【第二次小泉内閣】 ・前編:平成15年11月19日~12月31日 ・中編:平成16年1月1日~9月26日 ・後編:平成16年9月27日~平成17年9月21日 |
第二次小泉内閣
平成16年(2004年)1月1日~9月26日
年が明け平成16年(2004年)1月19日に閣議決定された「改革と展望―2003年度改定」(88-KO-04-00)には、「包括的かつ抜本的な税制改革の継続的実施」として、「『基本方針2003(骨太の方針2003)』の考え方を踏まえ、①持続的な経済社会の活性化のための税制改革、②租税負担と社会保障負担の総合的な検討、③国庫補助負担金、地方交付税、税源移譲を含む税源配分のあり方、といった事項を中心に包括的かつ抜本的な税制改革に引き続き取り組む。その際、経済や財政の状況等を十分に見極めつつ、歳出の徹底した見直しと合わせ、幅広く検討を行う」とされ、さらに「2006年度までに、国と地方双方が歳出削減努力を積み重ねつつ、必要な行政サービス、歳出水準を見極め、また経済活性化の進展状況および財政事情を踏まえ、必要な税制上の措置を判断する」と明記された。ちなみにこのころの諮問会議の議論の中心は郵政民営化であった。
88-KO-04-00 改革と展望―2003年度改定(抄). 平成16(2004)年1月19日.
一方政府税制調査会の方は、前述の方針にしがたい、抜本的税制改革の背景となる経済社会の分析に力を入れ、6月に「わが国経済社会の構造変化の「実像」について」(88-KO-05-00)を公表した。
88-KO-05-00 税制調査会基礎問題小委員会. わが国経済社会の構造変化の「実像」について~「量」から「質」へ、そして「標準」から「多様」へ~. 平成16年(2004年)6月.
これらの議論を踏まえ、6月4日の「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」(88-KO-06-00、以降「骨太の方針2004」)には、①包括的かつ抜本的な税制改革、②社会保障制度の総合的改革、③中期的な経済財政運営の在り方が、いわば3点セットとして記述された。
①については、「平成16年度与党税制改正大綱」(平成15年(2003年)12月17日)も踏まえ、相互に関連する税制改革案を包括的かつ抜本的に検討し、重点強化期間内を目途に結論を得る。
②については、社会保障制度全般について、広く有識者の参加も得つつ、一体的な見直しを開始する。平成16年中に、社会保障制度の国民生活における基本的役割、その持続可能性、経済や雇用との関係、家族や地域社会の在り方を踏まえ、中長期的な観点からの社会保障給付の目標、税・保険料の負担や給付の在り方、公的に給付すべき範囲の在り方、各制度間の調整の在り方、制度運営の在り方等の課題についての論点整理を行い、重点強化期間内を目途に結論を得る。
③については、基本方針の施策を着実に実行し、重点強化期間において、デフレからの脱却を確実なものとしつつ、人口減少や国際環境の変化など新たな条件の下での成長基盤の重点強化を図る。歳出改革路線を堅持し、「改革と展望」に沿って、平成 18年度(2006年度)までの政府の大きさ(一般政府の支出規模のGDP比)は平成14年度(2002年度)の水準を上回らない程度とすることを目指す。また、平成18年度(2006年度)までに、国と地方双方が歳出削減努力を積み重ねつつ、必要な行政サービス、歳出水準を見極め、また経済活性化の進展状況および財政事情を踏まえ、必要な税制上の措置を判断する。さらに、平成19年度(2007年度)以降も、それ以前と同程度の財政収支改善努力を行うと同時に民間需要主導の持続的成長を実現することにより、2010年代初頭における国と地方合わせた基礎的財政収支の黒字化を目指す、とされた。
88-KO-06-00 経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004(抄). 平成16年(2004年)6月4日.
骨太の方針2004に基づき、平成16年(2004年)7月27日に「社会保障の在り方に関する懇談会」が発足した。同日の内閣官房長官決裁によると、同懇談会設置の趣旨は、「社会保障制度を将来にわたり持続可能なものとしていくため、社会保障制度全般について、 税、保険料等の負担と給付の在り方を含め、一体的な見直しを行う必要がある」とされ、検討事項として、(1)社会保障の基本的考え方・社会保障制度の国民生活における基本的役割・制度の持続可能性、経済や雇用との関係、家族や地域社会の在り方 (2)給付と負担の在り方・中期的な観点からの社会保障給付費の目標・税・保険料の負担や給付の在り方・公的に給付すべき範囲の在り方・各制度間の調整の在り方 (3)制度の在り方・年金制度の体系の在り方・効率的な制度運営の在り方、が掲げられ、検討を行うこととされた。