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【東京財団政策研究所ウェビナー】「脱炭素社会を目指す上でのベストミックス~再生可能エネルギー主力エネルギー化に向けて~」
写真提供:GettyImages

【ウェビナー開催報告】「脱炭素社会を目指す上でのベストミックス~再生可能エネルギー主力エネルギー化に向けて~」

February 26, 2021

2021年 2月15日にオンラインにて開催した第7回東京財団政策研究所ウェビナー「脱炭素社会を目指す上でのベストミックス~再生可能エネルギー主力エネルギー化に向けて~」では、世界で急速に進む脱化石燃料と再生可能エネルギーの大幅普及を目指すエネルギー転換をテーマとして、「加速するエネルギー転換と日本の対応プロジェクト」プロジェクトメンバーを中心に、有識者を招いて幅広い論点についての発表が行われました。また、パネルディスカッションにおいては、約1000名に及ぶ本ウェビナーのお申込者の皆さまから頂戴したご質問をカギとして、充実した議論が展開されました。

当日の模様を、動画と発表資料、パネルディスカッション要旨の抜粋にてご紹介します。

第1部:開会挨拶/登壇者紹介/プロジェクトメンバーからの発表(動画・資料)
第2部:小泉環境大臣からのビデオメッセージ(動画)
第3部:ゲスト登壇者発表/パネルディスカッション(動画・資料)
ゲスト登壇者への質疑要旨(テキスト)
パネルディスカッション要旨(テキスト)

第1部:「開会挨拶/登壇者紹介/プロジェクトメンバーからの発表」

■基調報告:脱炭素社会構築(再エネの一次エネルギー主力化)にむけて
動画「2050年カーボンニュートラルを見すえたエネルギーシステム」
高村ゆかり 
東京大学未来ビジョン研究センター教授
発表資料

動画「2050年に向けた2030年の施策」
橘川武郎 
国際大学国際経営学研究科教授/プロジェクトリーダー
発表資料

 

■脱炭素社会構築の政策論点と施策の方向性について(他のメンバーより報告)
動画「再生可能エネルギー主力電源化の利点」
黒崎美穂
 ブルームバーグNEF 日本韓国分析部門長
発表資料

動画「エネルギーの分散化 地域主体の再生可能エネルギー事業の構築」
平沼光
 東京財団政策研究所 研究員・政策オフィサー/共同プロジェクトリーダー
発表資料

動画「脱炭素社会構築に向けたイノベーション:技術×社会」
瀬川浩司 東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻教授
発表資料

動画「脱炭素社会実現のためのデマンドレスポンスの活用」
杉本康太 東京財団政策研究所 ポストドクトラルフェロー
発表資料

第2部:「小泉環境大臣からのビデオメッセージ」

小泉進次郎 環境大臣 兼 内閣府特命担当大臣(原子力防災) 

第3部:「ゲスト登壇者発表/パネルディスカッション」

■ゲスト登壇者発表/質疑・コメント
動画「脱炭素社会に向けたイオンの取り組み」
三宅香 イオン株式会社 執行役
発表資料

動画「2050年カーボンニュートラルに向けて」
岡本浩
 東京電力パワーグリッド株式会社 副社長
発表資料

動画「ゲスト登壇者への質疑・コメント」
要旨(テキスト)はこちら

 

■パネルディスカッション
動画「全登壇者によるパネルディスカッション」 
ディスカッション要旨(テキスト)はこちら
動画「橘川氏によるまとめ」
要旨(テキスト)はこちら

【ディスカッション要旨】
ゲスト登壇者発表への質疑・コメント

平沼:
三宅さんと岡本さんのご発表に対してまず橘川さんと高村さんからご質問・コメントを頂きたい。

橘川:
やりますとは言うが実際にちゃんとやるのか怪しい会社も多い中、イオンとTEPCOパワーグリットといえばカーボンニュートラルへ向けた取り組みのフロントランナーで、現実に日本のRE100はイオンと共にあると言ってもいいのではないかと思う。送電線の世界で新機軸を開いたノンファーム型送電はTEPCOのパワーグリッドが千葉で始められた方式が全国に広がる。そんなフロントランナー企業のお二人からお話を聞けて、とても実りあるものだったと思う。その上で広げた質問をさせて頂くが、イオンさんは実際のお客さんと正面で接せられている。カーボンニュートラルでやると言っても、政策や企業、サプライサイドから言っても無理で、国民全体がまさに文化、運動として受け止めないといけない。18年から21年でだいぶ変化があったと言うが、実際にカーボンニュートラルに向けてお客さんはどう感じ始めているのかを三宅さんにお伺いしたい。

岡本さんには、カーボンニュートラルにはパーセンテージは色々あるかもしれないが、電化は進むと思う。電気は基本的には作った瞬間に使わなくてはならない商品であり、停電をおこさない系統運用こそが電気が一番のコアコンピタンスだと思う。カーボンニュートラルへ向けては電力会社が主役になると思うが、岡本さんのような説得力ある革新的な話をあまり業界全体の方から聞かない感じがする。今の岡本さんみたいな考え方は電力業界の中でどれくらいこれから広がっていくと考えるか。

高村:
2つ質問をさせていただこうと思う。1つはイオンの三宅さんに対して、かなり早くパリ協定の脱炭素化の目標の方向で、さらには再エネ電気100%での自社事業という方向に打ち出されたと思うが、これは何故か。イオンさんがRE100を宣言された頃は再エネのコストは今よりも高く、単に経済性だけを考えると、どうしてというご質問は社内でもあったのではないか、その点を伺いたい。もう1つは再エネ、例えば100%という目標を掲げていく際に需要家の観点から、どこに今、難しさを感じてらっしゃるか。
それからの東京電力パワーグリットの岡本さんからは、電化、そして電化できないところの新しい技術、それらをできるだけ経済合理的にどう達成するかということを、さまざまな計算をしながら見せて頂いていると思う。再エネがたくさん入っていったときに調整力をどうするかという論点について。調整力というと火力は今使っている調整力の典型だが、その中でも、調整力の低炭素化・脱炭素化が課題とした時に、グリットの役割を再評価する必要があるのではないかという問題提起にも受け止めた。その意味で特に再生可能エネルギーが大量に主力電源化、主力化して行った時の、調整力の問題について教えていただきたい。

■「需要家から見たカーボンニュートラルに向けてのお客様の変化/脱炭素化への早期取り組み理由」

三宅:
まず橘川さんから頂いた、お客様の変化という点について。2018年に最初に低炭素から脱炭素と言った時の空気感と、20212月の空気感は大きく違うと先ほど申し上げたが、どちらかと言うとこの大きな変化は産業側、企業側の変化の方が大きく、特に菅総理の去年の発言で企業側のお尻に火がついた印象を受ける。お客様については、実はもう少し前の段階から少しずつ意識が変わってきた。2008年、最初の低炭素社会の実現を打ち出した頃から、お客様から大きな賛同をいただいているという実感がある。イオンではお客様株主(個人の株主様)が80万人いらっしゃる。この80万人の個人の株主様が、毎日のようにうちでお買い物をされているお客様でもあり、イオンのそばに住んでいるというお客様である。このお客様からの興味や応援、是非ともやってほしいという声、例えば株主総会でも、イオンの環境戦略に対してまだまだ手ぬるいのではないかという叱咤激励をいただく回数が、ここ数年明らかに増えてきているというのは感じる。そういう意味では徐々に、この10年くらいかけて、確かにお客様も変化をされていると感じている。

高村さんから頂いた、何故イオンはそんな事を2018年に言い出したのかについて。実はこの質問が難しくて、イオンでは2008年に低炭素社会実現を掲げたが、その前から木を植える活動を30年来している。企業としての環境保全に対する責任感は30年間ずっとあるわけで、それが30年前は木を植えていたら良かったのが、だんだんそれでは不十分で、事業としてもやらなければいけない、と思い始めた2008年。そしてパリ協定という世界的な動きになってきた2018年。これに合わせても我々も変わってきたというだけなので、なぜと言われると難しい。社内で大きな反対や戸惑いはなく、当然だよねという考え方の方が強かった。今難しいことは、今日のテーマの1つでもある、コスト。構造が変わらない中で、買いたくても買えない。企業として利益を出さなければならない中で、電気代が1.5倍になるのを許容するわけにはいかない。その中でどうやって社会全体を変えていくのか、需要家としてどのように社会に影響を与えることができるのかが今一番難しいところである。

■「電力業界での電化の広がり/再エネ主力電源化の調整力問題」

岡本:
まず、電化が進むという中でその業界から話を聞かないという話もあったが、電気事業連合会では、2050年カーボンニュートラル実現推進委員会というものを作り、各社社長レベルでこれを回していこうとしており、業界をあげて脱炭素に取り組もうとしている。これは当然のことだが、私共電力会社の持っているケイパビリティを脱炭素化に役立てていただけるいい機会でもあり、それにより縮小・転換しなければいけない部分もあるが、そこに取り組むのは、業界としても非常に重要なことであるという認識。

もう1つ、高村さんからの、調整力をどうするかについて。特に再生可能エネルギーの発電する時間帯、あるいは発電エリアと、実際にお客様がエネルギーを使われているタイミングがずれているという点。杉本さんからも事例の紹介があったが、ここをどううまく繋ぐかというのは、確かにつなぐ仕事をしているグリッドの仕事でもあるという風に思う。1つ私どもが着眼しているのは、例えばお客様サイドに電気自動車が入ってくるとすると、そこのバッテリーを、グリットの中でうまく調整のために使えるだろうということを前提に、その需給のバランスを取るようなことをやったらどうか、というアイディアを入れてシミュレーションを実際回している。それを実現しようとすると、そういった取引が出来るようなマーケットを作っていく必要があると思うが、これからグリッドが、いわゆる線を張るだけではなく、マーケットの仕組みも一緒に作っていくことが重要になる。調整力といっても色々あり、もう少し難しいなと思っているのは、例えば、洋上風力の発電具合が良くなかったり、雪が多くて太陽光が少ないといった場合の発電が少ない時にどうするのか。こういった発電が少ない事態が何週間と続くようなものをどうするのかというのが課題。例えば、エネルギーとしてバッテリーでは何ヶ月分、何週間分の電気を貯めとくというのはさすがに難しいところがあるので、余っていた時期に水素にしておくとか、形を変えておくというのは1つのアイディアで、火力発電や調整力の脱炭素化に繋がる。もちろんバッテリーは有効なテクノロジーだと思うが、加えて、より長い調整力という意味だとカーボンニュートラルでやっていく場合、水素というのが選択肢に入ってくるのかなと考えている。

全登壇者によるパネルディスカッション

平沼:
それではここからは、プロジェクトメンバーを含め全員で議論を深めていきたいと思う。まずモデレートの私から、高村さんのご報告にもあったが、需要者側の変化というのは今までにない大きな変化であると思う。需要家側の変化というと、企業やESG投資の方向に向いてしまうが、三宅さんのお話だと、消費者側がボトムアップで求めてきているというのは、本当に状況が変わってきたという気がしている。今日いろいろと視聴者からご質問をいただいている中でも、需要者側が変わってきているというが、その高まりとその理由は何ですか、という点について、今ほとんどお答えができたと思うが、改めて高村さん、今の三宅さんのご回答を聞いていかがお感じか。

■「需要側の変化について」

高村:
先ほど三宅さんがおっしゃった中で大変印象的だったのは、環境保全の色々な取り組みをされてきた中で、2018年ぐらいから事業の中にしっかり位置づけていく、事業としてやる必要があるという風に変わってきたという点。今日冒頭の発表でも少しご紹介したが、需要サイドの事業会社が再生可能エネルギーを欲しいと思っているのは、社会貢献や気候変動という理由もあると思うが、それ以上にサプライチェーンの下流の企業から求められる、あるいは金融市場での評価を気にされているといった問題が、企業にとっては社会貢献を超えた本業の問題になってきているという点かと思う。言い方を変えると、おそらく2015年ぐらいまで、あるいはもう少し直近までは、エネルギー政策は供給側の論理で議論してきたのではないかと思う。それが喫緊の議論でも、需要側が何を、どういうエネルギーを欲しているかということが、エネルギー政策の中の非常に重要なファクターになってきているのではないかと思う。

平沼:
まさにそこのところが今、このエネルギー政策を動かす Driving Force の一つなのかなということを感じた。その意味も込めて、この現状をしっかり我々は理解しなければいけないと思う。理解をするには、他の国はどうなのかということと比べてみるといいのかもしれないが、世界の動きと日本の動き、この需要の変化という、日本と世界と比べて需要の熱量の違い点では黒崎さんのご見解はいかがか。

黒崎:
世界的にはおそらくもう少し先に始まっていたというのが私の印象。やはり欧州を中心として、市民も投資家も、気候変動をリスクと捉えたり機会と捉えたり、そういったところに対してのアクションが非常に速かった。加えて政策が動いたというところで、そこから企業も動き出したところが大きな動力となって、今アジアや米国、それから日本にも流れが来ているというのが象徴的だと思う。加えて、ではそれに対して再エネの調達、どんなことができるのかという点で欧米では先行して、コーポレート PPA という形で再エネ電力の契約ができるような仕組みと、コストが安いため環境意識の高まり、投資家からのプレッシャー、消費者からのニーズに応えるとともに経済性がマッチしためどんどん普及が進み、企業としても積極的にやるという姿勢が表れた。そこに自社だけではなくサプライチェーンもクリーンにしてきたい、サプライチェーン全体でこの気候変動のリスクをとらえ、解決していきたいということで、この23年は顕在化して、サプライヤーも巻き込んだ取り組みが世界全体で広がっている状況。

■「コストの問題について」

平沼:
すごく大事なキーワードがすでに何回も出ているが、今日のご質問でも沢山頂いているコストについて。世界でコストが下がっている中で、ここがある意味核心なのかもしれないが、なぜ日本はまだ高いのか、どうすれば安くなるのか

橘川:
これから伸びていく再エネは太陽光と風力。太陽光はFIT12年に始まった時は40円、42円という買取価格であったものが12円まで下がってきた。今の事業用の目標である2025年に7円というのは、不可能ではないと思う。

それから風力が問題。買い取り価格30円という時に政府目標の8~9円という日が来るのかどうか。世界最大の洋上風力発電事業者のオーステッド社の方に会った時に、①西側が海であれば安くなるであろうが、日本は西が大陸である、②洋上で誰が送電線を引くのか、③日本は漁業権がとても高く、これがコスト高になっている。④それから遠浅の海が少なくて着床式に限界がある。4つ質問したところ、彼らは、日本の西側にも大きな海があり、日本海や東シナ海は十分だと答えた。東海岸も銚子沖も経済性が取れるだけ風が吹いていると言って、現実に彼らは投資してきた。2番目の送電線は、安くなれば電力会社が引きに来るのが当たり前であり、質問の意味が分からないと言っていた。3番目の漁業権はオーナーシップを変えればいいのだと。漁民が出資する形の風車、漁民風車ということになれば一気に流れは変わる。最後に残るのは遠浅であるが、これはどうしようもないと。そういう意味で、世界最先端のところまではコストが下がらないかもしれないが、政府目標の89/ kwh はあり得る数字だというのが洋上風力の専門家の説明であった。2030年ないし35年に向けて、89円というのは達成可能だろう。

一方でカーボンニュートラル火力はどうしても CCUSCarbon dioxide Capture, Utilization and Storage:分離したCO2の利用・貯留) などと繋がるため、 kwh 15円くらいになる可能性がある。原子力も既成のものは安いが、十分それと比べて再生が戦える状況は30年にはやってきて、岡本さんのような会社がまずは再生エネを取りに来るだろう。コスト面から見て再エネの取り合いという時代が遠からず来るのではないかと思っている。

平沼:
そうした観点でいうと、その流れを少しでも早めるためには何をしたら良いのかが本当に難しい問題で、まさに政策課題として今議論されているところであるが、海外からの知見で何か学べることはないか。

黒崎:
日本の再エネが今後も下がるということをプレゼンテーションで述べたが、大きく分けていくつかある。グローバルで機器そのもの、太陽光であれば太陽光のモジュール、風力でしたらタービンなどが大型化し、タービンのコスト自体も下がってきており、安くなる要因はいくつもある。そういったものを積極的に使っていくこと。今まで日本は、高いFITがありコストを重視したプロジェクトが少なかったのが、ここへ来てFIT価格が下がってきたことで、コストや経済性を重視して建てるようになってきた。
次に考えられるのが、海外と日本で一番大きく違うスケールであるが、日本はどうしても土地が狭い、それから山岳地形であるということでスケールが活かされない。これに対して、耕作放棄地のような所をいかに開放していけるか。またそれを待つまでもなく、太陽光であれば屋根上の部分を十分に利用していくなどが考えられる。それから洋上風力に関してはスケールの面では既にあるが、政策的な面で一番大事だと思うのが目標値。先ほどのオーステッド社の話もありましたように、目標値があると、ある程度投資の予見性というのが見えてくるので、どれだけその土地・マーケットに配分をしていくかでコストが下がってくる。弊社の見通しでは、洋上風力の場合、その市場に1ギガワット入ってくると、大きくコストが下がるという経験値・経験則が働く。
あとは一度入ったプロジェクトに対して追加的にプロジェクトを追加していくと、メンテナンスが同時にできる。そのため保守運用コストが下がる見通しである。
4番目として、重要なのは、デジタル化をどう進めていくかにより、保守運用コストをさらに下げていく可能性があるというところで、プロジェクト自体のコストは下がっていくと思う。もう1つ、日本に特有なのが、法的にどのようにそれを支えていくか。需要家が直接、そういったプロジェクトに参加するというのが今の仕組みでは難しい。今は小売事業者が間に入り、それを取り持ってくるという状況であり、海外は小売りが入ってくるところもあれば、直接やっているところもある。ただ直接の場合はバランシングの責任が企業側にくるため、需要家サイドで、企業としてどう体制を整えていくのかも考えていく必要があると思う。

■「変動制のある再エネをどのように系統接続していくか」

平沼:
需要とコストの話、そしてデジタル化、またこのバランシング化という話が出たが、いわゆる再エネの大きな課題をどのように変動性のある再エネを系統に統合するのか、ここでまとめて議論したい。中でもセクターカップリングは大事であるという視点を持ったが、変動性のある再エネをどう系統接続していくのか

瀬川:
非常に重要な論点だと思うが、日本の再エネ価格が高いのは、例えば建設コストや地域偏在性の問題、行き当たりばったりで系統脆弱なところに入ってしまうのをどういう風に整理していくのかということがある。これはセクターカップリングというより、むしろ政策と技術的視点の統合が必要ではないかというのが率直な感想。一方、技術の点では、例えばデマンドレスポンスの話もあった。いろんな形で情報を利用しながらエネルギーの運用をしていくという流れはある。一方ドイツなどでは、大量に再エネを入れて余った再エネは捨てても構わないぐらいのコスト。これも一つの大きな流れであると思う。例えば太陽光発電の場合にはいくら変動があるとは言え、夜中には絶対発電しない。昼間余ったものは捨てる、場合によっては有効利用して 0円の電気で水素を作ればいいかもしれない。そうした視点を実現しいくには、色々なセクターのカップリングが必要。ただし、セクターカップリングは言うのは簡単だが、実際に実行するのは相当なインセンティブが必要。そこをこれからどういう風に誘導していくのか、いろんな形があると思うが、少し戦略を練る必要があると考える。

岡本:
少し専門的な部分も入るかもしれないが、市場メカニズムをもっと上手く使えないかと思っている。今まさに瀬川さんからあったように、0円の電気だったらいろいろ使えるというのも一つ。再生可能エネルギーの発電している時間帯に応じて、お客様からすると大きく価格が変わる。卸市場から直接契約されているとすごく変動しそうに見えるが、1年を通すとそんなに高いのではないとすると、タイミングによって価格が大きく違うとなると、それにより色々な工夫が起こるのが普通。それにより、お客様側の行動によって調整力が生み出されていくというのが一番望ましいと思っている。そういうことをやるためには、もう少し市場メカニズムをはっきり出したらいいかなと思う。

ノンファーム型という設計と接続のやり方も橘川さんからもご評価いただきありがたいが、更に言うのであれば、まだそこにマーケットメカニズムが使えていない。混雑しているタイミングで発電してしまうと価格は下がるが、逆であれば値段が上がる。逆に言うと混雑しているところのエリアで電気を使うと極論、そこは0円になっているという仕組みがあると、ローカルにも電気が使われたり使われなかったり、あるいは出力を下げたりということが自然に行われ、その中で調整力は生み出されていくと思っている。テクノロジーはバッテリーを使ってもいいし、お客様側の需要を調整することもあっても良いし、その他のテクノロジーも使えると思うが、その辺のグリットの中での調整をするというのは逆をいうとギャップがある。それを埋めることの価値が顕在化してこないと、調整しようとする人が現れてこない。そういった部分がまだまだ日本では足りないのではないか。海外ではこれを色々なマーケットメカニズムでやろうとしているのに、日本は比較的計画経済的に決めてやろうとする。そうするとあまり新しいアイディアが入ってこず、実際にはうまく動いていない原因はその辺にあるので、市場価格をもっとうまく使うべきだと思う。さらにCO2を減らすということを加えてやろうとするのであれば、カーボンプライスがそこに乗っかっていないと最適な行動は促されないと思うので、市場メカニズムを使い調整力を生み出すと、そこに更にカーボンプライスが加味されていることが非常に大事である。

■「カーボンプライシングについて」

平沼:
カーボンプライシングの話は、セクターカップリング的な考えでいくとCCSCarbon dioxide Capture and StorageCO2回収・貯留技術)やCCUCarbon dioxide Capture and Utilization:回収したCO2を有価物の製造に利用する技術)にも関わってくる問題だと思う。

橘川:
私はカーボンフリー火力が大事と言ったが、グリーンの水素、グリーンなアンモニアは量が足りないと思うので、CCS を噛ませたブルー水素、ブルーアンモニアが必要になると思う。CCSはコストの問題があり、世界で今、カナダ、アメリカ、オーストラリア、ノルウェーの4か国しか計画がない。石油の枯れた油田にCO2を入れて石油を復活させるという EOR(石油増進回収法) と結びつけると経済性が取れると言い、今カナダのサスカチワンでやっているが、アメリカのテキサスの方はコロナ禍で油価が下がったため、5月に止まっている。それくらいコスト上難しい。それにも拘らずオーストラリアとノルウェーでは、カーボンプライシングとは限らないが、炭素規制がかなり厳しく、それをやらないと化石の仕事が続けられないという状況の中でCCSが始まろうとしている。このカーボンプライシングないし炭素規制の問題は、CCSが世界で広がる上での前提条件になるのではないかと思う。そういうこと込みで考えるとカーボンフリー火力は、それなりにコストが上がってくるのではないかと思う。ですから、国内だけではなく、前提のCCSをやるためにも炭素規制が必要になると考える。

■「デマンドレスポンスについて」

平沼:
この問題を考えるとき、技術的なソリューションと、市場メカニズム、そうした方面からのソリューションこの両面を考えていかないと、問題解決していかないのではないか。そうした意味でカーボンプライシングというものに特化したが、市場メカニズムという意味で言うと何か他に手はないか、デマンドレスポンスはこれからどういう風に入れていくべきか、またそれ以外の方法についてはどうか。

杉本:
デマンドレスポンスは既に現在大口の需要家を中心にある程度活用されてはいて、例えば調整力公募として1年に1回、送電会社が募集したものを必要に応じ、夏の一番暑い時に発動したりはしている。しかしポテンシャルはかなり限られている、あまり使われていないと思っている。消費者を三つに分けると、家庭が1/3、商業用・業務用が1/3、製造業が1/3電気を使っているが、業務用、また家庭でまだそういった取り組みがほとんどなされていないので、そこにポテンシャルがあり、そのためにはやはり市場メカニズムは有効であると考える。デマンドレスポンスは、なかなか普及しない要因の一つに色々と懸念する点が挙げられていて、コストとか価格が変化するボラティリティが怖いなどたくさんあるが、それに対してはこの20年ぐらいで経済学も研究を進めており、どう制度設計で工夫すれば対処できるかについて知見がある。それらを参考にしてスマートメーターがかなり普及し、モニターもスマートフォンなどを通して人々が安いコストで情報にアクセスできるので、導入できる可能性は高くなっていると思います。

高村:
カーボンプライシングは、非常に重要ではないかと思っている理由が3つある。1つは再エネがなぜ高いかにも関わるが、再エネのコストの議論をするときに、ほかの電源との相対的なコストの差が、エネルギー転換を起こしていくためには非常に重要だと思う。

先ほど黒崎さんの報告の中で、日本はいつまでたっても既設の石炭火力のコストを越えられないというコストの比較が示されていた。その意味では再エネのコストを下げると同時にエネルギー転換を促す手法として、市場において経済合理性からエネルギーの選択を変える方法として、カーボンプライシングが非常に大事だと思う。

2つ目は、エネルギーの供給力をある意味ではクリーンな方向に差し替えていくことが、エネルギー事業としては必要であると思う。インフラ構築に時間がかかるエネルギー事業において、いつのタイミングでどのように投資をしていくかという投資の予見性を与えるという、もう1つの重要な点があると思う。

3点目は、国が技術を固定せず、創意工夫あふれるアイディアを導き出していくものとして、ある目的を達成するのに色々な民間の工夫が出てくるような役割を果たすものとしてのカーボンプライシングというのが、このエネルギーのセクターの中であるのではないかと思う。

■「電気自動車蓄電池の製造時CO2排出とリサイクルについて」

平沼:
話を戻して、変動性のある再エネを統合することに関して、今日は質問の中で、電気自動車、EVに関してのお話を多く頂いている。中でも、 EV、 蓄電池も含めてライフサイクルアセスメントで見た場合、EVの蓄電池は製造時においてCO2排出量が多いため、あまり意味がないのではというご質問をいただいている。私、元自動車メーカーにいたものとして、確かにおっしゃる通りだが、まさにその点が今の話の流れで考えるべきもの。電気自動車は、もはや単なる移動手段の乗り物ではない、エネルギーの電気を貯めたり出したりするエネルギーのデバイスとしての役割を今や持っている。それが電力系統の中に入り、余剰電力を吸収する、あるいは足りない時はそこから電力を出していくという流れの中においては、電気自動車があることにより再生可能エネルギーが入る。結果CO2が削減されるという削減効果も考えるべきであると思う。

また車が十万キロ走って駄目になったとしても、蓄電池の中のモジュールパック、この中身であるモジュールは積み重なってできており、その劣化具合を見るとまだ使えるものがある。それを集めて一つのまた新しい電池として系統の安定性に使う、リユース、リサイクルが効くという点もライフサイクルに入れるべき。東京電力パワーグリッド社でも、EVの蓄電池のリサイクルをして、系統に役立てようとされていると聞いたが、いかがか。

岡本:
まだ系統で使うという段階にはないが、これからリチウムイオン電池がたくさん入ってくる中で私共が一番心配しているのは、リチウムをどんどん採掘すること自体が環境破壊だという声も当然あり、続けていれば枯渇してしまう点。その部分のサーキュラーエコノミーを作り、再生可能性がないと意味がない。電気自動車主体で安くなってきたとすると、そこで出てくるバッテリーを色々な用途で使える枠組みができると良い。テクノロジーを持っているスタートアップ企業と一緒に色々やってみようかと。そこで出てきた蓄電池を、お客様が活用される色々なシーンで使ってみたい。今は非常用などの使い方が多いかもしれないが、いずれそういったバッテリーが世の中に多くなってくると、今度はそれをうまく束ねて系統側で使っていきたいという思いはあるが、まだそこまで数がいってない。そうした狙いをもって、うまく蓄電池を再生するということも含めて、多種多様な活用方法、例えば車だと動くための電池だが、止まっている時は他のために使ってもいいのではないか、一度使った電池を組み替えたら別の用途に使えるのではないかなど、資源を有効に使うという観点での技術を我々としては重視している。

■「電気自動車の普及と可能性」

平沼:
そうした意味で言うと、今度は電気自動車がどれだけ普及するかという話だと思う。イオンではEV100にもご参加されており、店舗への充電器設置や、Vehicle to Homeという車の蓄電池を利用してそれを家に供給する取り組みをされているが、そうした取り組みからみて、電気自動車の可能性、今後の普及についてどのように感じているか。

三宅:
ものすごい勢いで増えてくると思っている。1つ興味深い実証実験をやっていて、とあるショッピングセンターを使い、充電器に充放電気をつけて実証をしている。今のところは実証段階だが、お客様のEVから家で放電をしていただくという実証をしている。自宅でパネルを付けられているお客様がそのパネルからの電気を自宅のEVに貯めて、それに乗って来ていただいて、放電をしていただき、その放電した分を我々が買い上げるというスキームで、ポイントでお返しをしている。このスキームがどこまでいけるのか、そもそも需要があるのか、そのようなことをしたいとお客様は思うのだろうか、ということを2年かけて実証して、今2期目が終わろうとしているところである。結果として、近隣のお客様からの興味が大きく、是非やりたい、参加したいというお客様がいたという手ごたえを得ている。つまりお客様も考えていらして、自宅の災害対応みたいなことも含めてEVを考えられている、つまりただの移動手段としてだけ車を見ているわけではない。このようにお客様も変わって来られて、我々のような商業施設で、近隣でエネルギーの循環、融通し合う世界がこの後出来てくるということは夢物語ではなく、比較的現実味のあるストーリーとして実現可能なのではないか。

平沼:
まさに車が単なる移動手段としてではなく、様々な用途に使われているというのは本当に興味深い。走行距離や燃費だけではない車の価値がでてきている。

■「原子力の位置づけについて」

平沼:
今までの議論の中でも、避けては通れないのが原子力、原発の問題。今後の原発の位置づけはどうなるのか、原発なしで脱炭素は可能か、そもそも放射性廃棄物の問題は解決できるのかといったご質問も多くいただいている。

まさにこれからエネルギーを考えていく上で、原子力の位置づけをどうしていくのかという点は避けて通れない。この点、橘川さんいかがか。

橘川:
今挙げられた中で一番本質的なのは廃棄物の問題だと思うが、これは日本だけの問題ではない。世界に400基原発がある中で、今のところ地層処分という答えであるが、例えばプルトニウムで2万年以上半減期かかる時に、2万年前の日本列島はロシアと北海道が繋がっていて、本州から対馬までつながっていた。NUMO(原子力発電環境整備機構)が出した、大丈夫だという緑のところに埋めたとして、2万年後にそこが地上であるという保証はない。ここが難しいところ。私は、万年ではダメで、100年単位まで短くする核種変換の技術に挑戦しなければいけないと思う。これには数十年かかるので、その間はオンサイトで中間貯蔵する、それに取り組んでいく。オンサイトで危険なものを預かってもらうのだから、消費地から原発立地自治体に保管料を払う。こういうセットの廃棄物対策をきっちり言うべきだと思うが、原子力の一番の本質の問題は「べき論」がされず、選挙に有利か不利かで判断されて全てが先延ばしにされている点。リプレイスに30年かかるから今言わないと50年には間に合わない。リプレイスを言わない限り原子力の未来はない。「べき論」は賛成派も反対派もあると思うが、現実問題としては今、司令塔もおらず戦略もなく、原発が見捨てられつつある、こういう現実があるのではないかと思う。

■「カーボンニュートラルのためのエネルギーシステム実装化」

平沼:
このあたりの議論はまさにこれからエネルギー基本計画を策定する中でも十分議論がされていくことを期待したい。
そこで瀬川さんへ、カーボンニュートラルのためのエネルギーシステム実装化について、今まで洋上風力発電など、いろいろな実証実験がおこなわれてきていると思う。中でも日本は色々なことが試されて、技術的には先端的なこともおこなわれているが、社会実装はされていない。この問題は何なのか、解決する方法はあるのかについて、洋上風力発電に絡めてお伺いしたい。

瀬川:
まず、系統の話を申し上げると、日本の技術は進んでいる。例えば変電所に大型蓄電池を入れる実証事業も、北海道電力でレドックスフロー電池、東北電力でリチウムイオン電池を南相馬と西仙台に二か所、九州電力でNAS電池を入れており、いずれも運用はうまくいっている。ただそれは普及していないというよりも、日本全体で見ればまだフル稼働する程度の変動がきていないので、今はスタンバイをしている状態。一方、これまで洋上風力に限らず、なかなか広がらないという話もあるが、その中で周辺技術が醸成されていけば、最終的に実装には繋がるところもあるのではないか。日本の場合、難しいところが、例えば地域・自治体に主導していただいて何かを入れる時に、必ずしもその地域がその再エネに適した場所であるかどうかは、あまり考慮されてこなかったという点がある。

その辺はもう少し戦略的に見ていく必要がある。今日の話題の中であまり出てこなかったが、系統の増強、これは実は大きなコストがかかる。しかし日本の二次エネルギーの基幹である電力を増やしていく必要があるので、系統の増強こそ再生可能エネルギーの社会実装を進めるうえで手当をしなければいけないところ。もちろんこれは全体のコストの話も絡んでくる。洋上風力だけでもコストが上がってしまうということもあり、そこを見ながらセクターカップリングの観点で、それぞれの系統運用、低コスト蓄電池の開発、それから自治体のサポートも含めて、細々したところを技術的に解決していくことにより、地道な作業でコスト問題も解決していくしかないと思っている。

■「米国・欧州などの海外エネルギー政策が日本に及ぼす影響とは」

平沼:
ここ最近の大きな国際的変化、情勢にも目を向けてみたい。そこでご質問でよく来ているのが、バイデン大統領のエネルギー政策が日本に及ぼす影響について、いわゆるバイデンの強硬な姿勢で日本が翻弄されてしまうのではないかというご懸念もいろんな方面から聞かれている。アメリカのエネルギー政策という視点から、何か日本に与える影響についてお伺いしたい。

黒崎:
アメリカがパリ協定に復帰してくる、また自国内でやりやすい体制が整っており、今後クリーンエネルギーを主力にしていく。それからもう1点、ガスの産業をどう脱炭素化していくかは非常に注目している。クリーンエネルギーに関して申し上げれば、メイドインアメリカのものを中心にクリーンエネルギー政策をやっていくと思うので、自国の強みを政策にも、ルールメイキングにも反映させていくのではないか。その中で日本がどのように立ち向かっていくかという点について、今後もクリーンエネルギーの企業のアクティビティが高まってくると思うし、メイドインアメリカのものを使っていくという形に変わるため、日本が輸出をするというのはなかなか限られてくると思う。ただ、その中でも脱炭素の技術協力として、CCSCCUSそれから水素などで進んでいくのではないかと思う。

高村:
日本に対する影響という点でご質問がいくつか出ていたと思う。アメリカ、欧州そして中国のいずれもエネルギー政策が、気候変動政策とコロナからの復興、つまり産業政策であり雇用創出の政策として一体となって取られている点が奇しくも一致している。いずれも世界の大きな市場がそちらの方向に向かっていることは、エネルギー、自動車電動モビリティも含めて、世界のマーケットトレンドを変えていく、引っ張っていく動きであるという認識は必要である。
2つ目は、脱炭素にマーケットが変わっていくっていう点について、変化の中でいつも市場の再編の機会として、政策と民間が結びついて起こっている。一番典型的なのはモビリティだと思うが、そこに日本としてどういう風に準備、対応をしていくかという課題がある。
最後に、最も直接的な影響は、今のアメリカの政権も欧州も、温暖化目標、気候変動政策を産業政策、雇用政策、エネルギー政策にリンクをさせていて、これを世界的に非常に重要なプライオリティにしているという点。日本も今温暖化対策の目標、30年目標の議論、それに関わるエネルギーミックスの議論をしているが、恐らく非常に強いアメリカ政府、欧州からのプレッシャーの中で政策決定をしていかなければならないということであると思う。

■「議論を振り返って」

橘川:
たくさんの方にウェビナーに参加して頂き、小泉大臣にもビデオレターを寄せていただき、関係者の皆様に感謝申し上げたい。
今日のテーマは脱炭素社会そして再生可能エネルギー主力エネルギー化がキーワードであったが、議論を通じてコストの問題とバランシングの問題が、この2つがポイントであるのが見えてきた。ひとつの解として市場メカニズムを有効に使う議論が出てきたが、もう1つ、既存のインフラをうまく使うという点が挙げられる。

ノンファームも、カーボンニュートラル火力もある意味、今の送電線や火力発電所を有効利用するという発想でもあると思う。実際電化は進むと思うが、現在の政府の50年の目安の前提としての13000 kwh から15000 kwh の電気消費量、電化率38%というセットになっているので、非電力の部分が6割以上ある。ここで頑張らないとカーボンニュートラルにできないので、やはり既設インフラを使うとなると、既存のガスのサプライチェーンを使うのであれば、ガス自体をメタネーションで供給する必要があるし、石油で SSを使い続けるのであれば、合成石油に変えなければならない。このアプローチも今日はあまり議論にならなかったが、そういうものを総動員して初めて50年カーボンニュートラルが実現できると、今日のシンポジウムを通じて感じた。

 

主催:公益財団法人東京財団政策研究所
共催:東京大学未来ビジョン研究センター
後援:東京大学教養学部附属教養教育高度化機構

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<東京財団政策研究所ウェビナー(Webinar)の開催にあたって>

東京財団政策研究所では従来から、総計100回以上に及ぶ東京財団政策研究所フォーラム、各種公開研究会などの開催を通じて、カンファレンス・セミナー形式での政策研究成果の発信、参加者との相互交流などに努めてまいりました。この度、新型コロナウィルス感染症の世界的な拡がりを受けて多人数での集いが制約される中、東京財団政策研究所は新たにウェビナー(Webinar)を開催していくことといたしました。ウェビナーとはウェブ(Web)とセミナー(Seminar)を組み合わせた造語で、数年前から米国を中心に拡がってきた試みです。

私たちは、このウェビナーを当座しのぎのものとは考えていません。従来型のカンファレンスやセミナーの制約された代用品にするつもりもありません。即時性、双方向性などウェブならではの特長を生かし、時代の変化に合わせた新しい形の政策論議、知的交流の場として、今後、発展させていきたいと考えています。末永くお付き合いいただきますようお願い申し上げます。

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