R-2021-021-1
本問題について取り上げた、朝日新聞社「国土交通省による基幹統計の不正をめぐる一連のスクープと関連報道」が、2022年度日本新聞協会賞に選ばれました。 ▼朝日新聞社・伊藤氏の受賞報告寄稿に、平田主席研究員のコメントが掲載されております。 https://www.pressnet.or.jp/journalism/award/2022/index_7.html (2022年10月11日) |
・はじめに ・建設工事受注動態統計調査とは ・問題の概要 ・2019年の毎勤統計不正との類似点 |
はじめに
12月15日の朝日新聞朝刊の報道によると、2019年の厚生労働省の毎月勤労統計(毎勤統計)の不正問題に続き、今度は国土交通省で不正が疑われる統計問題が発覚した。毎勤統計問題は政府からの給付金に影響を与えたこともあり、大きな社会問題に発展した[1]。あれから、わずか3年ほどで再び類似の問題が発覚したことには驚きを禁じ得ない。本件は毎勤統計問題以上に政府統計の信頼回復への道のりは険しいことを改めて国民に意識させると共に、信頼回復に向けた新たな課題を突きつけたと筆者は考えている。
本稿(上)では、今回問題となった国交省統計の特徴、問題の概要、2019年の毎勤統計問題との類似点を指摘していく。また、(下)では、今回の問題が発生・継続した理由と今後の対応について論じていく。
建設工事受注動態統計調査とは
今回の問題は、国交省「建設工事受注動態統計調査(以下、受注統計)」で発生した。受注統計は、毎勤統計同様に公的統計(政府の作成する統計)の中でも最重要統計と位置づけられる基幹統計(全53統計)の1つである[2],[3]。「我が国の建設業者の建設工事受注動向及び公共機関・民間等からの受注工事の詳細を把握することにより、各種の経済・社会施策のための基礎資料を得るとともに、企業の経営方針策定時における参考資料を提供すること」を目的として作成されている。
公的統計は、総務省によると「行政利用だけではなく、社会全体で利用される情報基盤」である[4]。行政利用という場合、一般的には政府が国民に提供するサービスの判断に活用されるというニュアンスで捉えられることが多い(本稿では、狭義の行政利用と呼ぶ)。受注統計の場合、中小企業庁によるセーフティネット保証制度5号の対象となる不況業種かどうかの判断基準として用いられていることが挙げられる[5]。この保証制度を活用したい企業は、一定の業況悪化の条件を満たすだけでなく、属する業種がセーフティネット保証5号の対象業種となっている必要がある。
しかし、広義での行政利用には、経済政策の企画立案などの“経済分析利用”も当然含まれる。受注統計の場合は、一般的な政府統計と比べると、狭義の行政利用よりも、こちらのウエイトが大きいことが特徴的となっている[6]。具体的に見ていこう。まず、受注統計は、建設産業政策全般の立案の基礎資料として用いられ、公共投資の公共工事受注額のデータが内閣府の「月例経済報告」に掲載されたり、国交省の『国土交通白書』内の分析等に各種データが用いられたりしている[7]。また、国交省は、受注統計や建築着工統計調査をベースに「建設総合統計(以下、総合統計)」という統計を作成している。この総合統計は、GDP統計の作成に用いられており、受注統計がGDP統計の作成に活用されていることになる。更に、内閣府の「固定資本ストック速報」にも総合統計は利用されている。内閣府や日本銀行が推計している需給ギャップや潜在成長率は、経済政策運営の最重要情報の一つであるが、これらはGDP統計や固定資本ストック統計を用いて推計されている。すなわち、受注統計の数字が信頼に足るデータでないことは、GDP統計、固定資本ストック統計、ひいてはそれらを使って推計される需給ギャップや潜在成長率についての信頼性にも直結する。
問題の概要
朝日新聞報道によれば、業者が提出した受注実績を、行政側が無断で書き換えていたという[8]。これは統計作成プロセスの中で、どう位置づけられる問題なのだろうか。これを理解するには、政府統計の作り方の仕組みを理解するのが有用だ[9]。統計作成ではまず、①「生データの取得」が行われる。これは基本的に霞ヶ関の官庁によって直接に行われるのではなく、都道府県等を経由して調査員の訪問調査、郵送調査、オンライン調査などによって行われる。霞ヶ関では、②「①のデータの精査と集計作業」を行う。これらの作業①、②は決められたルールに基づいて行われる。統計作成部署の定例作業である作業①、②に加え、統計作成の方法論を決める③「統計の企画」も霞ヶ関の担当だ[10]。企画は、経験、知識、バランスの求められる難しい仕事であり、中長期的な取り組みとなる傾向がある。
「書き換え」については、「都道府県の担当者が、受注額を無断で書き換えていた」という部分だけをみると、上記の①「生データの取得」の段階で発生した極めて不適切な運用と考えられる[11]。しかし、それを指示したのは国交省であると報道されており、本質的には②「①のデータの精査と集計作業」で発生した問題、すなわち自治体ではなく、むしろ国交省の責任と捉えるべきである[12]。朝日新聞の報道にあるような国交省から自治体への書き換え指示があったのであれば、国交省がいわば「粉飾」を率先したことになる。特に「月例経済報告」のように月次で数字を追っていくような場合、このような運用をされてしまうと、統計ユーザーとしてはデータの使いようがない。
しかし、今回の問題を単なる調査票の「書き換え」問題だけだと考えるのは拙速だ。本件の本質を理解するには、受注統計に用いられる②「①のデータの精査と集計作業」の仕組みについて理解する必要がある。実は、「書き換え」の影響が、この仕組みゆえに「増幅」されてしまう[13]。もしも、この影響を国交省が理解していなかったのであれば、統計メーカーとして浅慮であると言わざるを得ない。 逆に、理解した上で行っていたのであれば、血税を使い政府統計を独占的に作成する権限を与えられている統計メーカーとしての姿勢が問われる。
では、具体的に「増幅」の仕組みを見ていきたい。少し専門的になるが、受注統計では、業者全体への復元(母集団推定)と呼ばれる手法が用いられる[14]。統計作成をする場合、基本的に望ましいのは全ての業者に対する調査だが、手間や時間がかかる。そのため、統計学的な手法に則ってサンプル調査、すなわち業者全体(母集団)のうち一部の業者をランダムに抽出し、それを使って建設業者全体についての推定を行う(例えば、1/4のサンプル調査ならば、全体を算出する際に4倍する)。受注統計の場合、全48万業者のうち1.2万業者が抽出される。残りの46.8万業者も、1.2万業者の受注動向と同じような受注動向であるとみなし、把握された1.2万業者の受注額を1業者あたりで換算の上、それに全体の業者数である48万を掛け合わせ、全業者分の受注額を推計する[15]。以下では、この方法を抽出率調整と呼ぶ。
なお、1.2万業者の全てが回答をしてくれるわけではないため、2013年からは調査票の回収率も考慮した推計を行っている。例えば、1.2万業者のうち0.2万業者からの報告がない場合、把握された1万業者の受注額を1業者あたりで換算の上、それに1.2万を掛け合わせて、1.2万業者分の受注額を推計する(以下では、この方法を回収率調整と呼ぶ)。更に、この回収率調整済みの1.2万業者分の推定受注額を使って、全業者分の受注額を抽出率調整によって推計する[16]。
では、次のようなケースを考えてみたい。ある企業が、受注額の調査票を提出する義務を今年度負ったとする。この企業は多忙により、本来は毎月提出することが義務ではあるものの、致し方なく3か月に一回、6月、9月、12月、3月にそれぞれ3か月分の調査票をまとめて提出したとする(図表参照)。
この企業(図のB社)の受注額は、これら4か月以外の残り8か月分については未提出(国交省にとっては未回収)のため、統計作成の際には、回収率調整で推定されることになる。一方で、「書き換え」のために、6月には4~6月の3か月分の受注額が計上され、9月、12月、3月についても同様のことが生じる(以下、受注額寄せと呼ぶ)[17], [18]。したがって、今年度の受注額については、実績の受注額に加え、残り8か月分の回収率調整の過程で推計された受注額寄せ分が重複して計上され、結果的に統計として世に出る受注額は増幅されて過大に計上される。
整理してみよう。「増幅」は、書き換えという不適切な作業と受注統計のルールに則った回収率調整の組み合わせで生じる。図表で示した各ケースからわかるように、書き換え自体のインパクトは書き換えの頻度とタイミング次第となる。したがって、書き換えの件数が1万件程度と報道されているが、具体的な書き換えの内容が一件一件わからないと、定量的な影響はわかるはずがないのである。
報道によれば、「書き換え」の開始時期は国交省すらわからないという。調査票の保存期間も2年と短い[19]。すなわち、これまでに書き換えられた期間も、連綿と書き換えによって行われた受注額寄せの総額もほぼほぼ不明だということになる。換言すれば、過去に遡っての遡及訂正もほとんどできず、今公表されている数字は何を意味しているのか、誰にも説明できない。すなわち、今回の問題が受注統計、総合統計、GDP統計、ひいてはこれらを使って推計される潜在成長率や需給ギャップなどに対して、どのくらいの定量的なインパクトをもたらしてきたのかは、未来永劫わからないことを意味する。そして、受注統計の質が評価不能であることの社会的な損失(=評価不能な統計に基づく政策判断が行われたことなど)の規模は計り知れない[20]。
2019年の毎勤統計不正との類似点
次に今回の問題と毎勤統計の問題を比べてみたいと思う。毎勤統計の問題は、煎じ詰めていえば、厚労省内部で統計の作成方法が所要の手続きを経ずに勝手に変更され、公表されなかった問題である。具体的に問題となったのは、①2004年以降、東京都で大規模な事業所に対し全数調査からサンプル調査への変更を行ったことを公表しなかったこと、②サンプル調査から全数を推定する抽出率調整を怠った結果、賃金が高めの傾向にある大規模事業所分が過小評価されたこと、③2018年以降に始めた従来と異なる抽出率調整について公表しなかったこと、の3点である。
今回の受注統計問題と毎勤統計問題の特に重要な類似点の1つ目は、いずれの問題も霞ヶ関内部で発生したことである。毎勤統計問題の際、この点については統計法の第9条第1項、第11条第1項、第60条第2号に反するか否かということが、焦点となった[21]。第9条第1項においては、基幹統計調査をする場合に予め総務大臣の承認を得る必要があること、第11条第1項においては、第9条第1項の承認を受けた基幹統計調査を変更する場合には予め総務大臣の承認を得る必要があることが定められている。また、第60条第2号は、「基幹統計調査の実施に当たって、架空の調査票を捏造する行為、調査票に記入された報告内容を改ざんする行為、基幹統計調査の集計過程においてデータを改ざんする行為」を行った基幹統計作成従事者は罪に問われるとしている。受注統計問題についても、同様の論点が今後議論されることになる可能性が高いだろう。
2つ目の類似点は、統計調査方法の変更を公表しなかった(もしくは事後的に公表した)点である。受注統計の場合、国交省が「書き換え」を始めた事実、始めた時期については公表をしていなかった。より丁寧にいえば、2021年4月分の統計公表の際、2000年4月分~2021年3月分の受注統計では、「報告者のやむを得ない事情等により提出期限から遅れて提出があった調査票については、可能な限り当月分の調査結果に反映させるよう柔軟な運用を行っているところであるが、それでも間に合わない調査票は、翌月に実績があったものとして計上している」との発表を初めて行っている。筆者の確認した限り、2021年4月分の公表以前にはこのような記述はなかった。つまり、この運用をされていたことは、ユーザーには知らされていなかった。更に、「当月分の調査結果に反映」及び「翌月に実績があったものとして計上」という記述からは、当月1か月分のデータの提出が遅れた場合は、それを翌月に計上している、という趣旨に読める。しかし、朝日新聞の報道の指摘は、1か月に限らず、複数月分についてまとめてこの運用がなされ、かつそれが調査票の「書き換え」という、統計法第60条で「真実に反するものたらしめる行為」とされる方式で行われたという事実である。
3つ目の類似点は、2016年の経済産業省による繊維流通統計調査の不正という前例が既にあったことである。経産省内部で数値をねつ造したり、数値の作成方法の変更を公表しなかったり、不正開始時期が不明であったりと、本質的な構図はかなり似ている[22]。受注統計については、一般統計の繊維流通統計調査の不正だけではなく、より重要な基幹統計である毎勤統計の問題も起こった後のことであった。いずれも問題発生の後、統計委員会による点検検証がそれぞれ行われたにも関わらず 、点検検証の場で今回の問題が国交省から報告されることはなかった[23]。当時、国交省内で問題として意識されていなかったのか、意識されたが隠そうという話になったのか等々、解明していく必要があるだろう。
筆者が最も残念なのは、一連の問題を見ていると、政府統計のメーカーとしての矜持が国交省に感じられないことだ。毎勤統計の場合、「ルールを無視しただけでなく、ルールを勝手にねじ曲げる行為にも及んだ。18年分から本来の結果に近づける加工を施したのだ。問題は、内部で積み重ねた「不作為」を誰も「おかしい」と思わず、明らかにするつもりもなかったことだ。その結果、母数が異なり、本来は前年比較できないデータを世界に向けて公表し続けること」となり、統計委員会(総務省に設置された公的統計の整備に関する「司令塔」機能の中核としての役割を担う専門的かつ中立・公正な第三者機関)もその実情に「言葉を失った」という[24]。今回のケースも、大変残念なことに、統計軽視の風潮、または統計リテラシーの低さが霞ヶ関に存在していたことを露呈させた。また、統計メーカー(国交省)は、統計の報告者にお願いをして、情報を提供してもらっていることをどのように考えていたのだろうか。今回の問題は、報告負担が度々指摘される中で、手間と時間をかけて調査票に記入した業者の皆さんの作業負担を水泡に帰す行為だと筆者は考える。
(国土交通省「建設工事受注動態統計」問題を紐解く(下)に続く)
[1] 毎勤統計は、失業給付の額の算定、労働災害の休業補償、労災保険の保険給付といった行政サービスへの活用が広く行われている。
[2] 総務省「基幹統計一覧」による。
[3] 厳密にいうと、受注統計は建設工事及び建設業の実態を定量的に明らかにする目的から作成されている「建設工事統計調査」の一構成要素である。
[4] 総務省「統計法について」による。
[5] セーフティネット保証制度5号とは、信用保証の一種。信用保証とは、信用保証協会が、中小業者向け貸出を保証することで、中小業者の資金繰りを円滑にする仕組み。信用保証に際して、中小業者は保証料を保証協会に支払う。中小業者の返済が困難化した場合、信用保険を使えば、貸出を実行した金融機関は損失をカバーできるため、中小業者向けの貸出を促す効果がある。
[6] ここでの、狭義の行政利用と経済分析利用という区別は便宜的な区分であり、両者は密接不可分な関係にある。
[7] 統計委員会第3回点検検証部会第1ワーキンググループ(2019)「資料2-5 書面調査の回答(4)(建設工事統計調査 建設工事受注動態統計調査)」による。
[8] 統計法第60条によると、「基幹統計の作成に従事する者で基幹統計をして真実に反するものたらしめる行為をした者」は6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処される。2009年発刊の総務省政策統括官(統計基準担当)『逐条解説 統計法』のP. 296によると、「基幹統計をして真実に反するものたらしめる行為」には、「基幹統計調査の実施に当たって、架空の調査票を捏造する行為、調査票に記入された報告内容を改ざんする行為、基幹統計調査の集計過程においてデータを改ざんする行為」が含まれる。
[9] ここでの政府統計の作成プロセスの記述の多くは、拙著「解決には統計部署の専門性と独立性向上が必要だ-統計のメーカー側の経験から考える「統計不正」問題」(2019年3月『論座』)をベースとしている。
[10] 統計の企画の例としては、質的向上や業務効率化(例:サンプリング手法の検討、オンライン調査の導入)、経済構造変化への対応(例:新業態の取り込み)、統計システムの変更(例:データ処理システムのアップグレード)、国際基準への対応などがある。
[11] この事実は、会計検査院による会計検査院法第30条の3の規定に基づく報告(「公的統計の整備に関する会計検査の結果について」)の中でも明らかにされており、「実態を示すことができないことから、作成される調査結果は精度が低いものになっている」と評価されている。
[12] 統計法第3条の2によれば、「基幹統計を作成する行政機関以外の行政機関の長、地方公共団体の長(中略)は、当該基幹統計を作成する行政機関の長から必要な資料の提供、調査、報告その他の協力を求められたときは、その求めに応じるよう努めなければならない」とある。
[13] 朝日新聞はこの増幅を「二重計上」と呼んでいる。
[14] 母集団推定は様々な統計で使われる標準的な手法の一つである。なお、母集団推定の統計的方法論の適否については本稿の範囲を超えるため、踏み込まない。
[15] 例えば、1.2万業者の受注額合計が1億円だとすれば、1億円÷1.2万業者×48万業者=40億円という計算で建設業者全体の受注額合計が推計される。教科書的には、抽出率(1.2/48)の逆数(つまり48/1.2)を掛け合わせる、と説明されることが多い。
[16] そもそも、回収率を考慮してこなかった期間については、毎勤統計の問題(本来全数調査すべきところを1/3しか調べず、更に母集団推定をせずに統計を公表した問題)と似たような問題であり不適切であった、との批判もありうる。ただ、業者全体への復元方法については、既に統計委員会にて承認されている(統計委員会委員長による「諮問第38号 建設工事統計調査の変更について(諮問)」による)ため、ここでは問題としない。
[17] もしも、(a) 遅延提出された受注額も入れた上で、改めて回収率調整、抽出率調整をして全業者分の受注額を推計していれば、(b) (望ましいかどうかは別として)遅延提出分を用いなければ(=回収率調整をしたままにしておけば)、または(c) 過去に遡って未回収分の復元を差し引き、遅延提出された実際の受注額に差し替えていれば、大きな問題とはならない。しかし、朝日新聞の報道を踏まえると、(a)~(c)のような対処はされていなかったとみられる。
[18] 建設工事統計調査規則という統計法に基づく規則によると、受注統計は、毎月末日現在で調査を行うとなっており、越月した調査に関する記述はない。また、受注額寄せを認めるような記述も確認できない。
[19] ちなみに、毎勤統計を作成している厚生労働省の統計全般の場合は、調査を実施した年の翌年1月1日から1年となっている。今回の問題は、調査票の保存期間に関して、これでは明らかに短すぎることを示している。
[20] 統計委員会第3回点検検証部会第1ワーキンググループ(2019)「資料2-5 書面調査の回答(4)(建設工事統計調査 建設工事受注動態統計調査)」によると、受注統計にあてられる予算は毎年9千万円程度だという。
[21] 毎月勤労統計調査等に関する特別監察委員会「毎月勤労統計調査を巡る不適切な取扱いに係る事実関係とその評価等に関する報告書」(2019年1月22日)による。
[22] 基幹統計よりも格下になる一般統計であったこと、ユーザーニーズの低さもあり、本統計調査の廃止という形での幕引きとなった。
[23] 点検検証部会では、各省庁に担当する基幹統計に関するファクトシート(書面調査票)への記入を求め、そこで浮上してきた問題点等について検討をしていくという方式をとっていた。このため、省庁側から問題提起されない事案は、議論されない傾向が強かった。当時、筆者は部会を傍聴したが、複数の委員の方々が時間制約の中で、どうしても限られた事案にしか対処できない限界に言及していたのが印象深かった。