端技術の重要性の向上
・再生可能エネルギー・省エネ高効率機器の普及・推進
・原子力発電の普及・推進
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環境・エネルギー分野の先端技術の推進・普及戦略を、その東アジア外交にリンクさせた新たな資源・エネルギー外交戦略の構築が不可欠。特に、再生可能エネルギー・省エネ高効率機器の普及・推進と原子力発電の普及・推進において東アジア外交とのリンクが重要。
◆提言
1.再生可能エネルギー・省エネ高効率機器の普及・推進についての提言
「東アジアと連携し日本の環境エネルギー技術を国際標準化する」
2.原子力発電の普及・推進についての提言
「ベトナム原発でのロシアと戦略的パートナーシップ構築を視野に、まず、同分野での日米関係の一層の強化を図れ」
政策提言「日本の資源・エネルギー外交の優先課題 II ~環境・エネルギー技術をツールとした東アジア戦略への2つの提言~」はこちら
【研究リーダー】畔蒜泰助(東京財団研究員)
【研究メンバー】平沼 光(東京財団研究員)
<本提言に関するお問合せ>
東京財団 政策研究 平沼 光
電話 03-6229-5502
E-mail:hiranuma@tkfd.or.jp