E-2023-037
財政再建には歳出改革だけではなく、消費税増税を含む歳入改革が欠かせない。他方、消費税に対する一般国民の反発も根強い。
本懇談会では2023年12月末に実施したアンケート調査の結果に基づき、消費税増税のボトルネックはどこにあるのか、国民の増税への許容度を高めるような情報提供・課題設定の在り方について報告、質疑を行った。アンケート調査からは、①国民は(消費税を財源の一つとする)社会保障サービスからの受益を感じていないこと、②財政赤字の原因を受益=社会保障と負担=税との乖離に拠るとする認識は少数派で、多くは政治の無駄遣い、公務員の高い人件費と考えていること、③消費税の増税を単独で問うよりも、社会保険料との比較や政府の「身を切る改革」との一体化を提示すると増税への許容度が高まることが分かった。
そこからは「複数の政策パッケージを国民に選択メニューとして示すべき」という政策提言とともに、財政赤字の原因に係る政府と国民との間の「情報格差」の是正、社会保障からの受益が分かるようその「見える化」を進めるなど財政再建の環境整備が欠かせないことが示唆される。
■動画公開
発表資料:佐藤研究主幹 発表資料
■政策提言公開ページ
「政策提言(研究プログラム「多様な国民に受け入れられる財政再建・社会保障制度改革の在り方」)」
■開催概要
日時:2024年3月11日(月)13:00~14:00
登壇者(敬称略、順不同):
佐藤主光 東京財団政策研究所研究主幹、一橋大学経済学研究科教授
大竹文雄 東京財団政策研究所研究主幹、大阪大学感染症総合教育研究拠点特任教授
加藤創太 東京財団政策研究所研究主幹
小林慶一郎 東京財団政策研究所研究主幹、慶應義塾大学経済学部教授
■関連Review
「2023年「日本経済と財政に関する国民調査」の結果について」