ポピュリズム国際歴史比較研究会では、日本、アメリカ、ドイツ、フランス、イタリア、イギリスをはじめとする自由民主主義諸国を中心として、それらの諸国でなぜポピュリズムが発生したのか、あるいはポピュリズムがどのような形で発展して現代の民主主義の危機に帰結しているのかを歴史的及び実証的なアプローチにより検証する。研究の対象時期としては、民主主義が危機に直面した戦間期に焦点を当てて、比較政治学や政治外交史、政治思想史の専門家による報告を受けて、現代との比較の視座を含めて検討を行う。
新着記事
■「『公共の利益』の担い手は誰か――戦間期オランダにおける政党と『非政党的政党』の角逐」(水島治郎)
■「非ポピュリズム的?なオーストリア・ファシズム」(高橋義彦)
■「ポピュリズムにおける人民/民族とファシズム」(長野晃)
■「ヴァイマル共和国の教訓――分断された社会とポピュリズムとしてのナチズム」(板橋拓己)
■「質疑応答 戦間期から現代への架橋――歴史から得るべき教訓とは」
論考一覧
ここでは本研究会の成果を紹介します。
- 「ポピュリズム研究の動向」 板橋拓己(成蹊大学法学部教授)
- 「ブレグジットとイギリス帝国の残影——「アングロ圏」をめぐる近著に寄せて」 藤山一樹(日本学術振興会特別研究員/京都大学)
- 「ロシアのポピュリズム的個人支配体制の成立とその問題」 大串敦(慶應義塾大学法学部教授)
- 「失われたリベラリズム、あるいはコーヒーを買ってきてくれるリベラリズム」 古田拓也(広島大学特任助教)
- 「ポピュリズム理論家としてのカール・シュミット?」 長野晃(慶應義塾大学法学部非常勤講師)
- 「リベラリズムの伝統と継承」 川上洋平(専修大学法学部准教授)
- 「トルコ・エルドアン政権における民主主義の進展と後退」 岩崎将充(北海学園大学法学部准教授)
- 「なぜ既成政党は凋落したのか」 水島治郎(千葉大学大学院社会科学研究院教授)
- 「民主主義をめぐる帝国期日本の教訓――かつて日本でも民主的後退があった」村井良太(駒澤大学教授)
- 「非ポピュリズム的?なオーストリア・ファシズム」高橋義彦(北海学園大学准教授)
ブック・レビュー
ポピュリズム研究に関する邦語文献を中心に内容を紹介します。「ポピュリズム研究に関する文献一覧」もご活用ください。
『ポピュリズムとは何か』 評者:高橋 義彦 |
『ポピュリズムとは何か』 評者:藤山 一樹 |
『ポピュリズム』 評者:高橋 義彦 |
『エリートたちの反撃』『ドイツの新右翼』 評者:長野 晃 |
特別企画
本研究会では、ポピュリズムの歴史的起源と発展、そして現状を歴史的な手法を用いて検討することで、現代の自由民主主義諸国におけるリベラリズムやデモクラシーの理念がどのような形に変容し、また危機に直面しているのかを検証する。だが多義的な用語であるリベラリズムやデモクラシーは時代や地域によって使われ方が異なるため、ここではリベラリズムとデモクラシーをめぐるさまざまな議論を紹介する。
■ヘレナ・ローゼンブラット『リベラリズム――失われた歴史と現在』合評会
研究会メンバー
細谷 雄一 Yuichi Hosoya
【研究分野・主な関心領域】
イギリス外交史/ 国際政治学/ 日本の外交・安全保障政策
【主要業績】
『戦後国際秩序とイギリス外交——戦後ヨーロッパの形成、1945-51年』(創文社、2001年)
『外交による平和――アンソニー・イーデンと二十世紀の国際政治』(有斐閣、2005年)
『倫理的な戦争——トニー・ブレアの栄光と挫折』(慶應義塾大学出版会、2009年)
竹中 治堅 Harukata Takenaka
【研究分野・主な関心領域】
比較政治学/日本政治/民主化論
【主要業績】
『首相支配ー日本政治の変貌』中公新書 2006
『参議院とは何か-1947-2009』中央公論新社 2010
Failed Democratization in Prewar Japan, Stanford University Press, 2014
『コロナ危機の政治ー安倍政権 vs. 知事』中公新書 2020
五百旗頭 薫 Kaoru Iokibe
【研究分野・主な関心領域】
日本政治外交史
【主要業績】
五百旗頭薫『〈嘘〉の政治史-生真面目な社会の不真面目な政治』中公選書、2020年
五百旗頭薫『条約改正史 : 法権回復への展望とナショナリズム』有斐閣、2010年
五百旗頭薫『大隈重信と政党政治 : 複数政党制の起源明治十四年-大正三年』東京大学出版会、2003年
宮下 雄一郎 Yuichiro Miyashita
【研究分野・主な関心領域】
国際関係史/戦争史/フランス外交史/欧州統合論
【主要業績】
『フランス再興と国際秩序の構想―第二次世界大戦期の政治と外交』(勁草書房、2016年)
“Jean Monnet et les conflits sino-japonais des années 1930, ” in Gérard Bossuat (dir.), Jean Monnet et l’économie (Bruxelles : Peter Lang, 2018)
“Pechkoff et le Japon, 1946-1949,” Relations internationales, n°158 (juillet-septembre 2014)
板橋 拓己 Takumi Itabashi
【研究分野・主な関心領域】
国際政治史/ヨーロッパ政治史/ドイツ政治
【主要業績】
『中欧の模索―ドイツ・ナショナリズムの一系譜』(創文社、2010年)
『アデナウアー―現代ドイツを創った政治家』(中公新書、2014年)
『黒いヨーロッパ―ドイツにおけるキリスト教保守派の「西洋」主義、1925~1965年』(吉田書店、2016年)
高橋 義彦 Yoshihiko Takahashi
【研究分野・主な関心領域】
オーストリア、ドイツの政治思想史・政治文化史
【主要業績】
『カール・クラウスと危機のオーストリア――世紀末・世界大戦・ファシズム』(慶應義塾大学出版会、2016年)
「オーストロ・ファシズム確立過程の『合法性』と『正統性』――アドルフ・メルクル、ロベルト・ヘヒト、エーリッヒ・フェーゲリン」(『政治思想研究』第17号、2017年)
藤山 一樹 Kazuki Fujiyama
【研究分野・主な関心領域】
イギリス外交史/ 国際政治学
【主要業績】
『イギリスの対独「宥和」 1924-1930年――ヨーロッパ国際秩序の再編』(慶應義塾大学出版会、2019年)
長野 晃 Akira Nagano
【研究分野・主な関心領域】
政治理論/ 政治思想史/ ドイツ国家学・国法学
【主要業績】
『カール・シュミットと国家学の黄昏』(風行社、2021年)