E-2023-027
2023年にコロナ禍が終息し、中国経済はV字型回復するとみられていましたが、実際はL字型成長に留まっています。中国経済は予想以上に回復する力が弱く、IMFなどの国際機関は、2024年の中国経済はさらに一段と低い成長になるという見通しを明らかにしました。中国経済はまだ若く、産業構造の高度化を図ればもう少し高い成長を実現できると思われているにもかかわらず、なぜ回復の力がこんなに弱いのでしょうか。
2023年12月に開かれた共産党中央経済工作会議で、習近平政権は中国経済の先行きについて危機感を募らせているとの見解を示しますが、具体的な経済政策を打ち出せていません。2024年の成長目標として23年とほぼ同じレベルで5%前後の成長を目指すべきとの声も聞かれます。しかし、若者の失業率は改善しておらず、消費も伸び悩んでいます。アメリカの経済制裁を受けて、国際貿易も軟調に推移しており、このままでは5%前後の成長目標が達成できない可能性が出てきています。
今回のウェビナーでは、コロナ禍の影響と中国経済の構造上の問題を手がかりに、中国経済の内実を考察しました。前半では、福本智之研究員の発表「コロナ禍を経た中国経済の現状と先行き」および孟渤研究員の発表「高まる不確実性の下での米中関係とその影響―グローバル・バリューチェーンの視点から―」が行われました。後半のディスカッションでは、中国の経済・政治・外交と将来の動向について数多くの質問やコメントが寄せられており、柯隆主席研究員、江藤名保子研究員、劉傑研究員を含む、研究者五名で意見を交わし中長期的な観点から中国経済の見通しを示しました。
◆ 登壇者
▼ 東京財団政策研究所「コロナ禍前と後の中国社会、経済と政治の変化に関する考察」プログラムメンバー
東京財団政策研究所主席研究員(※研究代表者) |
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東京財団政策研究所研究員/大阪経済大学経済学部教授 |
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東京財団政策研究所研究員/日本貿易振興機構・アジア経済研究所・ 開発研究センター主任調査研究員 |
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東京財団政策研究所研究員/学習院大学教授、地経学研究所上席研究員兼中国グループ長 |
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東京財団政策研究所研究員/早稲田大学社会科学総合学術院教授 |
◆ 動画
◆ 日時
2024年2月28日(水)14:00~16:00
◆ プログラム
1.開会挨拶
2.研究プログラムからの報告
・福本智之研究員の報告「コロナ禍を経た中国経済の現状と先行き」
・孟渤研究員の報告「高まる不確実性の下での米中関係とその影響―グローバル・バリューチェーンの視点から―」
3.質疑応答、ディスカッション
4.まとめ
◆ 視聴者構成
◆ 本研究プログラム紹介ページ
◆ 関連Review
「国際分業からみた中国とのディカップリングとディリスキングの意味」柯隆
「中国の金融システムのリスクを如何に捉えるか」福本智之
「ようやく動きだした地方債務問題への対処 ──ただし、抜本的対応策はまだみえない」福本智之