R-2021-091
東京財団政策研究所「加速するエネルギー転換と日本の対応」研究プログラム(研究期間:2020年4月~2023年3月)では、日本のエネルギー政策の大方針となる第6次エネルギー基本計画の策定というタイミングを捉え、カーボンニュートラルにむけて必要となる日本のエネルギー政策の考察を行ってきた。本稿は、中間報告として2021年度の研究を本研究プログラムの研究メンバーおよびゲスト執筆者が各々の視点から再エネの主力エネルギー化に向けた施策、そしてトータルなカーボンニュートラルに向けた施策について考察し、各自の見解を各章分担して報告するものである。
【研究プログラムメンバー及びゲスト執筆者(50音順、敬省略)】
橘川武郎(国際大学副学長 国際経営学研究科教授)※研究プログラムリーダー(共同)
黒崎美穂(BloombergNEF日本オフィス代表(2021年10月現在))
杉本康太(東京財団政策研究所 博士研究員/政策研究ポスト・ドクトラル・フェロー)
瀬川浩司(東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻 教授)
高村ゆかり(東京大学未来ビジョン研究センター 教授)
田辺新一(早稲田大学創造理工学部建築学科教授)※ゲスト執筆者
平沼光(東京財団政策研究所 主任研究員 (公開時))※研究プログラムリーダー(共同)
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目次
・はじめに・・・・・・・・・P1
平沼光
1.第6次エネルギー基本計画についてのレビュー・・・P5
橘川武郎
はじめに
1-1 新しい削減目標と政策決定プロセスの変化
1-2 第6次エネルギー基本計画と2030年度の電源構成見通し
1-3 実現に疑問符が付く再エネ比率
1-4 実現不可能な原子力比率
1-5 火力発電縮小への懸念
1-6 「分母減らし」と「産業縮小シナリオ」
1―7 「46%削減目標」ではなく過去の失政が悪い
おわりに:「2050年カーボンニュートラル」は実現可能
2.再エネ主力エネルギー化に向けた施策
2-1 日本の再エネ大量導入に向けたパラダイムシフト:技術からのアプローチ・・・P11
瀬川浩司
はじめに-世界の脱炭素化と再エネ導入拡大の流れは止まらない
2-1-1 カーボンニュートラル実現には非化石電力の拡大が必須
2-1-2 日本の電力の脱炭素化に必要な条件は何か
2-1-3 セクター別アプローチではなく「セクターカップリング」が役に立つ
2-1-4 日本に必要な科学技術を活かす政策パッケージ
2-2 再エネと需給調整・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P18
杉本康太
2-1-1 再エネと需給調整費用
2-2-2 需給調整費用の減らし方①:エネルギーの発動費用
2-2-3 需給調整費用の減らし方②:容量の調達費用
2-2-4 ここまでのまとめ
2-2-5 再エネ大量導入時の容量メカニズムの必要性
2-2-6 容量メカニズムの制度設計:容量市場VS戦略的予備力
3.トータルなカーボンニュートラルの実現に向けた施策
3-1 カーボンニュートラルに必要とされる需要の高度化と最適化・・・P25
田辺新一
3-1-1 エネルギー需要の予測
3-1-2 省エネルギーの深掘り
3-1-3 需要の高度化と最適化
3-1-4 必要となる施策(提言、解決の方向性等)
3-2 日本の産業界の脱炭素化 課題と機会・・・・・・・・・P34
黒崎美穂
はじめに
3-2-1 産業界の削減目標値
3-2-2 企業の脱炭素活動は野心的か
3-2-3 産業界の脱炭素への道筋
3-2-4 カーボンプライシングやその他の政策サポート
3-2-5 結論
3-3 原子力と化石燃料のゆくえ・・・・・・・・・・P47
橘川武郎
はじめに
3-3-1 今回も回避された原子力のリプレース
3-3-2 原子力から目をそむける政治家
3-3-3 二重に破綻した核燃料サイクル一本槍政策
3-3-4 「カーボンフリー火力」の登場
3-3-5 コスト抑制と既存インフラの活用
おわりに:残された課題
3-4 カーボンニュートラルの担い手としての地域の役割・・・・・・・・・P54
3-4-1 カーボンニュートラルに向けて動き出した日本
3-4-2 再エネ普及に必要な地域の社会的受容性
3-4-3 再エネ普及のポイントと地域の役割
3-4-4 地域主体の営農型太陽光発電の取り組み(市民エネルギーちば株式会社)
3-4-5 地域マイクログリッドの構築
3-4-6 「脱炭素先行地域」による脱炭素ドミノの推進にあたって