2019年10月4日、第117回東京財団政策研究所フォーラム「中国の政策決定メカニズム」を開催しました。大学、研究機関、行政機関、報道機関等から約150名のご参加を賜りました。
テーマ:「中国の政策決定メカニズム」
日時:2019年10月4日(金)15:00 ~16:30
場所:ベルサール六本木グランドコンファレンスセンター
当日のプログラムはこちら
◆登壇者
柯 隆 (東京財団政策研究所主席研究員) →発表資料
岡嵜久実子 (キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)※コメンテーター →発表資料
◆開催内容
国内景気の低迷や対米貿易摩擦の激化、世界貿易収支の悪化が重なり、先行きの見通しに影を落としている現在の中国。
そんな中国政府が政策を決定し実行に移すメカニズムについてさまざまな観点から有識者を交えて検証する公開フォーラム「第117回東京財団政策研究所フォーラム『中国の政策決定メカニズム』」を開催いたしました。
中国の経済と社会は大きな曲がり角に差し掛かっています。
今までは、経済自由化を推進する大きな流れのなかで中国人特有の積極性が喚起され、それが経済成長につながってきました。そのため、経済成長の中で所得格差など負の側面がある程度覆い隠され、中国社会の不公平性と非効率性による矛盾は無視されてきました。
しかし現在、中国の経済成長は大きく減速しており、負の側面から目を逸らすことは出来なくなってきています。これからの中国での経済政策や社会保障政策などは公平性を重視していく必要が出てきたのです。
では、中国の政策決定はどのようなメカニズムを踏まえてなされているのでしょうか。
本フォーラムでは、柯隆主席研究員の研究発表から中国政府が政策を決定し実行に移す過程を政治学、経済学、社会学などさまざまな観点から考察・解明し、中国のブラックボックス化した政策決定のメカニズムを紐解く場となりました。
研究発表後には、キヤノングローバル戦略研究所の岡嵜久美子研究主幹にはコメンテーターとして、ご自身の経験やマクロな視点から見た中国の現状を踏まえて柯隆主席研究員の研究発表へのコメントをいただきました。
続く質疑応答では、柯隆主席研究員の進行のもと、フロアの参加者から両氏に対して中国の政策決定プロセスについての質疑以外にも、最近の米中貿易戦争やそれにとどまらない日米中の関係など様々な観点で活発な質疑応答が行われました。
◆インプリケーション
・中国は共産党の党治国家である
・中国の政策の目標は一貫して経済成長の促進にあるが、制度改革が遅れている
・制度改革の遅れは逆に経済成長の妨げになっている
・政策決定には、政府系シンクタンクは重要な役割を果たしている
・政策決定においてアナウンスメント効果がなく、トップダウンで決まることが多い
・市場経済制度が構築されなければ、有効な政策決定は難しい