R-2023-116
人生の最期の迎え方に関する全国調査(日本財団、2021)によると、国民の58.8%が「自宅」を望んでいます。しかし、2021年に厚生労働省が調査した「人口動態調査」によると、65.9%が「病院」で最期を迎えており、「自宅」で最期を迎えることができたのは17.2%にとどまっています。国民が望む「自宅での最期」はなかなか実現できていないのが現状です。
2023年度の規制改革推進会議や経済財政諮問会議の報告書において、「訪問看護の推進」が取り組むべき課題として挙げられているものの、具体的な施策は打ち出されていません。
超高齢社会となったわが国では、2025年までに在宅医療を利用する患者が100万人増え、さらに、2040年には年間の死亡者数が170万人とピークを迎えると予想されている一方で、患者が退院した後に在宅医療や訪問看護を十分に利用できない状況となっています。
本研究では、患者の退院時に着目し、病院側と訪問看護ステーション側の双方から、患者を訪問看護サービスへとつなぐ取り組みについて調査を実施しました。
まず、訪問看護サービスへつなげる(アクセシビリティを向上させる)ことに積極的に取り組む病院および訪問看護ステーションを調査し、先行文献等から引き出されたアクセシビリティを向上させる要素に加えて、新たな要素を抽出した。併せて、退院する患者を受け入れる訪問看護ステーション側の課題を把握するために、日本財団在宅看護センター(訪問看護ステーション)に対してWebアンケート調査を実施し、病院から訪問看護サービスへのアクセシビリティを阻害する要因と改善方策について明らかにした。
本報告書では、この調査結果について報告するとともに、病院から訪問看護へと看護サービスが途切れずにつながり、自宅での安全な療養生活が維持・継続できるようにするための政策提言を行います。
目次
Review「看護がつなぐ医療と暮らし 在宅看護サービスへのアクセシビリティ向上のための政策研究報告書」
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