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国家・経済安全保障としてのグローバルヘルスー新たなグローバルヘルス戦略への提言
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国家・経済安全保障としてのグローバルヘルスー新たなグローバルヘルス戦略への提言

August 21, 2024

R-2024-024

要旨
はじめに
日本のグローバルヘルス戦略の特徴と課題
国益追求と国際貢献を両立させることの重要性
主要各国のグローバルヘルス戦略の現状
新たなグローバルヘルス戦略への提言

要旨

COVID-19パンデミックは、グローバルヘルスが公衆衛生のみならず、国際安全保障や経済安全保障にも関わる重要な課題であることを明らかにした。現在わが国では新たなグローバルヘルス戦略が検討されているが、その基盤となる既存のグローバルヘルス戦略は、安全保障の観点からいくつかの課題がある。安全保障上のリスクを数多く抱えるわが国のグローバルヘルスに必要なのは、単に善きプレーヤーとしての国際貢献を目指すのではなく、安全保障の視座に基づいたヘルス・セキュリティ戦略である。特に、インテリジェンスの強化、リスク分析、地域レベルでの連携に焦点を当て、官民一丸のアプローチを推進することで、わが国が追求してきた国際貢献中心のアプローチと、国益としての国家・経済安全保障を両立させることができる。

はじめに

COVID-19パンデミックは、グローバルヘルスが公衆衛生のみならず、広く経済や安全保障にも関わる重要な課題であることを示した。ロックダウンや移動制限、補助金交付をはじめとするパンデミック対策は、各国の経済活動に大きな影響を与え、その余波は物価高や政治的分断などの形で今も続いている。ワクチンや治療薬、PPE (personal protective equipment)といった物資の開発や供給が各国で不安定であったことは、重要物資の安定的な供給という経済安全保障の基盤が、世界各国で脆弱であったと示した。さらには、SARS-CoV-2の起源に関する論争[1]は、バイオテロリズムとしての感染症について再考を促すのみならず、その論争自体が国家間対立に起因し、かつその新たな火種にもなることを明らかにした。

こうした中、現在わが国の新たなグローバルヘルス戦略が、内閣官房の健康・医療戦略推進本部を中心に議論されている。その基盤となるのは、2022年に同本部により決定された「グローバルヘルス戦略」[2]である。同戦略は、これまでわが国が推進してきたユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)に主眼を置きつつ、健康危機への迅速な対応を目指すグローバルヘルス・アーキテクチャーの構築を目標としている。わが国はこれまで、WHOをはじめとする国際機関への資金拠出や、G7などにおけるグローバルヘルス関連イニシアチブの発揮[3][4]、そして低中所得国への技術支援でグローバルヘルスの推進に数多く貢献しており、同戦略はそうした貢献をさらに発展させる観点からも重要であった。

しかしながら、わが国が2022年に決定した既存のグローバルヘルス戦略は、安全保障の観点からいくつかの課題を抱えている。特に、現在の戦略は国際社会における善きプレーヤーとしての貢献に焦点を当てる一方、わが国と世界の抱える健康・経済・国際安全保障上の脅威に対してどう戦略的にアプローチし、そして国益の追求と国際貢献の両立をどのように追求するかを十分に述べていない。北東アジアという地域特性上、日本は数多くの安全保障上のリスクを抱えている。こうした日本のグローバルヘルス戦略に不可欠なのは、単に善きプレーヤーとしての国際貢献を目指すのではなく、グローバルヘルスを広く安全保障戦略の中心に位置づけ、安全保障とグローバルヘルスの関連をより明確にし、国益追求と国際貢献双方の視座に基づいたアプローチを明確に打ち出すことである。

グローバルヘルスを通じて国益追求と国際貢献を両立させ、戦略的に世界の安全保障に貢献していくことは、現在主要各国が目指すグローバルヘルス戦略の一般型となりつつあり、わが国もその変化に乗り遅れるべきではない。特に、主要先進国がグローバルヘルスにおいて戦略的に推進している、インテリジェンスの重視、リスク分析、地域レベルでの連携推進、安全保障に主眼をおいた官民一丸のアプローチについて、速やかな戦略化とその推進が必要である。

本稿では、まず現在のわが国のグローバルヘルス戦略の特徴と課題をまとめる。次に国益追求と国際貢献の両立がなぜ現在のグローバルヘルスに不可欠かを論じ、主要各国のグローバルヘルス戦略がどうそれらに焦点を当てているかを議論する。これらの分析を踏まえ、現在内閣官房を中心に検討されている新たなグローバルヘルス戦略への提言をまとめる。

日本のグローバルヘルス戦略の特徴と課題

わが国はこれまで、主に国際機関や国際機構(例:G7)を通じた国際貢献によりグローバルヘルスに貢献してきた。例えば2000年の九州・沖縄サミットでの議論は、その後のグローバルファンド設立のひとつの契機となった。こうした貢献の源流にあるのは、日本外交が掲げる「人間の安全保障」の概念であろう。国家ではなく人間に焦点を当て、脅威からの保護だけでなく、ひとりひとりの能力強化(エンパワーメント)にも注力する人間の安全保障は、日本外交が感染症対策に注力するきっかけとなった。

外交としてのグローバルヘルスが日本で初めて体系化されたのは、2013年の国際保健外交戦略[5]である。同戦略には、人間の安全保障の具現化として国際保健が不可欠であること、そして日本の保健医療における比較優位性を生かしたアプローチが必要であることが記載されている。興味深いのは、インフラの海外展開などを主眼とする経協インフラ戦略会議[6]が、当時の国際保健外交戦略を決定したことである。実際、同戦略には「日本ブランド」や「医療産業の国際展開」などの記載がみられる。したがって、同戦略は「外交戦略」を謳うものの、本来その主眼となるべき安全保障についてはあまり記載がなく、むしろ国際開発戦略のひとつとして捉えるべきものだと言える。同様の傾向は、その後発表される日本再興戦略(2013年)[7]や平和と健康のための基本方針(2015年)[8]などにも見受けられる。

2022年には、COVID-19パンデミックを踏まえて、内閣官房の健康・医療戦略推進本部が現行のグローバルヘルス戦略を決定した。同戦略は、グローバルヘルスが「国家の平和と繁栄にも影響を及ぼし、さらには、人類社会と地球との共存という視座からも」[9]重要な課題であるとの前提に立ち、特にパンデミックなどの健康危機への予防・備え・対応(Prevention, Preparedness, Response; PPR)への貢献と、人間の安全保障の具現策としてのUHCの普及に焦点を当てた戦略である。同戦略はこれらの目標に資する具体的な取り組みとして、パンデミックへのPPRのためのグローバルヘルス・アーキテクチャー構築への貢献、国際機関と2国間協力を通じた取り組み、資金の増加と多様化、民間企業などとの連携、新たに生じ得る課題への対応、分野横断的・学際的アプローチに言及している。同戦略は、以前の国際外交保健戦略よりは感染症危機管理に焦点を当てたものとなっているが、日本の比較優位性や人間の安全保障の重視、そして医療産業への言及など、過去の日本の取組みをおおむね踏襲したものとなっている。実際、戦略決定に向けて設置されたグローバルヘルス戦略有識者タスクフォースの議事録[10]からは、保健分野のわが国のこれまでの貢献をまずレビューしたうえで、今後あるべき貢献の形を策定する意思決定の方向性が見て取れる。

これまでの日本の一連の取組みは、内閣官房に戦略の司令塔を置いて政府一丸のアプローチを図っている点や、医療産業と開発戦略を結びつけた点などから評価できる。内閣官房を戦略の中心としたグローバルヘルスへの取組みは、省庁横断型の取組みへと結びついた。パンデミックを契機に新たに設立された内閣感染症危機管理統括庁[11]は、そうした取組みをさらに深化させることが期待される。日本の比較優位性に基づいてUHCを戦略の中心に置いたことは、いわゆる水平的アプローチと垂直的アプローチのバランスを図りながら、長期的に保健システムに取り組む契機となった。感染症対策や人道支援に国際貢献の観点から長期にわたり取り組んできたことは、市民社会やNGOなどがグローバルヘルスに関与するのみならず、ジャパン・プラットフォーム[12]をはじめとした市民社会における連携体制の構築にも結びついた。特に近年では、わが国の弱点であった創薬力の向上に向け、官民合同で「創薬エコシステムサミット」を開催[13]し、スタートアップへの投資額を倍増させることを目標とするなど、官民連携の形は多様化かつ深化している。

こうした様々な長所がある一方、既存の日本のグローバルヘルス戦略は、グローバルヘルスが「経済・社会・安全保障上の大きなリスクを包含する国際社会の重要課題」[14]であるとの認識に基づくにも関わらず、グローバルヘルスと経済・社会・安全保障上のリスクとの関連を十分に明確にしていないという弱点がある。たとえば現戦略の「分野横断的・学際的アプローチ」では、教育、水・衛生、栄養、人口変動と開発、人道危機、人権、公衆衛生危機時の適切な経済運営、貿易分野との関係について言及している。だが安全保障について具体的に言及しているのは、このうち半ページ程度の人道危機に関する項目[15]のみである。加えてその言及の仕方も、人道危機の状況におけるニーズに基づいた支援の重要性と、紛争地における医療施設への攻撃回避の重要性を述べたものである。したがって、現戦略では安全保障のリスクについて他国で起こり得る人道危機に関する言及はしつつも、わが国が実際どういった紛争のリスクを抱え、そしてそれらのリスクに国家としてどう対処するのかについて言及がない。わが国が北東アジアで常に諸外国から安全保障上の脅威にさらされていること、そしてこれらの脅威が健康危機に直結し得ることを考えれば、現行のグローバルヘルス戦略は、国民の健康安全保障の観点においては不十分な戦略である。

さらに言えば、現行の戦略には、経済安全保障の観点からもいくつかの課題がある。まず、グローバルヘルスにおけるサプライチェーンの安定化(例:抗微生物薬、ワクチン)に関して、現戦略は公平な分配や途上国の知的財産権などの議論に終止している。すなわち現戦略からは、わが国が健康危機に際して、世界レベルでの公平な分配を推進しつつ、それと同時にどのように薬剤やワクチン等の研究開発を推進し、それらの国内供給量の安定確保を図るかが見えてこない。加えて、遺伝子編集などの技術進化により今後ますます脅威となるであろうバイオテロリズムへの言及も乏しい。したがって同戦略からは、わが国が重視すべき経済安全保障上の危機が具体的に見えず、それゆえ危機に際してわが国がどう国家・経済安全保障を担保し、そのうえで国際貢献との両立を図るかが判然としないのである。

国益追求と国際貢献を両立させることの重要性

日本が次期グローバルヘルス戦略でまず行うべきことは、グローバルヘルス戦略を開発戦略から脱却させ、広く安全保障戦略として位置づけることである。このことは端的に言えば、国際貢献の理念と国益の両立に他ならない。国家安全保障と経済安全保障を主体とする実利型の国益追求と、公平性や持続可能性に焦点を当てた理念主導型の国際貢献を両立させることは、現在のグローバルヘルスにおいて不可欠なアプローチである。その主たる理由は、以下の2点にまとめられる。

第一に、グローバルヘルスと安全保障の関連性が、これまでになく強固なものになっていることがある。遺伝子編集などの技術革新により、生物兵器の脅威は現実のものになっている。従来であれば考えにくかった易感染性と高致死率を兼ね備えた生物兵器によるバイオテロリズムも、技術革新により実行に移されてしまう可能性がある。また、過去に根絶したウイルスが生物兵器として再開発される危険もある。実際、米国では、COVID-19の起源に関する論争を契機に、ウイルスや細菌を用いたバイオテロリズムの脅威を現実のものと捉え、米国科学・工学・医学アカデミー(National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine; NASEM)を中心に、大量破壊兵器としての生物兵器[16]や天然痘対策[17]について議論が行われている。また、大統領諮問機関である国家情報会議(National Intelligence Council; NIC)は、パンデミックなどの健康危機を対立国が奇貨とし、米国の国際社会への影響力を低下させるために悪用する危険性についても議論している[18]。こうした事例が示唆するのは、グローバルヘルスと国際安全保障が相互に強く影響を与え、パンデミックなどの健康危機が国家安全保障に直結し、また国家安全保障の課題が健康危機を創出し得るということである。したがって、主権国家の主たる存在理由である安全保障をグローバルヘルス戦略において追求することは、現代において不可欠なのである。

第二に、実利型の国益追求が、結果として国際貢献にも結びつくことが挙げられる。理念だけでは世界の健康は守れない。むしろ国内の健康安全保障を担保することで、より積極的に世界の健康に貢献することができるのではないだろうか。例えばCOVID-19パンデミックでは、先進国を中心とした過剰なワクチンおよび治療薬の確保競争が問題となった。その後ワクチンの公平な分配によっても各国の死亡率低下が見込めることが研究により明らかになった[19]が、その前提となるのは各国がマスク着用や行動制限などの公衆衛生学的施策を十分に行うことであった。このことが示唆するのは、わが国が追求する世界レベルでの公平なワクチンや医薬品アクセスの担保のためには、まず国内でのPPEサプライチェーンの安定化が不可欠であったということである。わが国自体が危機に際してワクチンや治療薬、PPEへのアクセスが不十分なとき、公平性の名のもとにそれらの供給をただ待ち望むことは現実的な政策ではない。しかし、もしいずれかのサプライチェーンが国内である程度担保できるのであれば、それを活用しつつ国際貢献と国民の健康の双方を追求できる可能性も出てくるのである。重要物資の安定的な供給という、経済安全保障の基盤を戦略的に確立することが、結果としてわが国の健康安全保障を担保するのである。それは結果として、危機においても日本が国際貢献を継続することに結びつき、ひいてはわが国の国際的信頼構築に結びつくのである。

主要各国のグローバルヘルス戦略の現状

COVID-19パンデミックを経て、すでに主要各国は、安全保障に焦点を当てたグローバルヘルス戦略を掲げ、国益と国際貢献の両立に舵を切っている。ここでは特に、わが国が各国の戦略から学べる点として、インテリジェンス、リスク分析、地域レベルでの連携の重要性、官民一丸のアプローチの観点から、各国のグローバルヘルス戦略を分析する。

インテリジェンス

安全保障の根幹となるのはインテリジェンスである。ここで言うインテリジェンスとは、国内外で収集される、国家や国民とその財産への脅威に関する情報[20]を指す。COVID-19パンデミックを踏まえ、主要各国はグローバルヘルスにおけるインテリジェンスの担保にこれまで以上に戦略的に取り組んでいる。例えば20244月に公開された米国のグローバルヘルス・セキュリティ戦略[21]は、新たな感染症やバイオテロリズムの脅威に対応するためのサーベイランス強化を謳い、パートナー国の防衛および安全保障省がグローバルヘルス・アーキテクチャーに関与するための支援を行うこと、米国防総省がこれらに積極的に関与し、国家安全保障戦略のコア・ミッションを担保しつつ世界的に防衛セクターがグローバルヘルス・アーキテクチャーに関わるための努力を行っていくことにまで言及[22]している。また、2023年に発表された英国のグローバルヘルス戦略[23]でも、インテリジェンスの重要性を強調している。同戦略では、WHOをはじめとする国際的枠組みでのサーベイランスへの貢献を述べつつも、英国健康安全保障局(UK Health Security Agency)が今後、COVID-19に際して確立した新規変異株評価プラットフォーム(New Variant Assessment Platform)を18のパートナー国と6つの地域パートナーに提供し、迅速な情報共有を図るとしている[24]。さらには、中国は明確な戦略こそ打ち出していないものの、一帯一路構想や開発援助と保健外交を抱き合わせにすることで、長期にわたり各国での感染症サーベイランスに取り組んできたことが伺われる。このことは、たとえばアフリカでのエボラウイルス病流行に関する詳細な患者レベルでのデータ収集と研究発表が、中国の研究者によって行われていること[25]などからも見て取れる。

リスク分析

主要各国のグローバルヘルス戦略は、気候変動などのグローバルなリスクだけでなく、各国が直面する安全保障および健康関連のリスクを分析したうえで立案されている。たとえば米国のグローバルヘルス戦略は、その戦略ステートメントにおいて、単に感染症のリスクを述べるだけでなく、「自然発生した、偶然発生した、あるいは意図的になされた」[26]感染症のリスクに対応することを明確に記載している。あえて「意図的になされた」感染症リスクについて踏み込んでいることは、米国がバイオテロリズムを自国への主たる脅威とみなしていることの証左である。また、フランスの現行のグローバルヘルス戦略[27]では、人獣共通感染症発生予防イニシアチブ(Preventing Zoonotic Disease Emergence Initiative; PREZODE Initiative[28]が主たるアクションプランのひとつに掲げられている。これは単にワンヘルス・アプローチをフランスが重視しているというだけではなく、エボラウイルス病をはじめとするウイルス性出血熱の流行が、コンゴ民主共和国などフランス語圏アフリカで大きな課題となっており、このことをフランス政府が自国への重大な健康リスクと捉えているためだと考えられる。

地域レベルでの連携の推進

グローバルヘルスへの貢献は、ODAなどを通じた二国間協力や、WHOなどの従来の国連を中心とした国際的枠組みだけで行われるわけではない。むしろ、従来の枠組みが機能しなくなりつつある中で、これらの中間に位置する地域レベルでの連携と協力も、国際保健外交や健康安全保障の重要な基盤である。それを最も強く認識し実装しているのが欧州連合(EU)である。EUのグローバルヘルス戦略[29]では、単にグローバルヘルス・アーキテクチャーの議論に貢献するだけでなく、新たなグローバルヘルス秩序の方向性について、EUとして貢献していくことを明確に打ち出している。そして実際、EUがイニシアチブを取ったことで、既存の国際保健規則(IHR)の改訂に加えて、敢えて同時に新たなパンデミック条約の交渉を始めることとなったのである。

グローバルヘルスに対して各国が持つ関心は地域により大きく異なる。したがって、共通の関心を持つ地域レベルでの連携は、新たなグローバルヘルス秩序を作り出すために大きな役割を果たす。たとえば現在進められているパンデミック条約の交渉に際して、保健医療ODAで最も大きな影響力を持つ米国は、IHRの実効性に当初焦点を当てており、新たな条約の可能性については否定的だった。ここでEUがモメンタムを失うことなく速やかに交渉プロセスを決定すべきと主張し、いわゆる条約フレンズグループと呼ばれる国々が加わった。この流れは、たとえば当初高所得国(日本も含まれる)が中立的な立場を示していたこと、あるいは中国が慎重な立場であったことなどを考える[30]と、EUが様々な地域レベルでの連携をうまく行ったことで生まれたと言えるだろう。歴史的にも米国と欧州ではグローバルヘルスに持つ関心が異なり、またいわゆるグローバルサウスでは知的財産権や公平性といった領域への関心が強い。こうした差異から共通項を見出し、地域レベルで連携を図ることでこそ、グローバルヘルスにおける秩序形成をリードすることができるのである。 

ここで留意したいのは、地域レベルでの連携は、必ずしも地理的に近い組織との連携を意味しないことだ。たとえば米国のグローバルヘルス戦略は、地域的な経済・政治・外交コミュニティとの連携の重要性を掲げているが、パートナー機関としてまず挙げられているのはアフリカCDCや東南アジア諸国連合(ASEAN)である。アフリカ諸国との連携はこれまで米国CDCが各国のサーベイランスに貢献してきたことなどにも影響を受けているであろうが、あえてASEANを挙げたのは、中国の台頭を踏まえ、ASEANの外交的重要性を考慮したためだと示唆される。

官民一丸のアプローチ

グローバルヘルスと安全保障の観点から、各国はすでに官民一丸となったグローバルヘルス戦略へのアプローチを展開している。特に近年、各国で防衛セクターのグローバルヘルスへの関与が大きくなっている。たとえば米国の場合、グローバルヘルス戦略自体がグローバルヘルス・セキュリティ戦略と名付けられているように、その随所に米国国防総省の関与が記載されている。英国のグローバルヘルス戦略は、米国の戦略に比べれば総花的にグローバルヘルスを見据えたものだが、その戦略は2023年に策定された英国生物科学セキュリティ戦略(UK Biological Security Strategy)[31]に基づいており、そこには英国国防省が国内外のバイオセキュリティ戦略を主導することが記載されている。防衛セクターが積極的にグローバルヘルスに関与することは、現代のグローバルヘルス戦略のメインストリームとなりつつある。

新たなグローバルヘルス戦略への提言

これまでの分析を踏まえ、新たなグローバルヘルス戦略策定に向けて、以下を提言する。

新たなグローバルヘルス戦略の骨子

  • ヘルス・セキュリティをグローバルヘルス戦略の主たる政策目標とする

現戦略は、政策目標に外交や安全保障への言及こそあるものの、その主眼は公衆衛生の枠組みの中にあり、UHCや人間の安全保障の推進を中心とした保健外交政策にある。新たな戦略は、経済安全保障および国家安全保障上のリスクがグローバルヘルスと相互に影響し合うことを認識し、広く安全保障戦略の一環としてグローバルヘルス戦略を位置づける必要がある。

  • グローバルヘルスと経済・社会・安全保障の相互関係を明確にする

現戦略では、公衆衛生の視点からグローバルヘルス戦略を打ち出し、その上で付加的に他分野との連携を末尾にまとめている。しかしながら、グローバルヘルスと経済・社会・安全保障は、双方が独立変数と従属変数になり得る。経済・社会・安全保障上の課題がどうグローバルヘルスに影響し、またグローバルヘルスがどう経済・社会・安全保障上の課題に影響を与えるのかを明確にする。そのためには、戦略立案の段階から保健医療外の分野における専門家・実務家の意見を取り入れることが必要である。なかでも防衛セクター、外交安全保障、AIやバイオ等の革新的技術、気候変動、マクロ経済の分野から知見を取り入れ、グローバルヘルス戦略立案を捉え直す必要がある。 

  • 安全保障と国際貢献の双方を追求することを戦略的に打ち出す

ヘルス・セキュリティを追求することは、国益だけを追求することを意味しない。グローバルヘルスに関する安全保障リスクの低減という国益追求と、UHCや人間の安全保障を中心とした国際貢献の双方を追求するのが、新たなグローバルヘルス戦略に求められる役割である。したがって、新たなグローバルヘルス戦略の骨子は、経済安全保障および国家安全保障の追求が、結果として更なる国際貢献と我が国の国際的プレゼンスと信頼度の向上に結びつくことを明確に打ち出さなくてはいけない。

インテリジェンス

  • ASEAN感染症対策センターを中心とした東南アジア地域におけるサーベイランスネットワークを確立し、その構築にあたりリーダーシップを発揮する

現戦略ではあまり強調されていないが、地政学的なリスクやわが国の地域特異性を考えるとき、わが国が資金拠出を行ったASEAN感染症対策センター(ACPHEED[32]は、わが国のグローバルヘルスにおけるインテリジェンスの観点、および南アジア地域における平和と安定、繁栄のためのパートナーシップ[33]の観点から大きな意味を持つ。ASEANのオーナーシップを担保しつつ、ASEANへの人的資源の供給やサーベイランスにおける技術協力に取り組む必要がある。 

また、単にインテリジェンス・ネットワークを広げるのみならず、それをネットワーク域内各国がベネフィットを得る創薬・ワクチン開発やパンデミック予防に結びつけることが重要である。すでに日本はアジア健康構想を通じてタイ、インド、ベトナムなど、安全保障・保健医療の双方から重要となる各国へのネットワークがある。さらには治験ネットワークとしてアジアがん臨床試験ネットワーク(ATLAS[34]も存在し、加えて薬事規制のアジア標準を確立するレギュラトリーサイエンス・イニシアチブ[35]もある。これらを活用し、感染症サーベイランスから発展させ、医薬品・ワクチン開発、薬事規制について、日本をハブとするアジア域内のネットワークを確立することを目指す。これらの領域について、ASEANに人材派遣を行うだけでなく、日本でASEAN地域の医療従事者を育成することも検討[36]する。

  • アジア・アフリカ諸国における健康推進への取り組みにより培ったネットワークを発展させ、UHCの推進のための各国保健システム構築と、感染症流行のためのサーベイランスシステム構築のための二国間協力を確立する

わが国の戦略的優位性はUHCや人間の安全保障だけでなく、これまでの多額の資金供与や継続した人的交流や人材育成により培った信頼にある。理念追求型の国際貢献に焦点を当てたUHCの普及から、UHCを通じた世界の健康安全保障の確立に戦略をシフトし、アジア・アフリカ諸国におけるUHCと感染症サーベイランスネットワーク構築に取り組む。例えばアジア健康構想を活用して、ASEAN地域の医療関係者の育成を日本で行うことも考えられるであろう。

また、世界の健康安全保障を考えるとき、UHCのようにボトムアップで保健システムに貢献するだけでなく、最先端の医療を域内に提供したり、逆に、わが国で活用できるようにすることにも注力すべきであろう。例えば新たな創薬エコシステムの構築と上記の取組みを結びつけ、新薬やワクチンの開発から治験、臨床応用を、速やかに広く域内で行う体制構築も検討すべきである。また、2024年度の「骨太の方針」[37]にあるように「医療インバウンドを含む医療・介護の国際展開」も積極的に推進すべきである。

リスク分析

  • テロリズム、領土紛争、ミサイル攻撃、核戦争のリスクが国家・経済・健康安全保障に及ぼす影響を分析し、グローバルヘルス・セキュリティ戦略に反映させる

北東アジアは現在、安全保障上の数多くの課題に直面している。ISILが日本政府と邦人をターゲットにしていることは知られている[38]。中国と台湾の緊張は今後地域紛争に発展する危険がある。加えて域内には中国、ロシア、北朝鮮の3つの核保有国が存在する。こうした安全保障上の問題を考えるとき、わが国が直面する健康安全保障上のリスクとして、バイオテロリズム、抗微生物薬など危機対応医薬品等(Medical Countermeasures; MCM)のサプライチェーンの脆弱化、日本がターゲットとなる紛争による健康リスクなどが挙げられる。これらのリスクは現実のものであり、仮に発生確率が低くとも、ひとたび生じればわが国に甚大な被害を及ぼすため、こうした危機を想定した戦略立案が必要となる。特に、危険度の高い病原体を取り扱うバイオセーフティーレベル4BSL-4)施設におけるセキュリティ・クリアランスや、国内の抗微生物薬とワクチンおよびPPE生産体制の確立、大規模地域紛争を想定した国内医療体制や邦人保護の担保について、速やかな取り組みを始めなければならない。

  • テクノロジーの進化に伴う健康安全保障と国家安全保障上のリスクについて考慮し、グローバルヘルスにおけるAIガバナンスについてイニシアチブを発揮する

AIに代表されるテクノロジーの進化は、ゲノム編集による生物学的兵器の開発[39]や、遺伝子レベルの個人情報流出などの点で新たな安全保障上のリスクを創出している。わが国はこれらの領域において、必ずしも最先端の技術開発を行っているとは言い難い。しかし、それでもリスク低減のための枠組み構築に貢献することはできる。2023G7広島サミットではこうした枠組みに向けた広島AIプロセスが提起されたが、同様の取組みをグローバルヘルスの観点から、すでにWHOが推進している[40]AI規制のみならず、AIの有効活用に積極的に貢献する形で我が国がリードしていくべきであろう。

  • Disease Xの持ち込みリスクを分析し、国内外の疑似症サーベイランスシステム構築に取り組む

安全保障上のリスクに加えて、域内経済活動の活発化による新規ウイルスの持ち込みも健康リスクとして留意する必要がある。激増する訪日観光客は、日本各国の空港や港湾から入国するが、こうした地域の中には医療過疎地も含まれる。たとえば沖縄県宮古島市は人口55千人に対して20244月だけで14千人近くがクルーズ船により来島した[41]が、緊急受診できる医療機関は事実上300床程度の病院ひとつだけである。来島者の中には人獣共通感染症が報告されている地域からの渡航者も珍しくない。こうした医療過疎地での新興感染症対策は喫緊の課題であるが、今のところいわゆるDisease X[42]を速やかに同定する支援体制が整っているとは言えず、数少ない医療従事者が保健所や関係機関との交渉から始めなければならないのが現状である。Disease Xの疑似症サーベイランスシステムを、国立感染症研究所および2025年に設立される国立健康危機管理研究機構を中心として国内で整備し、またそのネットワークをASEAN感染症センターや二国間協力、WHOなどの国際機関との連携を通じて、パートナー国に広げていく必要がある。また、こうしたネットワークの構築には、官民連携でのアプローチも不可欠である。既に医療インバウンドや日本の医療産業輸出などで成功している民間セクターや緊急危機対応を実践している市民社会等を通じて、ネットワークの構築を促進する。

地域レベルでの連携の推進

  • アジア・アフリカ地域におけるパートナー国を拡張しつつ、保健外交推進のためのネットワークを構築する

EUがパンデミック条約のイニシアチブを取ったことからわかるように、保健外交の推進にはパートナー国との綿密な連携が不可欠である。わが国はこれまでG7を主な連携先として保健外交を推進してきたが、現行のパンデミック条約交渉からもわかる通り、域内諸国や低中所得国との連携は不可欠であり、特にグローバルサウスのサポートなしにイニシアチブを発揮することは困難である。既存のアジア・アフリカ地域におけるパートナー国との連携に引き続き取り組みつつ、内閣官房・外務省・防衛省・厚生労働省・経済産業省・JICAを中心に、保健医療・経済安全保障・国際安全保障の観点から、パートナーシップをどこに戦略的に拡張していくか、まず方向性を定める必要がある。中でも重要なパートナーシップとしては、これまで保健医療の面で一定の連携があり、南シナ海の安全保障における連携でも重要となる国々(例:ベトナム、インドネシア、フィリピン)や、WHO西太平洋事務局内での連携において重要な国々(例:アジア地域の島嶼国)、アフリカ地域においてこれまで二国間協定を結び、今後保健システムや熱帯病あるいはウイルス性出血熱対策などでの協力が見込まれる国々(例:ウガンダ、ガーナ)が挙げられる。

  • アジア地域の島嶼国との連携を、太平洋・島サミットや日米豪印政策対話を通じて深め、島嶼国における課題解決に貢献する

現行の戦略にもあるように、南アジア諸国と太平洋諸国は、気候変動などの影響を受け健康リスクが高まることが懸念されている。加えて地政学的リスクによる国際安全保障や開発援助(特に、現地の状況を踏まえない開発援助や債務超過[43])の観点からも、今後複合的な健康へのリスクが高まることが予想される。わが国が戦略的に行うべきは、これらのリスクを国際的規範に基づく形で低減し、現地の課題解決に貢献することで、域内とわが国の安全保障に貢献することである。1997年から日本で開催されている太平洋・島サミット(Pacific Islands Leaders Meeting; PALM[44]を通じた外務省によるアプローチや、日米豪印政策対話(Quadrilateral Security Dialogue、いわゆるQUAD)との連携、あるいは外務省からの支援による市民社会による活動(例:パラオでのワクチン接種活動)により、島嶼国における課題解決に貢献していく。

政府一丸のアプローチ

  • 戦略立案の段階からグローバルヘルスにおける防衛セクターの関与を明確にする

2022年に外務省に国際保健戦略官室が設置[45]されたことや、グローバルヘルス戦略が内閣官房において経済安全保障担当大臣の下で議論されていることは、グローバルヘルスに対する省庁横断型のアプローチという観点から歓迎すべきことだ。だが安全保障とグローバルヘルスの関連を強調すべき現在、グローバルヘルス戦略推進協議会や有識者タスクフォースやグローバルヘルス戦略フォローアップ[46]に防衛セクターが十分に関与していないのは憂慮すべきである。2016年の伊勢志摩サミット後には既に防衛省を含めた関係省庁の関与の重要性が指摘[47]されており、防衛セクターのグローバルヘルスへの関与は喫緊の課題である。次期グローバルヘルス戦略では戦略立案の初期から防衛セクターを交えた戦略立案を行うべきである。安全保障戦略としてのグローバルヘルス戦略は国防政策との関連なしには実現が困難である。

  • 防衛セクターを交えたバイオセキュリティへの取組みを速やかに開始する

安全保障上の脅威であるバイオテロリズムやAIに関連した戦略は、英国生物科学セキュリティ戦略(UK Biological Security Strategy)のように詳細な別戦略としてまとめることも考慮すべきである。また、外務省の国際保健戦略官室と同様に、内閣感染症危機管理統括庁にバイオセキュリティに特化した防衛・外交・諜報戦略に関する部門を設け、外務省、厚生労働省、防衛省や国立健康危機管理研究機構、経済産業省等と連携する体制を構築することも目指すべきである。官僚機構の意思決定における重要な特徴のひとつは経路依存性(path dependence)である。これは通常、前例依存による意思決定の硬直化など、ネガティブに捉えられることが多い。だが裏を返せば、ひとたびシステムを構築してしまえば、ある程度の政策継続性が見込まれるということでもある。グローバルヘルスに防衛セクターが関与する体制構築に、速やかに取り組む必要がある。

モニタリングと評価

  • 数値目標を掲げ、独立パネルにより進捗をモニタリングする

現在のグローバルヘルス戦略においては、具体的な数値目標が見えず、フォローアップも定性的かつ省庁からの報告に由来[48]している。新たな戦略では、より定量的な目標を掲げ、また独立した有識者組織による評価を行う必要がある。また、保健医療ODAや国際機関への資金拠出をはじめとするインプットがどうグローバルヘルスに貢献し、また定量的な目標の到達に貢献しているのかを、独立した視点から科学的かつ定量的に評価する。さらに、引き続き議事録の一般公開と保存をはじめとした透明性確保を行っていく。


[1] Bloom JD et al. Investigate the origins of COVID-19. Science. 2021;372:694-694. doi: 10.1126/science.abj0016

[2] 内閣官房 健康・医療戦略推進本部「グローバルヘルス戦略」https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/senryaku/r040524global_health.pdf

[3] Kishida F. Human security and universal health coverage: Japan's vision for the G7 Hiroshima Summit. Lancet. 2023;401(10373):246-247. doi: 10.1016/S0140-6736(23)00014-4.

[4] Abe S. Japan's vision for a peaceful and healthier world. Lancet. 2015;386(10011):2367-9. doi: 10.1016/S0140-6736(15)01172-1.

[5] 外務省「国際保健外交戦略」https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000005947.pdf 最終アクセス:202488

[6] 首相官邸「第4回 経協インフラ戦略会議 議事次第」https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keikyou/dai4/gijisidai.html 最終アクセス:202488

[7] 首相官邸「日本再興戦略」https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/saikou_jpn.pdf 最終アクセス:202488

[8] 首相官邸「平和と健康のための基本方針」https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ghp/page22_002274.html 最終アクセス:202488

[9] 内閣官房 健康・医療戦略推進本部「グローバルヘルス戦略」https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/senryaku/r040524global_health.pdf 最終アクセス:202488

[10] 内閣官房 健康・医療戦略推進本部「グローバルヘルス戦略有識者タスクフォース」https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/global_health/kaisai.html 最終アクセス:202488

[11] 内閣感染症危機管理統括庁 https://www.caicm.go.jp/ 最終アクセス:202488

[12] ジャパン・プラットフォーム https://www.japanplatform.org/index.html 最終アクセス:202488

[13] 日本経済新聞「創薬ベンチャー、5年計画で投資額2倍に 創薬サミット」 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA299CX0Z20C24A7000000/ 2024730日 最終アクセス:202488

[14] 健康・医療戦略推進本部「グローバルヘルス戦略」p.i

[15] 健康・医療戦略推進本部「グローバルヘルス戦略」p.26

[16] National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine. Assessing and Improving Strategies for Preventing, Countering, and Responding to Weapons of Mass Destruction Terrorism: Biological Threats. https://www.nationalacademies.org/our-work/assessing-and-improving-strategies-for-preventing-countering-and-responding-to-weapons-of-mass-destruction-terrorism-biological-threats 最終アクセス:202488

[17] National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine. 2024. Future State of Smallpox Medical Countermeasures. Washington, DC: The National Academies Press. https://doi.org/10.17226/27652.

[18] National Intelligence Council. Economic and National Security Implications of the COVID-19 Pandemic Through 2026. https://www.dni.gov/files/ODNI/documents/assessments/NIE-Economic_and_National_Securtiy_Implications_of_the_COVID-19_Pandemic_Through_2026.pdf 最終アクセス:202488

[19] Moore, S., Hill, E.M., Dyson, L. et al. Retrospectively modeling the effects of increased global vaccine sharing on the COVID-19 pandemic. Nat Med. 2022;28:2416–2423. doi: 10.1038/s41591-022-02064-y

[20] Office of the Director of National Intelligence. What is intelligence? https://www.dni.gov/index.php/what-we-do/what-is-intelligence 最終アクセス:202488

[21] The White House. U.S. Government Global Health Security Strategy 2024. https://www.whitehouse.gov/wp-content/uploads/2024/04/Global-Health-Security-Strategy-2024-1.pdf  最終アクセス:202488

[22] The White House. U.S. Government Global Health Security Strategy 2024. https://www.whitehouse.gov/wp-content/uploads/2024/04/Global-Health-Security-Strategy-2024-1.pdf  最終アクセス:202488

[23] UK Government. Global Health Framework: Working together towards a healthier world. https://assets.publishing.service.gov.uk/media/646b2646628371000c3a896a/Global_Health_Framework__working_together_healthier_world_May2023.pdf 最終アクセス:202488

[24] UK Government. Global Health Framework: Working together towards a healthier world. https://assets.publishing.service.gov.uk/media/646b2646628371000c3a896a/Global_Health_Framework__working_together_healthier_world_May2023.pdf 最終アクセス:202488

[25] 一例として、Fang LQ, Yang Y, Jiang JF, et al. Transmission dynamics of Ebola virus disease and intervention effectiveness in Sierra Leone. PNAS. 2016;113(16):4488-93. doi: 10.1073/pnas.1518587113.

[26] The White House. U.S. Government Global Health Security Strategy 2024. https://www.whitehouse.gov/wp-content/uploads/2024/04/Global-Health-Security-Strategy-2024-1.pdf  最終アクセス:202488

[27] Government of France. France Global Health Strategy 2023-2027. https://www.diplomatie.gouv.fr/IMG/pdf/a5_strategy_global_health_v2_bd_cle49712b.pdf 最終アクセス:202488

[28] PREZODE Initiative. https://prezode.org/ 最終アクセス:202488

[29] European Commission. EU Global Health Strategy to improve global health security and deliver better health for all. https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_22_7153 最終アクセス:202488

[30] 横堀雄太「WHO検証・改⾰に当たるWHO加盟各国のスタンスの整理・分析に関する研究」 https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/202206006A-buntan5_0.pdf 最終アクセス:202488

[31] UK Government. UK Biological Security Strategy. https://assets.publishing.service.gov.uk/media/64c0ded51e10bf000e17ceba/UK_Biological_Security_Strategy.pdf 最終アクセス:202488

[32] ASEAN Centre for Public Health Emergencies and Emerging Diseases. https://jaif.asean.org/whats-new/asean-center-for-public-health-emergencies-and-emerging-diseases-acpheed/ 最終アクセス:202488

[33] 外務省「日・ASEAN友好協力に関するビジョン・ステートメント実施計画改訂版」 https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000279428.pdf 最終アクセス:202488

[34] ASEAN Clinical Trials Network for Cancers Project. https://atlas.ncc.go.jp/index.html 最終アクセス:202488

[35] 厚生労働省「国際薬事規制調和戦略」 https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000089690.pdf 最終アクセス:202488

[36] 内閣府「経済財政運営と改革の基本方針 2024」 https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/honebuto/2024/2024_basicpolicies_ja.pdf 最終アクセス:202488

[37] 内閣府「経済財政運営と改革の基本方針 2024」 https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/honebuto/2024/2024_basicpolicies_ja.pdf 最終アクセス:202488

[38] 警察庁「わが国に対する国際テロの脅威」 https://www.npa.go.jp/hakusyo/h28/honbun/html/sf114000.html 最終アクセス:202488

[39] Carnegie Endowment. The New Killer Pathogens: Countering the Coming Bioweapons Threat. https://carnegieendowment.org/posts/2018/04/the-new-killer-pathogens-countering-the-coming-bioweapons-threat?lang=en 最終アクセス:202488

[40] WHO. WHO outlines considerations for regulation of artificial intelligence for health. https://www.who.int/news/item/19-10-2023-who-outlines-considerations-for-regulation-of-artificial-intelligence-for-health 最終アクセス:202488

[41] 宮古島市「入域観光客数について」https://www.city.miyakojima.lg.jp/gyosei/toukei/kankouyaku.html 最終アクセス:202488

[42] 将来多数の死者を出す大流行や、パンデミックを引き起こす可能性があると考えられる感染症の総称

[43] Parks, B. C., Malik, A. A., Escobar, B., et al. 2023. Belt and Road Reboot: Beijing’s Bid to De-Risk Its Global Infrastructure Initiative. Williamsburg, VA: AidData at William & Mary.

[44] 外務省「太平洋・島サミット」 https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/ps_summit/index.html 最終アクセス:202488

[45] 外務省「『国際保健戦略官』及び『国際保健戦略官室』の設置」 https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press6_001271.html 最終アクセス:202488

[46] 内閣官房 健康・医療戦略推進会議「第8回 グローバルヘルス戦略推進協議会 議事次第」 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/global_health/dai8/gijisidai.html 最終アクセス:202488

[47] 黒川清「『ポスト G7 伊勢志摩サミット』を見据えた グローバル・ヘルス安全保障分野における 日本が果たすべき官民連携リーダーシップについて」 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/sanyokaigou/dai11/sanyo5.pdf 最終アクセス:202488

[48] 内閣官房 健康・医療戦略推進会議「2023年グローバルヘルス戦略フォローアップ管理表」 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/global_health/dai8/siryou4.pdf 最終アクセス:202488

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